Kindleからマンガモデルと称したモデルが、日本限定で発売されるようです。といっても、特色としてはストレージ容量が32GBということだけのように思えます。私の考えは「電子書籍で漫画を読むなら iPad を使えば間違いない」から変わりません(iPadはスクショがうるさいのがアレですが)。ただ、Kindleが漫画を意識したことには意義があるかもしれません。
Kindleで漫画を読むうえでの問題点
従来のKindleデバイス(E-ink)で漫画を読む場合、下記の問題点があります。
- ストレージ容量が小さい(シリーズを通して保存することもままならない)
- 見開きにはサイズが小さい
- 白黒でカラーが楽しめない
- レスポンスが悪い
- (基本的に)Kindleストア前提
以上の問題に対し、1と4について部分的に対応したのが今回と言えそうです。ただし、4のレスポンスについては本モデルだけではなく、他の端末でも同様の機能が提供されるそうです(参考「Kindle Paperwhiteに日本限定のマンガモデル--ストレージ8倍、ページめくりが高速化 - CNET Japan」)。つまりKindle Paperwhiteのストレージ容量を多少増加させたモデルと言えましょう。
ローカルストレージ32GBは、漫画を多く読む人間にとって必ずしも多くありません。しかし、Kindleデバイスの使い方(読みたい本だけ都度落とす)を考えると、それなりに対応可能な容量ではあるでしょう。ですから、1のストレージ容量の問題については、だいぶ解決したと考えてもよいと思います。
4のレスポンスについては、あくまでソフトの対応のようですが、あまり期待しないほうが良いのではないかと思います。Kindleサイトには以下の文言があります。
「快速ページターン」でマンガのページめくりのスピードが33%アップ。さらに「連続ページターン」機能は、画面を長押しすれば、ページが高速で切り替わるのでお気に入りのシーンまで簡単に飛ばし読みが可能。
まだ不足と思います。私はKindle Paperwhiteを持っていますが、33%どころか、数倍レベルになってほしい。というより、ページめくりのスピードが議論されている間はまだまだな気がします。連続ページターンは便利なシーンがあるかもしれません(でもサムネイルなどを利用して1秒で数十ページは見渡せないと真に実際的とは言い難い)。
そのほかにあげた問題については解決していません。2の見開き問題については、「見開きフルスクリーンビュー」という機能がサイトにて言及されていますが、ディスプレイの大きさが6インチである以上やはり見開きには厳しいということに変わりはないでしょう。6インチは漫画には小さいことが多いですよ。と言いつつ5インチのスマホでもけっこう読んでいるので、対応できる漫画はそれなりに多いと思いますが。
結局買いなのか
以上より、私のKindle マンガモデルの評価は従来のKindleとさほど変わりません。ただし、少なすぎるローカルストレージという大きな問題については大部分解決したと思うので、Kindleストアでだけ大量に漫画を買う人は、その漫画の傾向次第では悪くないものと思います。
その漫画の傾向とは、上述した問題点が問題にならない漫画、すなわち「見開き表現が少なくて、カラーがない」漫画です。まんがタウンなどの4コマ漫画を主に読んでいる人などはよいでしょう。一方、進撃の巨人やワンピースのような、迫力のあるシーンを見開きで多々表現するようなアクションシーンの多い漫画には微妙と思います。Kindleサイトでは弱虫ペダルが表示されていますけれど、私見ではこれもちょっと「うーん」ではないかと感じますね。
とはいえ、昨今の漫画は明確にスマホを意識したつくりになっているものも多いので、最近の漫画であれば、読みやすい漫画も存外多いかとは思います。特にWebが母体の作品(ガンガンオンラインなど)は非常にスマホを意識した作品が多いですね。具体的には、一昔前の4コマ漫画といえば、1ページ8コマがお決まりでしたが、今は1ページ4コマであったりします。そういったものならばKindleでも読みやすいでしょう。
ただ、そういうのはカラーをふんだんに使っていたり(印刷を前提にしない)、Webが母体なだけに専用アプリを出していることも多々。本当に楽しもうと思ったら、アプリが必要(特にcomicoなんてそうですね)。この場合Kindle専用デバイスであることが足かせになります。
以上をまとめて一言で言うと、Kindleストアで買ったかりあげクンを全巻通して読むのにうってつけという感じです。まぁ微妙ですね。E-inkの制限とKindleストア前提の制限がある限り、仕方ないかもしれません。E-inkにこだわりがない限り、漫画読むなら普通のタブレットを私はオススメします。
日本を意識している
デバイスとしての評価は微妙でも、Amazonがこうして日本に特化したマンガモデルを出したということ自体に意義があるようにも思います。Kindleの仕様は、ジェフ・ベゾスは漫画を読まないのだなぁということがよくわかる仕様です。そのせいか、漫画大国日本においては不十分な点があまりに多かった。皮肉な見方をすれば、本モデルの登場は、そのことを逆説的に証明したとも考えられます。
Kindle Unlimitedでは人気タイトルの削除などというチョンボを開始早々かます羽目になったことからも、Amazonは日本の漫画事情をまだ甘くみていたように思います。私は利用していますが、現状タイトルの変動が大きい…これでは読み放題サービスとしての安心感がない。
しかし、こうして部分的とはいえ、ある程度日本に特化した、日本を意識したデバイスを出すようになったということは、Amazonの姿勢に変化が起きていると考えられるのではないでしょうか。そういう意味で本モデルの登場を歓迎したいと思います。楽観的かな。
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