データシートを読んで学ぶ、光ファイバ超入門

[投稿日] 2017年2月21日
[最終更新] 2017年3月6日

最近、光ファイバを扱うようになりました。右も左も分からないまま、専門用語を聞いては調べ、なんとかやっています。私と同じような人に向けて、実用のための知識とイメージが手っ取り早く身につけられるよう、まとめます。

何を以て実用とするかは難しい問題ですが、現場の人間としては、まずデータシートをざっくりと読めるようになることが第一と考えます。そこで、本記事では、実際にTHOLABSで売られているケーブル「P3-1550A-FC-1 SMパッチケーブル、1460~1620 nm、FC/APCコネクタ、長さ1 m」のデータシートの内容を理解することで、光ファイバの基礎知識を学びます。

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基礎知識

いきなりケーブルのデータシートを見る前に、最低限必要なことについて書きます。

光ファイバの構造

光ファイバは、コアと呼ばれる石英ガラスの芯を中心に、クラッドと呼ばれる異なる屈折率の石英ガラスで囲んだものです。屈折率を調整することで、光がコアとクラッドの境界で全反射し、コア内のみを伝搬するようにします。

大きさとして、コア径は10umだったり50umだったり色々ですが、クラッド径は基本的に125um。髪の毛の太さが一般的に60umなので、その細さがわかります。これに被膜を被せたものが心線です。さらにその心線に保護部材を入れて補強したものが、私たちが実際に目にする光ケーブルです。

光ファイバはファイバ(繊維)であって、ケーブルではないということです。

シングルモードとマルチモード

もう一点、光ファイバには主にシングルモードとマルチモードがあります。最初、このモードの意味がよくわからず引っかかったのですが、「光の通り道」の意だという解説がしっくりきました。光の通り道が一つのものがシングルモード、複数のものがマルチモードと考えればよいでしょう。

マルチモードは光が複数の通り道を通ることで伝搬信号が歪んでしまうことから、コア径を小さくしてモードを一つに絞ったのがシングルモードである、という風にざっくりとイメージしておけば、ひとまずはよいかと思います。

データシートを見てみる

実際のデータシートを見てみます。今回は「P3-1550A-FC-1 SMパッチケーブル、1460~1620 nm、FC/APCコネクタ、長さ1 m」を見てみます。データシートをダウンロードできますので、それを参考に。

ファイバ仕様

まず、FIBER SPECIFICATIONを見ていきます。必要なところを引用します。

  • OPERATING WAVELENGTH RANGE…波長の範囲。1460-1620nm
  • MODE FIELD DIAMETER…モードフィールド径。9.5±0.5um@1550nm
  • CLADDING…クラッド径。125±1nm
  • COATING…被膜。250um±15nm
  • CUTOFF WAVELENGTH…カットオフ波長。1400±50nm
  • NA…0.13

上から順番に見ていきます。

波長の範囲はそのまんまです。汎用シングルモードと言われるものは光の波長が1310nmですが、これはそうではないということです。1460-1620nmの範囲では、1550nmの波長が使われるでしょう。使用される波長は、ある程度決まっています。あまり使われない波長を使うと特注に……。

次、モードフィールド径とあります。コア径のようなものですが、ちょっと違います。シングルモードにおいては、光がコア内からクラッド領域にも漏れ出すため、それを考慮した値です。つまり、コア径より若干大きくなります。逆に言うと、この項目があるということはシングルモードです。マルチモードではコア径(CORE DIAMETER)の項目があります。

シングルモードではこの10umが一般的ですが、レーザーなど大きな出力なものでは、20umや30umのファイバが必要になることもります。そういったものはLMA(Large Mode Area)と呼ばれ、一般的なコア径のものより入手が難しいです。また、コア径の変換には、別途MFA(Mode Field Adapter)と呼ばれるものが必要になります。

クラッド径はそのまんまです。125um。

COATING…被膜と書きましたが、要は心線の径でしょう。250um。

カットオフ波長は、シングルモードにおいて、シングルモードが保てる最小の波長です。この場合、1400nm以下の波長では、シングルモードになりません。ここからも、1310nmの波長の光はこのファイバでは使えないと言えます。

NA(Numerical Aperture)は開口数と呼ばれ、ファイバに光が入る最大の入射角を示します。具体的には、\(\rm{NA} = n \sin\theta \)と表せます。nは屈折率で、空気の場合n=1です。θは入射角。ここで、データシートのNA=0.13とn=1を当てはめてθを求めると、θ≒7.5度になります。つまり、入射角7.5度までの光が、ファイバに入る、と解釈できます。けっこうシビア。…NAって最初に見た時、N/A(Not Applicable)かと思いました。。。

以上より、重要なことは、シングルモードであること、使える光の波長の範囲が1460-1620nmであること(汎用の1310nmはダメ)、モードフィールド径が10nmであること、です。

コネクタ仕様

ケーブルの模式図があるので、それも見ておきます。特にコネクタ部分が重要です。

コネクタ部分

FC/APC CONNECTOR WITH 3mm BOOT 2 PLACESとあります。ひとつひとつ見ていきます。

まずFCですが、これはFCコネクタという意味です。FCコネクタは、ツメを合わせてネジ巻きするもので、同軸でいうとSMAコネクタにガイドがついたような感じです。他に、カチッとプッシュプルで使えるSCコネクタやLCコネクタがあります。私はFCコネクタしか使ったことがありません。分野によって使われるコネクタの種類は異なるでしょう。

次にAPCですが、これは、端面の研磨方式です。研磨することで、ファイバ同士の接続が隙間なくできるようになります(「光ファイバーケーブル研磨の種類 | エイム電子株式会社」)。その研磨にも様々な方式がありますが、PC(Physical Contact)研磨を基本に、さらに8度カットしたものが、このAPC(Angled PC)研磨と言われるものです。物理的に考えれば想像がつきますが、APCとPCの間には互換性がなく、もしPCとAPCで接続したい場合は、「P5-SMF28E-FC-1 SMパッチケーブル、1260~1625 nm、FC/PC-FC/APC、長さ1 m」のような変換コードが必要です。

次に、3mm BOOTですが、3mmのチューブですよ、くらいの意味でしょう。BOOTと言われると起動的なブートが思い浮かびますが、ここではブーツ的なニュアンスかと。。。

2 PLACESは、2箇所、つまり両端にコネクタついてますよ、くらいの意味でしょう。

以上より、必要なところは読み取れると思います。

参考記事

本記事の作成において、下記リンク先の記事を大いに参考にし、学ばせていただきました。ありがとうございました。

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