臭いと言ったら契約解消された女子アナの話

最近時事ネタをちょこちょこと書いているが、今回は以下男は臭い的な発言で燃えた挙げ句契約解消にまでなった例の件で。

男性の体臭めぐるSNS投稿で契約解消、フリーアナは謝罪も…いきすぎた批判がもたらす「息苦しい社会」 - 弁護士ドットコム

この問題は大別して二種類の観点があると思う。

  • 性差別の観点
  • 客商売の観点

恐らく処分の実態は客商売的な判断だと思われるのだが、名目として性差別の観点が用いられているところが少しややこしいと思う。また、これらの要素は独立ではなく、絡み合っている。

目次

処分されること自体の妥当性について

僕はテレビ持っていないし、アナウンサーに男子も女子もないだろと思うけれど、まぁ現実として女子アナというジャンルは昔からある。なんでこの商売が成り立っているかといえば、にべもないことを言えばそれを好きな人がいるからで、それを好きな人は誰かといえば、彼女が臭いと罵った男に他ならない。

フリーアナウンサーというからには個人事業主だろうか。であれば、雇用契約ではなく委託の契約と察する。業務を委託されたプロが、何の脈絡もなく突然顧客のボリュームゾーンに差別的とも取れる発言をして喧嘩を売ったわけだから、処分されるのは仕方ないと思った。合理的な批判でもなく、臭いという非常にデリケートなところで、ただ個人的な不快感を示すのは、非常によろしくなく、意味不明だ。雇用主がこれ以上彼女を使えないと判断したのも理解できる。僕も個人事業主だが、同じ立場だったらひたすら契約先に申し訳ないばかりだし、御祓が済むまで業界で働けない覚悟もしたと思う。

昔、男子高校生の日常っていう漫画があって、それがアニメ化されたんだけど、その時のED担当をしていたミュージシャンが、なんか知らんがアニメ業界で人気の声優を馬鹿にしたり、担当したアニメの原作を馬鹿にしたりとわけのわからんことをして、顧客の怒りを買いまくった挙げ句降板したということがあった。

放送直前でエンディング担当するバンドが原作をバカにして降板、差し替えが間に合わず提供画面で正直に謝ったアニメがある - Togetter [トゥギャッター]

処分については、本質的に差別云々というより、どちらかというとこっちだと思う。声優であったとしても、たとえばオタクを臭い臭いとSNSに投稿したら降板させられるんじゃないかな。

処分は重すぎるのか

とはいえ事務所から追い出されるのは、3か月で終わるアニメから降板されるとはワケが違うんじゃないの?というのはそうかもしれない。エージェントを介して業務委託を請けるエンジニアで言えば、委託先から契約解消されるのではなく、その仲介をするエージェントから契約を切られる形に近い。

個人的にはやや重すぎるようにも思うが、しかし社会的な情勢からいくとそうなるんだろうなとは思う。たとえば天下のGoogle社員は、男女問題についての文書を公開しただけで解雇されている。もう7年も前の出来事である。

あわせて読みたい
Googleの男女問題の文書公開で社員が解雇された事件についての雑感 Googleの元社員が、男性と女性は生物学的に(biologically)違うとして、Googleのダイバーシティ推進の方針を批判する社内文書を公開した。この問題は波紋を広げ、つい...

しかもGoogleの場合、客商売的な観点であったとは考えづらく、純粋に性差別の観点で解雇されているように思える。社員ですらこれである。

ちなみにGoogleが件の社員を解雇したことについての僕の感想も、「個人的に解雇はやり過ぎだと思うが、雇用主がそう判断したなら仕方ない」である

そして今回も、「契約解消は重すぎると思うが、雇用主がそう判断したなら仕方ない」だね。

まぁこれは僕の考え方であって、いずれのケースでも、契約の条項に書いてあるだろう契約解除の条件として認められるかは、司法に訴えてみないとわからないところではあるが、そこまで係争する気もないだろう。傷口を広げるだけだからだ。

性差別の問題とキャンセルカルチャーの流れ

今回この問題がここまで伸びたのは、性差別の観点で「女性が男性を貶めて処分された」という、今までとは逆のパターンであったことが要因として大きいだろう。先のGoogleの記事は7年前だが、あれからついに、ここまで来たのかという気持ちだ。雇用主の判断とは別に、社会的な情勢として見た時に「息苦しい」と感じるのはわかる。作家の橘玲はXで「キャンセルカルチャーの世界へようこそ」と皮肉っていたが、端的な表現だと思った。

しかしこうなるのは既定路線で、どうにもならないだろう。冒頭で取り上げた記事には、以下のような記述がある。

これまで炎上してきた事例では、大きく問題視されたのは、些細なことであったり、なぜそれが差別に当たるのか疑問に感じざるを得なかったりするようなケースだったと思います。

女性差別発言に関する多くの事例が蓄積されるうちに、今度は女性という性に着目した発言をした人をキャンセルする行為に対して、人々のフラストレーションが相当高まっていたように見受けられます。

そこに今回の男性の体臭に関する発言があったので、これまでの反動として、「男性差別だ」と大きく炎上したのではないでしょうか。

男性の体臭めぐるSNS投稿で契約解消、フリーアナは謝罪も…いきすぎた批判がもたらす「息苦しい社会」 - 弁護士ドットコム

フラストレーションが溜まっていた人たちの「反動」の側面は、大いにあるように思われる。これを過剰反応と言うのであれば、7年前にGoogle社員が解雇されたのも過剰反応だったと思う。そういう事件があまりにも蓄積されすぎた。女性が加害者となる段になって「過剰反応だ」と言っても、溜まりきったフラストレーションがそれを許さない。

だから、もう、どうにもなるまい。おそらくは、皆がお互いに傷つけ合って、血を流して、「もうやめよう」となるまで、この流れは続くんじゃないかな。

参考リンク

本サイトはUXを悪くするevilなGoogle広告を消しました。応援してくださる方は おすすめガジェット を見ていってください!
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次