綱引きはみんなでするもんだから

ちょっと聞いてほしいんだが、僕の7年くらい続いている弱小Twitterアカウントで、突然2000ばかりリツイートされたんだ。

眠れぬ真夜中3時、適当にツイートした後トイレいって戻ってきたらスマホがひっきりなしにブーブーいってて、いったい何事かと。普段はせいぜい1つ2つのいいねがつくかつかないかの場末のアカウントだから、焦ったなぁ。まぁいわゆるインフルエンサーみたいなのからすれば鼻くそみたいなもんなんだろうけれど、僕にとっては青天の霹靂。

「これが通知やまねぇってやつなのかなー」とか面白かったのだけれど、まぁ1日もたつとさすがに鬱陶しくて、そういえば会話をミュートにできるんだっけかといつぞや見たうろ覚えの知識をもとに、通知を切ったのだった。

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心苦しいリツイート

あのツイートはそれなりに飛んだらしく、元同僚のビールアカウントという全然無関係のところにも回ってきたと聞き笑ってしまった。引用RTやリプライをざっと見た感じ、割と共感を集めたっぽいツイートだったと思われる(もちろん反対意見もあったけど)。

それだけに、ちょっと心苦しいところもあった。というのも、ああいうツイートをしといてなんだが、僕自身は政党を強く意識しているからである。

なんじゃそりゃ、って感じだろうか。でもツイートをよく見てほしいんだが、僕は変化を感じる旨をそのままツイートしているだけで、その変化自体については、何も価値判断をしていないんだ。

いやいや、なんとなく肯定的なニュアンスあるでしょ、って言われたらそれはそのとおり。実際、僕はポジティブな気持ちであのツイートをした。ただ、僕自身は必ずしもその変化をそのまま受け止めているわけではない、ということだ。

だってまぁ、仕方ないじゃないか。現実的に、議員は政党の影響下にあるんだから。書いといてなんだけど、身も蓋もない。でも事実だ。自民党が党議拘束のもと一致団結するのは何をいまさらだし、立憲民主党は仲間をパージするし、多分一番メチャクチャでいろんな意味で自由なN党でさえ、少なくともNHKをぶっ壊したくない人はあの党にいられないだろう。政党政治である以上、政党の影響は免れ得ない。だから僕は、所属政党についても考慮する。

じゃあお前あのツイートはなんなんだってなるけれど、これもまた「議員は政党の影響下にある」というのは単なる事実の指摘であって、僕はこれ自体について何も価値判断をしていないんだよ。むしろ、気持ちとしてはあまり好ましく思っていない。

つまり、こういうことだ。政党政治である以上、現実的に議員は政党の影響下にある。だから僕は議員の所属政党を意識する。だが、それで良いと思っているわけではない。一方、政党の印象と必ずしも一致しない、自身の政策を全面に打ち出す政治家も目立ちはじめた。特に今回の選挙における赤松候補やくりした候補は、その象徴的なものであった。戸惑う人もいるけれど、僕はこれを良い流れだと思っている。

だから、あのツイートは紛れもなく僕の本音だし、僕はそれをポジティブに捉えてもいるし、それにも関わらず僕自身はバリバリ政党を意識しているんだけれど、別になんにも矛盾はないのである。

別に大しておかしなことは言っていないと思うんだけれど、まぁでもあれだな、この文章はあまり共感を呼ばないとは思うんだよな。140文字という制約で生まれた余白が、共感を呼び、また考える余地を与えたんだと思う。たまたまとはいえ、いっときでもそういう場を提供できたなら、本当によかった。

ワン・イシューでいいよ

考える、それこそ一番大事なことだと思う。考えた結果、それはね、まぁ、どうでもいいと思うよ。いや、よくないかもしれないんだけど、正確にいうと、どうでもいいというより、どうにもしようがない。だってその人の考えだから。どうにかしようっていうのが無理でしょ。

自分なりに考えて、その結果を選挙に行って反映させる。素晴らしい。しかもそれが、「oo党だから」じゃなくて、「表現の自由」という……まぁ別のなんでもいいんだけれど、重要だと思うトピックについて考えた結果なんだろう。最高じゃないか。

こういうと、「ワン・イシューは問題」という指摘がある。実際、そういう心配をしている人が散見された。不思議だ。ワン・イシュー、いいじゃないか。え、ダメ?なんで?

なるほど、イシューは表現の自由だけじゃない。そのとおりだ。経済、軍事、戦争、国際関係、環境、科学、医療保険、税金、規制改革、そうだね、いろいろあるね。この世に存在するイシューが全部でいくつあるのか、教えてくれるかな。わかるわけない?そうだね、イシューは無限にある。そして当然ながら、無限のイシューについて考えることはできない。理想世界ではなく現実世界の我々は、いつだって限りある世界にいる。

つまり、我々が考えられるイシューの数は有限個である。それは1つかもしれないし、5つかもしれないし、10かもしれないし、100かもしれないし、100億万かもしれないが、とにかく、有限な個数である。

さて、ここで問題だ。いったい、どれだけの数のイシューならば合格点をもらえるんだろうか?10ならばいいのか?1はダメだし9つもダメだけど、10ならオーケー?それとも10もダメ?16ならいい?それとも65536?それはいったい、誰が、どうやって決める?

アホくさ。ワン・イシューはダメだけど百億万イシューならいいとか、考えたって仕方がない。その線を引く根拠は、いったいどこにある?そんなものはない。

でも一つ言えることがある。ゼロイシューでは、どうしていいかわらないでも、ゼロじゃないんだろ。よかった。1つあれば、考えるには十分だ。

そもそも1つとはなにか

そもそも1つとは何か、考えてみると中々難しい。表現の自由といえばなんだか1つっぽいけれど、具体的に見ていけば、たとえばジェンダーとの絡みやちょっと前だとTPPによる著作権の非親告罪化の話だってあったりするわけじゃない。ジェンダーもTPPも、それぞれ立派なイシューでしょ。真面目に表現の自由について考えるなら、関連するそれらについてだって、考えないわけにはいかない。ワン・イシューといいながら、実は色々なイシューを考えている

また、表現の自由を掘り下げていけば、自由とは何かに行き着くだろう。「表現の」自由なんだから。自由主義はそれ自体が一つのテーマだ。ああ、またイシューが出てきた。

一つのイシューに、横の広がりも縦の深みもある。だから大切なことは、自分が重要視するそのイシューを真剣に考えることだ。そうすれば自ずと、視野は広がり、考えは深まるだろう。

だからいいんだよ、ワン・イシューで。その先に、100億万のイシューがある。大事なことは、考えることだ。

綱引きはみんなでするもんだ

それでもまだ、「いや、それだと偏りが……」なんて思う人もいるかもしれない。でもそれもやっぱり、杞憂なんだ。というのも、同じように逆ベクトルで偏った人が、世の中にはたくさんいるからである。

心配しなくても、あなたの反対方向に、憎いあんちくしょうはいっぱいいる。そしてそんなあんちくしょうにとっては、あなたが憎いあんちくしょうである。あんちくしょう同士がぶつかる、強制参加の全員綱引き、それが政治だと思う綱引きは一人でやるもんじゃない。そうだろう?

均衡はみんなで作るんだ。自分だけでバランスを取ろうなんて、土台無理な話だ。自分は決して、すべてを司る神じゃないし、なれないし、なる必要もない。自分はちっぽけな一人に過ぎない。

綱引きではそれがよくわかる。あれは不思議なもので、勝っている時は自分ひとり何もしなくても勝つし、負けている時は自分がどんなに強く力を込めても、ずるずる引っ張られていくんだよな。自分という存在の卑小さを思い知らされるね。

まぁでも、参加するからには、やっぱり力は精一杯こめたい。そうすれば、たとえ負けて盛大にすっ転んだとしても、受け身くらいは取れるかもしれないしね。そうして元気でいれば、次がある。次の勝負にかけられる。

みんなが選挙にいけばよくなる?果たしてどうかな?

だから、自分の一票を無駄だと考えず、みな選挙に行くべきだ。そうすれば、きっと世の中はよく……なるなんて、全然思っていない。むしろ悪くなるかもしれないとすら思う。

なぜなら、人間は本質的に愚かだからである。愚かな人間がいくら集まってもやっぱり愚かである。集まったら愚かじゃなくなる?ちょっと信じられないな。少なくとも、Web 2.0を駆け抜けた先がいかがだったか見てきた世代としては、集合したところで必ずしも知にはならないと心から思うね。

さらにいえば、選挙に行く人が増えたところで、僕に近い考えの人が多いとも思えないし。まぁこれは僕だけじゃなく、他の人に対しても思うことではある。

みんな「選挙に行こう」って言うけれど、あれって無意識に「そうすれば自分の思うような世界に近づくはずだ」って考えている人が多いように思う。でももし、「選挙に行こう」って言われて投票にいった人が、ことごとく自分の主義主張と対立する政党や政治家に入れまくったとしても、それでも「選挙に行こう」って言い続けられるか、甚だ疑問だな。「寝ててほしい」って言うんじゃないかな。

じゃあなんで選挙に行くべきだなんて言うのかっていうと、そのほうが納得できそうだからなんだ。愚かだろうか阿呆だろうが、考えるだけ考えて、やれるだけやって、それでもダメだったらさ、そのときはもう、諦めもつく……かな、どうかな、わからないな、しぶとく粘るかもしれないな。

まぁ、わからないんだけれど、多分、スッキリするんだよ。たとえどうなったとしても。そして多分、次に繋がる。あればだけど。ま、多分あるよ。

次の日曜日、晴れるといいなと思ってる。

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