自分はMacとWindowsのデスクトップマシンを使っている。手元のスペースには限りがあるので、キーボードを1台で済ませるべく、複数のマシンとペアリングの設定をして、ボタンひとつで切り替え可能な、マルチデバイス対応のキーボードを3ヶ月ほど前に購入した。
キーボードの選択肢はあまりなかったので、キーボード自体には思うところないでもないが、しかしマルチデバイスは確かに便利なものだと思う。
キーボード2台の不便さ
同じ机でデスクトップ2台を使っている人ならば、誰しもがキーボードとマウスをどうするかという問題にぶち当たる。もっとも簡単な方法は、キーボードとマウスをそれぞれ2台用意して、その時使わない1台はしまっておくことだ。
ディスプレイを机上台に乗せれば、その下に置けばまぁまぁ使い勝手も悪くない。ディスプレイボードを取り付けて、ディスプレイ上部に置く手もある(ディスプレイボードを見た姉は「ブラウン管やん」と言っていた。実際、着想はそこからきているのだろうか)。
自分はディスプレイが大きくて(31.5インチ)、机上台はちょっと使えなかったので、ディスプレイボードの上にのせていた。使っていたキーボードもHHKBのType-Sで、非常にコンパクトであったし、時々何かの拍子でずり落ちることもあったが、そんなに悪くもなかった。
悪くもなかったのだが、とはいえMacとWindowsを行ったり来たりする時などは(なんでそんなことをしているのかはともかく…)さすがに煩わしく、ボタンひとつで切り替えられないものかと思った。
マルチデバイス対応のキーボードを探す
世の中にはUSB切替器というものもあるけれど、昔動かなかったりなんだりして苦労した記憶がある。ケーブルがゴチャゴチャするのもいやだ。かといって無線が絡めばトラブりそうだ。そもそも希望要件に適合する商品があるのかどうかもわからない。
やはり、Bluetoothで複数台登録できるキーボードを探してくるのが正道だろう…ということで、「ASCII配列がいい」とか「Macでの使用を考慮している」とか「コンパクトなのが良い(テンキーいらない)」とか「あんまり安っぽいのは嫌」とか「プレミアついているのは嫌」と色々考えた末、テンキーレスという希望はかなわなかったが、それ以外の条件は概ね満たすSATECHIのST-BWSKMSを購入するに至った(「MacとWindowsで共用できるUS配列なキーボードを探す旅」)。
マルチデバイスは非常に便利
ASCII配列のキーボードでWindowsとMac共用というのはけっこう苦労するのだけれど(しかも自分はいわゆるEmacsキーバインドの愛好者なので、その対応も苦労させられた)、設定を確立してからは非常に便利に使えるようになった。
やはりWindowsとMacの行き来が格段に楽になったし、ついでにFire TV Stickなんかも登録してみたところ(4台まで登録できる)、これがまた良いものであった。面倒なアプリのパスワード入力もさらっとできる。Fire TV上でFirefoxを使ってみても良いかもしれない(Amazonといえば、キーボードを購入してから2週間ほどでAmazonのタイムセール特価の対象になっていたのを見た時、妙に損した気持ちになってしまった)。
おかげでWindows用に使っていたキーボードもしまうことができて、机も多少スッキリした。これでテンキーがなければ……LogicoolのK811の後継が出てくれればなぁ。中古の値段は微妙に高いくらいだけれど、直接手に触れるところなだけに中古は抵抗感があるし……。
ちょっとした感動
ところでWindows用として使っていたキーボードはあのHHKBことHappy Hacking Keyboard Type-Sである。HHKBと購入したキーボード、どちらの打鍵感が良いかと言えば、まぁ当然HHKBのほうが良い。自分はHHKBのような深めのストロークより、浅めのほうが好きなタチだけれど、それでも比較にならないと思う。
だがそれ以上に、ちょっとした感動があった。デュアルディスプレイで、一方の画面にMac、一方の画面にWindowsを映し、キーボードから手を離さずに両方の画面に書き込みを行う……これは面白い体験だ。
キーボードで感動したのは、大学の研究室に転がっていたFILCOのメカニカルキーボードを触った時以来かもしれない。あの吸い付くような打鍵感は衝撃的で、あの日の感動が、キーボードに拘りだしたきっかけであった。
とはいえ細かい不満はけっこうあるのだけれど、当面は使っていこうと思う。高級ではないがそこまで安くもないので、まぁしばらくは使えるだろう。いつまで使うかな。テンキーレスでマルチデバイスでCommandキーがあって(Mac仕様)ASCII配列の高級Bluetoothキーボードが出たら、2万くらいしても購入すると思うのだけれど、どこか出してくれないものかしら……。
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