西新宿の頂き女子

昔西新宿に住んでいたことがある。が、1年ほど住んだあたりで、隣に一日6時間以上叫ぶ狂人(女)が引っ越してきて逃げた。その時の顛末については昔記事にもした。西新宿と言われて思い出すのは、今まで住んできた中でも最悪な体験をさせられたあのマンションのことだ。

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不動産屋が「あー、あそこお水の人多いんですよねー」と言っていたが、狂人が叫んでいたのはむしろ夜中だったので、お水の人ではなかったように思う。まぁ今となってはどうでもいいことだが、一つ言えることは、あまり柄の良い場所ではなかった。まぁ新宿だしなぁ。しかしあんなところを紹介したイエプラは許さん。そもそも1時間以上遅刻してきやがったおかげで時間もなかったし他にも……

いやまぁそれはいいんだが、最近その西新宿で凄惨な事件が起きた。いわゆるいただき女子の刺殺事件である。

目次

詐欺では?

〈西新宿・タワマン刺殺〉「かっこいいだろ」真っ赤なスポーツカーとバイクを自慢していた実家住まいのバツイチ中年(51)がガールズバー元経営者を“張り込み”してまで刺殺…「金を騙し取られた」と逆恨みか(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース

記事によると、1000万以上女に金をだまし取られたと自供する男が、数時間張り込んで女を滅多刺しにしたらしい。不謹慎だけど命頂かれ女子🤔とか思ってしまった。でもXで検索したらたくさん引っかかったので、まぁ思うことはみんな同じらしい。最悪の事態になってしまったにも関わらず、彼女のやったこともたいがいなので、同情の念がわかない。なんというか、金田一少年の事件簿に出てくる復讐話の被害者という感じ。

記事のタイトルだけ見ると男の一方的なストーカー殺人なのだが、内容で事実関係を確認すると、その印象は随分変わる。なんといっても、1000万円以上(他記事では2000万とか3000万とも言われる)という金額のやりとりがされたのは、いかなる事由があれど一般の個人間としては尋常ではない。「逆恨み」というにはあまりにも大きすぎる額に思える。100万くらいならわかるんだけどね。また、「かっこいいだろ」というのは車を褒めた近所の子供に向かって言ったらしく、これはまぁ普通のコミュニケーションなので、そこを切り取るのは印象操作的だなと思った。

まぁこういう情報は錯綜するものなので鵜呑みにしてはいけないのだが、金銭のやりとりがあったことはさすがに事実だろうし、であればその金を作るために男が20年来大事にしていた車やオートバイを売らされたことも、金のやりとりのあとはバイバイされたことも事実であろう。正確な額がいくらかは記事によってまちまちなのでよくわからないが、普通ではない額なのは確かだ。どういう事情があったにせよ、尋常ではない金のやりとりがあり、こういう結果になったのであれば、詐欺と言われても仕方ないように思う。

いくらなんでも頂き過ぎ

いや、ってかね、詐欺にしてもやり過ぎなんだわ。限度ってもんがあるだろう。僕は車のことはわからないけれど、Xにあがっていた写真を見て、それが趣味人のものであり、また男にとってすべてだったんだろうなぁということはわかった。もはや金だけの問題ではなくなっていただろう。相手の人生すべてを頂いたも同然だ。相手のすべてを奪えば、奪われた人間にすべてを奪われるのも然もありなん。

まぁでも、多分そういう自覚はなかったんだろうと思う。やったことのリスクを考えると、対応としてあまりにも雑過ぎる。これと比較する形で、「りりちゃんは詐欺師としてすごかったのでは?」みたいな評価までSNSではされていた。まぁ実際詐欺師として格上だろうと思う。

りりちゃんのマニュアルの一部はいつぞや記事で読んだが、カスタマー分析完璧だし(今回の件でも趣味を持つおぢは狙うなとあったらしい)、ビジネスでも通用しそうだなとすら思った。そもそも自分のノウハウを言語化できている時点で一定以上の能力の持ち主なのは間違いない。実際ちゃんとビジネスやっていれば……と思ったりもしたが、それはゲームをやりこんでる子供を見て「このゲームをする情熱と能力があれば東大だって行けるのに……」と思うようなもので、それができないから詐欺にいそしんでいるわけだ。ままならないものである。

生身の人間二人が向き合えば、誰でもいつでも対等

さて、男と女の間に実際にどのようなやりとりがあり、どのようにして金銭の受け渡しがあったのかは定かではないのだが、被害者が水商売の人であったことから、中には詐欺ではなく男が一方的に好意を寄せて勝手にお店で貢いだだけ、という見方もあるようだ。まぁ本当のところは捜査を待つしかないのだが、この結末に関していうのであれば、法的に詐欺のスキームに分類されるかどうかという形式的な話は意味をなさない。

重要なことは、形式ではなく、実際に金銭のやりとりがいくらあったのか、またそれが当事者にとってどのような意味をもっていたかである。つまり、1000万とか2000万という額のやりとりをするということが、この男にとってどういう意味があったのか、その一点に尽きる。その額が女にとって大きいか小さいかは関係ないし、ましてその渡し方の社会的分類など無意味の極みだ。金銭の渡し方が社会的にどのように分類されるかは、社会の中にある司法の場では意味があるかもしれないが、生身の二人の間では意味をなさない

たとえば、横断歩道を渡っている時に車にひかれれば、歩行者優先であるから車が悪いと司法の場では判決が出るかもしれない。しかし、その時自分は既に死んでいる。だから、歩行者優先だからと周りも見ずに横断歩道を渡ってはいけない。右見て左見て、注意して渡らなければいけない。

これもそうだ。別に誰が何にいくら使おうが勝手だ。しかし、それがいかなるやり方であれ、個人間で1000万以上という多額の金が流れるスキームであれば、それはとんでもなく大きなリスクである。だから普通の人はまず受け取らないし、間接的な経路でも受け取れないように努力する(ただ関電の元助役の事件なんかもそうだが、受け取らないということもメッセージになってしまうので、そもそも金を渡そうとさせないことが大事)。なぜか?最悪この事件のようになるからである。そして司法が判決を出す時、この世に自分はいない。

本質的に、人間は皆平等である。天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず、これは本当だ。しかし現実に差があるのは何故かと言えば、社会の仕組みが差を作るのである。逆に言うと、社会の枠の外に出た時、社会的な差は意味をなさない。密室で生身の二人が向き合えば、その時その瞬間、二人はいつだって対等である。

大金のやりとり自体がとってもリスキー

とはいえ、普通は生身で向き合うような状況には中々ならない。人間はどこまでも社会的な動物であり、自らを社会の枠外に置くことを避ける。社会に居場所を見つけられなければ死を選ぶことすら珍しくもない。

ではなぜ男は社会から逸脱したのかと言えば、すべてを頂かれたために、もはや何も失うものがなかったからだろう。いや、一つだけあった。それは自分を騙した(少なくとも男はそう考えている)女への復讐の念である。この男にとって、もはや社会とは仮初めの場でしかない。男にとって社会は意味をなさない。したがって、社会が作る差も意味をなさない。昨今は、こういう人を無敵の人と呼ぶ。そしてこの男を無敵にしたのが、殺害された女性であることはそうであろう。

前述のとおり、金銭の受け渡しが詐欺だったのか、法的に問題のある形であったかどうかは、社会的に意味はあっても当事者間では意味をなさない。社会的には司法の場で議論されるかもしれないが、その時もう結果は出ている。司法は社会的な責任の範囲を明確にするかもしれないが、結果に責任を負うものではない

僕は今回の件について、閲覧できる報道の内容からは、詐欺ないし詐欺に相当する行為があったものと推測している。これについては反対する者もいる。だが、金銭のやりとりの社会的な正当性に関わらず、そもそもそのやりとり自体が非常にリスキーなものであることは指摘したい

個人的な見方だが、パパ活やら頂き女子やらの是非はともかく、彼女たちが高いリターンを得ること自体は、相応のリスクを負った結果だと思っている。どう言葉を言い換えたところで、本質的には個人による売春という側面がある。それは非常にリスクが高い分、実入りも大きい。しかしながら、彼女たちがその高いリスクを正しく認識しているのかは怪しいものだと思う。今回の件はそのリスクを誰にもわかりやすい形で顕在化させたといえる。

男に同情はできないが……

ここまで女性の対応について批判的に論じたが、では男の行為に同情的かといえば、それもまた違う。いかなる理由があれど、自分の人生にも相当するようなものを資産化し人に与えるなど、考えられない愚行であるし、その結末としての殺人を擁護することは不可能だ。

ただ、自力救済に至ってしまったという経緯については、共感はできないまでも、彼にはそれしかなかったのかもしれない、とは思える。金銭の返還を司法に訴えたくとも、ストーカーと断じられてしまったのでは、もはや社会的にできることはなかったかもしれない。

本記事ではここまで、主に個人間のやりとりに焦点を当ててきたが、社会的に今回の凶行を防げなかったのか?という観点から見れば、ストーカー規制法で男に女との接触を禁じた警察の判断には疑問が残る。1000万以上という額は嬢に入れ込んだ客の逆恨みと断じるには些か大きすぎる額である。そこに事件性は本当になかったのか、男の証言についても聞き入れていれば、自力救済に至ることはなかったかもしれない。

でも、まぁ、何を言っても詮無いことではあるけれど、やっぱり、20年大事にしていた愛車を売るべきではなかったんだよ。その愛車以上に価値のあるものなど、この世にはなかったのに

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