FFの絵を見たくてファンタジーアート展に行ったら、60万の絵を売らんとする営業トークのみだれうちを受けた

[最終更新] 2021年3月7日

ゲームをしていると、とんでもなく無駄な時間を過ごしているのではないかという罪悪感に押しつぶされそうになる僕も、心の底からゲームを楽しんでいた時期はあった。もう20年ばかり前になるだろうか。

いつも遅刻ギリギリに登校する寝坊助の癖に、休日に早起きまでしてゲームをしていたあの頃の情熱を、もはや思い出せない。ただ行為として朧気ながら記憶に留めているだけだ。今の僕は、休日になったら資格の勉強をしたりAWSのオンライントレーニングを受けたりプライベートプロジェクトの開発したりするのに忙しいので、とてもゲームなぞする暇はない。ブログは書くけど。

そんな在りし日の僕が夢中になっていたゲームの一つが、FFことファイナルファンタジーだ。FFは僕にとってかけがえのない青春の思い出なのである。だから、初期のFFで原画を描いていた天野喜孝の「ファンタジーアート展」が近くで開催されると知った時、ひどく懐かしい気分になって、是非見たいと、休日にいそいそと会場に赴いた。

結果、60万の絵をめっちゃ営業された。営業トークの実地体験ができて勉強になりました。

入場料無料のからくり

それで入場料無料だったんだなぁ。

と、入ってすぐに気づいた。気付かされた。額縁の下には値札がついており、2m置きに営業マンが一人はいる。で、絵を見ていると話しかけてくるのだ。僕としてはゆっくりと絵を見て思い出に浸りたかったのだが、隣で営業トークがぶちかまされているのでなんとも居心地が悪かった。

それでもまぁせっかくきたのだからと、イヤホンの音量を上げて絵を見ていたのだが、なにか気配がして、なんだろうと横を見たらどうやら話しかけられているらしい。あー、僕にも営業が来てしまったのか、と思いつつ聞いてみたらやっぱり営業だった。

で、きいてもいないのに「僕が初めてプレイしたFFは」とか語ってくる。そして「好きなシリーズは」とか「初めてのシリーズは」とか聞いてくる。

無視してもよかったのかもしれないが、その時点で既にゆっくり絵を楽しめる場ではないとわかっていたので、それだったらば、いくとこまで行ってみるかー、という気分であった。

営業スキルのみだれうち

以下、「デキる営業マンは知っている!?営業トークで使える心理テクニック25選 | 【ゆる研】ゆるい購買心理研究所」にあるようなテクニックの実例集となります。

フット・イン・ザ・ドア

うまいなぁと思ったのは、商談への導線だった。

まず「アンケートをしていまして、この中から一つだけ絵を持って帰るとしたらどれがいいでしょうか?」なんて聞いてくるんだよね。それでまぁ、素直にいいと思ったやつを答えると、「この絵をライトに当てると全然変わるうんたらかんたら。よければお見せしようと思いますがいかがでしょうか」と提案してくるのさ。そして、その提案に乗っかると、部屋の中央の商談席に連れ込まれ、延々と営業トークを聞かされることになります。これぞあの有名な「フット・イン・ザ・ドア」じゃないかと感心したよ。

フレーミング効果

そこから先の営業トークも面白かった。途中で絵画の値段を切り出す時には、「いくらくらいすると思いますか?」で適当に「100万くらい?」と言ったら「それくらいすると思いますよね、でもこの絵は53万なんですよ」(なお税別)。「5年分割なら1日あたり300円です!」(なお金利の話はしない)。表現の仕方で実際より安く見せようとするフレーミング効果狙いかな。

で、「買うなら1括だと思います」と言うと、「かっこいいですね!そうですね、分割にすると金利がつきますもんね。絵画はうんたらかんたらで金利が高くて総額これくらいになるんですよ(電卓ポチポチ)。つまり一括払いにするとこれくらいオトク」とか言い出して、金利がかからないからオトクってどういう理屈やねん。ってかお前さっき分割推しやったやんけ。

損失回避バイアス

さらに「この絵は海外で人気があって、値段が上がっているんです」と、今買わないと損するよ!と言わんばかりの損失回避バイアスの実践

ミラーリング

あとなんかこっちの言うことをいちいち過大に頷いてくるというか、共感・肯定を示してくるのもなんか胡散臭くて嫌だったなぁ。会話に同調することで類似点を見出し親近感を抱かせる……ああこれはミラーリングかな。仕草やテンションまで真似されているわけではないけれど……と思ったが実はしていたのかもしれない。

ただ、その同調の仕方は雑だった。たとえば好きなキャラを聞かれて「バッツ・クラウザー」(FF5の主人公)って言ったんだけれど(フルネームで言ったの今考えると笑える)、「人気上位ですよね!」って言われて「そうか……?」と。主人公とはいえFF5のキャラ挙げる人がそんなに多いと思えないけどな。そこそこ有名なキャラだったら誰にでもそう返してそうだ。ってか人気なんかどうでもいいんだよ。人気があるから好きなわけじゃない。浅い肯定はいらん(面倒なオタク)。

ハロー効果

天野喜孝は日本人で唯一ベルサイユ宮殿で個展を開いたとか安倍晋三に頼まれて自民党のポスターを作ったなど、権威付けにも余念がない。権威で印象を操作する……ハロー効果だったっけか。

もっとも、僕はそういう権威付けが嫌いなので、「すごいですね」と言いつつ腹の底では白けていた。というか推しの絵師が自民党のポスターを作ったと言われて嬉しい人はいるのか?

きっと他にも色々

他にも色々と細かいテクニックを駆使していたのだと思われる。なにしろ毎日ずっとやっているのだろうし。

正直こんなことになるとは思っていなかった。実際、来場者のほとんどは絵が買える(というか売りつけようとしてくる)場所だとは認識せずに来ていると、営業の人も言っていた。なんだか騙された気分。

まぁ、正直まったく買う気がないのに終始ニコニコして話を聞き質問に答える僕こそ、営業からしてみれば騙されたような気分になるのかもしれない。席を立った瞬間に、僕に対して興味を失ったのがものすごくよくわかったなぁ。まぁでも、慣れているのだろう。仕事だからね。

あの頃には戻れない

ということで、ファンタジーアート展は思い出を金で汚されただけの結果に終わりました。ノスタルジーに浸ろうと思っていたのに、もうあの頃とは違うのだと思い知らされる羽目になるとは。今の僕は、思い出にいくらでも金出しそうと雑にカテゴライズされるええ歳のオッサンです。思い出は、誰かの金になるんだね。

個人的には、100万円で大好きな絵を買うこと自体は、良い金の使い方だと思います。でもそれは多分、金利の話をしながらなされるものではないんだよなぁ。あの頃の気持ちはもう思い出せなけれども、それくらいはわかるよ。

参考

宣伝。今回の記事は、友人と開発中のWebサービスで草稿を作っています。何の絵だったかとか、他のお客さんの様子とか、もうちょっと詳しい経緯を書いてますが、まぁもし興味があれば。

ファンタジーアート展行ったら100万円の絵を売りつけようと必死に営業された | QnQ

かつてのゲームを楽しむ時間は、プライベートプロジェクトの開発時間になりました。まぁこれはこれで楽しいよ。

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