ナンバーワンとオンリーワンの違いから考える評価の難しさ

最近、「評価」について考える機会が多くあった。それは考え出すとたいへん難しいことで、そもそも評価とはなんだろうか…なんて思うと、なんだか迷宮の袋小路に入り込んでしまった気分で、何がなにやら。そんな時、ふと、昔読んだ漫画ドラゴン桜で、主人公・桜木が発した言葉を思い出した。それは、オンリーワンという言葉を揶揄したものだ。

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ナンバーワンとオンリーワン

ナンバーワンにならなくていい、オンリーワンになれだぁ?ふざけるな。オンリーワンていうのは、その分野のエキスパート、ナンバーワンのことだろうが。(三田紀房, 講談社, ドラゴン桜, 6巻)

これはドラマ化もされた漫画「ドラゴン桜」の主人公・桜木の言葉だ。大学受験をノウハウという観点から大真面目に取り上げた漫画は、後にも先にもこれしかないんじゃなかろうか。この漫画で描かれた具体的な勉強法や精神論は、非常に実践的だと思うものもあって、受験時代、自分は世界史の勉強で紹介されていた連想ツリーの図を書く手法を取り入れていた。友人には「ドラゴン桜やん!」とたいそう笑われたのだけれど、三ヶ月で模擬試験60→センター試験90にまでもっていったので、バカにできんと思う。とはいえ、もちろん自分なりの勉強法もあったので、実際のところドラゴン桜的勉強法がどれくらい功を奏したのかは謎だ。ちなみにその年の受験は落ちた。

さて、ここで言いたいことはドラゴン桜の思い出話でもなく、私の受験戦争体験記でもない。何故桜木はこんなことを言ったのだろうか、ということだ。

私にしてみれば、ナンバーワンとオンリーワンは明確に違う。たとえば私が当時(そして今でも)好きだったマイナーなバンド。技術も、知名度も、影響力も、何をとっても、どう考えてもナンバーワンじゃない。エキスパートでもなんでもない。けれど、そのバンドにしか出せない音を出す、「かけがえのない」オンリーワンだった

こんなものはジャンルを変えればいくらもあることで、何か趣味を持つ人の多くが共有する感覚じゃなかろうか。それは漫画の世界もそうで、売上も一位じゃないし絵もうまいわけじゃないしそんなに話が面白いというわけでもないけれど、唯一無二の受験漫画だったこのドラゴン桜そのものが「ナンバーワンじゃないけれどオンリーワン」な「かけがえのない」漫画だったと思う。

ということで、ナンバーワンとオンリーワンは違う。だから、冒頭の引用した桜木の言葉は、そこだけ切り出すと間違えているかもしれないが、言葉には常に文脈があり、そこも含めて考えると、強ち間違いとも言えないだろうと思う。漫画のテーマである受験戦争において、「かけがえのない」ものは必要とされないからだ。少なくとも大学受験は「どれもみんな綺麗だね」なんて世界じゃないことは確かなんだから(この言葉はドラゴン桜の少し前の流行歌「世界に一つだけの花」の歌詞を揶揄したかったのだろうと思われる。これなくてもお話が繋がるんだよね…作者はこの歌が流行ったのよほど嫌だったんだろうなぁ 笑)お前ら覚悟しろよ、くらいのニュアンスを、桜木は伝えたかったのだとすれば、それは間違えたことではない。

誰がどうやってワンを決めるのか

さて、言葉の使われ方が異なることから、ナンバーワンとオンリーワンは違う、と言ったが、それはそれとして、この二つの言葉について、もう少し掘り下げて考えてみたい。

まず、具体的なナンバーワンについて考えてみる。たとえば、漫画のナンバーワンはなんだろう。ナンバーワンというからには、誰の目にも明らかな基準があるべきだ。でなければ、説得力がない。わかりやすいのは、売上という定量的な指標で考えることだろうか。売上一位がナンバーワンの漫画だ……個人的にはたいへんな暴論だが、少なくとも出版社にとっては正しいことかもしれない。

ここで自分が、売上一位=ナンバーワンを暴論だと思うのは、漫画の評価は売上でもってなされるべきではない、と考えるからである。ストーリーの面白さ、新規性、表現力、色々なものが漫画にはある。そして、それらは必ずしもそれは売上に直結しない。売上には、タイミングや話題性、知名度など、漫画の面白さと直結しない要素も多々あるからだ。

結局、漫画のナンバーワンにどのような評価指標を用いるか(そしてどれだけ重み付けするか)は、人によって異なる。さらに、その評価指標のほとんどは、定量的に表すことが困難だ(自分が今挙げた指標を見ればわかるだろう)。ここに、ナンバーワンを決める難しさがある。指標を決めること自体の難しさ、さらにその指標自体が定量的に表現できない難しさ。

いったい、誰がどうやって、指標を決めるのか?それを突き詰めると、最後、主観とか、霊感と呼ばれるものになるのだろうと思う。

次に、具体的なオンリーワンについて考えてみる。たとえば漫画のオンリーワンは…これはたくさん思い浮かぶなぁ。本記事でさんざん取り上げたドラゴン桜もそうだろうし、初めて買った漫画・クレヨンしんちゃんも唯一無二だなぁ。え?クレヨンしんちゃんみたいなギャグ漫画は他にもある?ないって、ないない。ないから!まさかあの漫画のこと言ってるんだったらちょっと怒るよ?

まぁつまり、オンリーワンというのは「その人にとって」「かけがえのない」もので、個人的な境遇や嗜好に大きく影響される、というかそれがほぼすべてと言っても過言ではない評価方法だろう。だから、人によってオンリーワンは大きく異なるし、それで良い。自分はドラゴン桜をオンリーワンと言ったが、当の桜木はそう考えなさそうだし(受験漫画界のナンバーワンだ!とか言いそう 笑)。でも、自分にとってこれほど大きな影響力をもつものはないかもしれない。

評価はいかになされるべきか

ここまで、つらつらとナンバーワンとオンリーワンについて考えてきたが、自分が一番考えたいことは、それら二つの言葉の違いではない。本当に考えたいことは、評価とはどのようになされるべきなのか、ということだ。桜木のセリフを考察する過程を通して、それを考えたかった。

ナンバーワンとオンリーワンの違いは、用いられる指標とその重み付けのなされ方の違いと言えるだろう。ナンバーワンを決めるとなれば、客観的・定量的な指標が重視されるし、オンリーワンであれば主観的・定性的な指標が重視される。用いられる指標は重複するものもあるし、どちらかにしかないものもある。指標の用いられ方は人によって異なるが、それが主観的・定性的な指標であるほど、評価のブレが大きい。

つまり、評価とは任意の指標を重み付けした結果と考えられる。各指標には定量的・定性的な見方と、客観的・主観的な見方の2軸がある。どの指標を用いるか、どのように重み付けするかは、評価の目的、評価する人によって異なる。こんなところだろうか。。。うーん。。。

人の評価に当てはめると

どうしてこんな考えたのかと言うと、最近社内で新しくエンジニアを採用しようとか、そのほか友人と人材評価についての議論があったことなど、まぁとにかく(自分自身も含めた)「人の評価」について考える機会が多くあったからだ。

評価の手法には色々あるだろうが、もっともわかりやすいのは何かしら定量的な指標をもって評価することだ。だが、定量的と言えるのは(完全ではないにせよ)学歴と実務の経験年数、取得した資格くらいのものである。それじゃ見えないものがあるから、評価は難しいわけで。

何をどう評価したらよいのだろう…なんて考えていた時に、ふとこの漫画の桜木のセリフを思い出した。これはなにか、考えの足がかりになるのではないか、と思い、セリフの考察をしていたのだが……。

結果として、評価とはなにか、自分の中で若干整理された気はするものの、ではどのように人を評価すると良いのかについては、なんともわからないままだ(それでも期限はやってくる)。あぁやれやれ。これ、自分の価値観というか、自分自身への問いかけなんだなぁ。

ところで、この記事を書くにあたって久しぶりにドラゴン桜を読んだ(この記事に直接関係しそうなエンゼルバンクは読んでいない)。これはまぁ一言で言ってしまうとスポ根受験漫画ではあるのだが、なかなかどうして合理的なので、実際に受験生が参考にして良い漫画だと思う。そして当時はキツイことやってんなぁと思っていたが、今見ると、まぁ、なんというか、牧歌的な世界でもあったのだなぁ、なんてことも思う。

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