ハラスメントは人類にはまだ早すぎる

Twitter見ていたらハラスメント・ハラスメントとかいうケッタイな言葉を見かけた。

ギャグみたいな言葉だなと思ったけど、まぁそりゃ出るよなと思った。件のツイートにしても、大企業が個人を相手取ってスラップ訴訟しているならともかく、一住民が法的手続きに乗って住民監査請求をすることをハラスメント呼ぶのは、客観的・社会的に見て妥当と思えない。

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レッテル貼りとしてのハラスメント

思い出したのが、昔いたうんこ職場のサイコパスじみた経営者だ。彼は好んでなんでもかんでも「パワハラだ」と言っていて、まぁ彼自身は紛うことなきパワハラ野郎だったのだが、おそらくそのことを自覚しているので、意趣返しのつもりでそんなことを言っていたのだろう。

実際、xxハラを単なる自分は傷ついたというお気持ち表明とした場合、この理屈は通ってしまう。なぜなら、当人の本心は外からは見えないので、当人がそう主張したらそれについてはいったん受け入れるしかないからだ。

なので、xxハラについては、お気持ちだけではなく、それが客観的・社会的に見て不当と言えるものかどうか、という視点が重要になる。彼の言動は客観的にパワハラ野郎であり、「俺をパワハラということがパワハラだ!」はとおらないわけだ。

だが、実際にはいったもん勝ちに近い運用になっている。少なくともそのようなイメージはある。セクハラが盛り上がっていた時に「本人が嫌がっていたらセクハラ」論法を使う人はけっこういた。するとその延長線で、ツイートの指摘するようなお方も出てきてしまうんやね。

さすがに司法の場ではそのような雑なことにはなっていないと思うが(思いたいが)、しかし訴えることはできるわけで、もし裁判となれば一般人には荷が重すぎる。裁判慣れしたサイコパス系経営者や活動家、闇堕ち弁護士と戦える一般人がどれだけいるか。

で、司法が実質的に強い者の味方という現状があるので、SNSによる私刑が流行っているわけだ。これにしたって、うまく使える人と使えない人に分かれるのだが。というかむしろ、活動家のほうが手慣れていそうだ。

ハラスメントの運用が抱える脆弱性

そういやハラスメントの定義ってどうなってるのかなとちょっと調べた。で、下記の記事では、やはり客観性が重要とあった。

職場におけるハラスメントについて|ドクタートラスト

ハラスメントと感じるかどうかは個人差があるものであり、一人ひとりの人格権を尊重するという立場からは、受けた者が不快である(つらい、意に反する)と感じたら、それは受けた者にとってのハラスメントとまずは考えましょう。

しかし上記のうち、「客観的に中止すべきハラスメント」といえるかは、別の検討が必要でしょう。
使用者が中止を命じるなど、雇用管理上の問題として対応すべきものかどうかについては、単に受けた者が不快であると感じただけ(主観だけ)では不十分であり、その言動に係る一定の客観性が必要です。

これ自体は真っ当なことだと思う。まず「受けた者にとってのハラスメント」があり、しかしそれは必ずしも「客観的に中止すべきハラスメント」とは限らない。倫理的にも論理的にも問題ないと思う。

ただ、これを峻別できる人類どれくらいいるかな、とも思う。5人のうち4人はTwitterの内容も理解できていない可能性がある、とまで言われている現実の中で、主観的なハラスメントと客観的なハラスメントをきちんと分けて考えられる人がどれだけいるか。

日本人の6人に1人は偏差値40以下、5人に1人は役所の書類を申請できない…“見えない格差”をつくった知識社会のザンコク | 文春オンライン

したがって、ハラスメントのこの定義は、けっこう脆弱性になりうると思った。「受けた者にとってのハラスメント」という概念だけで、現実世界においては十分他者への攻撃に使えうる。

脆弱性はしばしば仕様の理想と運用の現実のギャップで生まれる。ハラスメントの濫用は、まさにその脆弱性を突いた攻撃と言える。司法の場までもっていければ適正な判断をしてもらえるかもしれないが、しかしそれ自体が一般人にとっては相当に荷が重い行為であり、これもまた社会の脆弱性だ。

できる限り関わらない

これは結局のところ悪意を持った人間との戦いで、いくら修正パッチをあてても、マクロではどこまでいってもいたちごっこになってしまうのだろう。我々は全体として愚かだという前提を忘れてはならない。

個人としては、常に相手の悪意を感じ取ることを怠らず、どうも敵対的だぞ、と認識できた時点で、できる限り関わらない、距離を置くようにするくらいしか、自衛の策はなさそうだ。

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