本記事は、私が実際に使った経験から、4,5,6,7,10インチのスマホ・タブレットの使い勝手を書き出し、メリット・デメリットを考慮のうえ、どんな生活スタイルにどのサイズのデバイスがうってつけかを、考察するものです。
スマホとタブレット
複数のスマホ、タブレットを使っています。振り返ってみると、4,5,6,7,10インチと、色々なサイズのデバイスを使ってきました。使い続けているものもあるし、ほとんど使わない、使わなかったものもあります。それぞれのサイズにメリットとデメリットがあり、その人の使用目的や持ち歩きスタイルによって、その使用感は大きく異なります。サイズによって、スマホ的な特徴、タブレット的な特徴のどちらがどれだけ色濃く出るかが変わるからです。
さっと何かをしたいのか、じっくり何かに取り組みたいのか、前者であればスマホがよいし、後者であればタブレットがよい。厄介なのは、そのどちらもが必要なことだということです。しかし、人によってどちらに重きをおくかは異なりますし、またその日その時その場所のシチュエーションによって、どちらが重要視されるかも変わります。
各サイズがどんな人にオススメか、私の拙い経験から書き留めます。なお、電子書籍用途に特化した記事もあります(「電子書籍を利用する観点からみたデバイスの大きさについて : 或る阿呆の記」)。
各サイズの特色
サイズごとに分けて記述していきます。
4インチ:最短のアクション
4インチで私が使用したデバイスはiPhone 5です。今もiPod touchとして現役でバリバリ使われています。
このサイズの素晴らしいところは、なんといっても取り回しの良さ、機動性の高さでしょう。ほとんどのズボンのポケットに入り、邪魔にならないサイズです。片手でさっと取り出して、さっと操作できるのが魅力。特に一般的な女性や、手が小さい男性(すなわち私)にとって、片手で操作できる限界のサイズだといえます。昔は4インチでも大型扱いでしたが、今は4インチは小型の部類に入り、ホビット族には厳しい世の中です。IT業界は欧米の男性が動かしている面が如実に現れている部分だと思います。
取り回しの良さは、特にミュージックプレイヤー、メモ、ToDo、スケジュール管理、カメラ、ちょっとした調べ物といった用途で真価を発揮します。最短のアクションで必要なツールにアクセスできるのです。もちろん操作は片手でOK。このスピード感は、4インチ以下の端末にしかないものといってよいでしょう。
しかしながら、何か文章や動画などをじっくり閲覧するには、やはり画面が小さいと認めざるを得ません。Webブラウジングや電子書籍は、どちらかというと不得手です。特に電子書籍については、かなり限定的にしか使えないものと考えたほうがよいでしょう。動画も、ちょっとしたライブ映像などを数分見るには良いのですが、ある程度長時間の映画、ドラマ、アニメなどを見るにはやはり寂しい。つまり、ある程度の時間を要する作業をしていると、不便さが際立ってくるといえます。
以上より、4インチはザ・モバイルと言うべき大きさです。普段デバイスをポケットに入れておき、必要な時に最短時間で必要なことをしたい、という人向けであるといえます。しかし、じっくりと文章を読んだりと動画を見たりなど、腰を据えた作業をモバイルに求めるのであれば、別にタブレットが不可欠でしょう。それも、持ち運び用と、屋内長時間用の二種類を必要とするかもしれません。
5インチ:モバイルの限界
最近はこのサイズが増えました。私が使用してきた5インチデバイスは、Xperia Z3 です。
5インチは、モバイルの限界を追求したサイズではないでしょうか。モバイルと、モバイルでないものの境界線を探った結果、辿り着いた境地だと思います。基本的な特性は4インチで書いたものと同じなのですが、大型化の結果、メリットとデメリットがそれぞれ薄れます。
当然ながら、取り回しは4インチほどよくはありません。ポケットに入るかというと、微妙なところです。私はやや辛いと思います。出来ないことはありません。しかし、日常的にポケットに入れようとは思いません。そもそもポケットに入らない、という服もけっこうあります。しかし、許容範囲だという人もいるでしょう。微妙なところです。胸ポケットならば余裕があるので、スーツや作業着には良いのではないでしょうか。
片手での操作も、出来ないことはないが厳しいです。手の大きい人であれば、比較的楽にはなるでしょうが。私のように手の小さな人には厳しい。文字入力がまずしんどい。まぁ大方の人は、片手を基本にして補助的に両手を使う、という使い方になるように思います。
以上から、4インチデバイスのように、さっと取り出してさっと使う、というスピード感は若干薄れます。
しかしながら、画面が大型化したおかげで、4インチデバイスの端末では辛いところのあったWebブラウジングや電子書籍は非常に楽になります。特に電子書籍についてその差は非常に大きいです。5インチあればなんとか読む気になれます。画像タイプのもの(自炊本やデザイン性の高い電子書籍などにありがち)も、文庫本サイズのものであれば十分読めます。動画もまぁまぁ楽しめますし、モバイルでありながら、それなりにじっくりとコンテンツを楽しむことができるのが、大きな魅力といえます。
つまり5インチは、モバイルの範囲内で、モバイルで出来ることを限界ギリギリまで突き詰めた大きさです。スマホをズボンのポケットに入れず、他にタブレットを持っている人に向いています。
6インチ:これ一つでOK
6インチはファブレットと呼ばれる領域(2017年、その呼び名はあまり聞かなくなりました)で、やけに高い機種が多いジャンルです。Kindleなどの多くの電子書籍リーダーが採用しているサイズでもあります。私が使用してきた6インチデバイスは、Kindle Paperwhite と Kobo glo です。少し前までは空白地帯でしたが、最近は安いのも含めて色々でてきました。
ファブレットなんて言いますけど、私はこれはタブレットだと思います。6インチにもなると、持ち運びはカバンが基本ですし(スーツの胸ポケットに入れている人もいるのでしょうか?)、アングロサクソンでも片手操作はできないものと思います。ただ、とても小型のタブレットです。外に持っていくには、非常に便が良い。
電子書籍リーダーにもなるくらいですから、ある種の電子書籍には最適なサイズです。私も、この大きさが一番良いのではないかと思うのです。文字主体の本がとても自然に読めます。漫画なども単ページであればそれなりの大きさで楽しめます。そして、軽い。小さいだけあって、軽い。この軽さは、長時間手に持つような端末では思っている以上にきいてきます。
6インチは、タブレットの範囲内で、限界までスマホのメリットを取り入れようとした大きさとといえます。まず、なんでも一台でこなしたい人はこの大きさが候補に上がるでしょう。多分、色々なことを我慢することになりますが、それは可能であると思います。あるいは、別にスマホがあるけれど、外でも使えるような小型のタブレットが欲しい人向けです。特に4インチのスマホを持っている場合、外用のタブレットとして有力な選択肢になります。
7インチ:とにかく何か欲しいなら
Nexus 7が切り開いた7インチ。中途半端だとか色々言われていましたが、いまやタブレットのスタンダード的なサイズです。私が使ってきたのはNexus 7(2012)、文鎮化などもしましたが、アレコレあってなんとか復活。その後は身内に譲りました。使われているのだろうか。
7インチという画面はそれなりに大きくて、その快適度はスマホとは一線を画します。さすがタブレット。ポケットに入れるのは無理というものですが、たいていのカバンにはすっぽりとおさまってくれるサイズでもあります。持ち運びがしやすく、画面もそれなりの大きさなので使いやすいのが7インチタブレットです。10インチのタブレットはあまり持ち歩く気になれませんが、7インチならばまだ持ち歩こうかと思えますし、入るカバンも格段に多い。
これだけだと、6インチのものと使い勝手があまり変わらないような気がします。しかし、7インチは完全にタブレットです。スマホを買わずに6インチタブレット(ファブレット)一台で済ませる、なるほど可能かもしれません。しかしスマホを買わずに7インチタブレット一台で済ませる…それはちょっと無理なのではないかな。そういう違いがあります。
であれば、6インチのほうがよいのか、というともちろんそう簡単なものではなく、当然ながら画面が大きい分6インチよりも見やすいのです。できることも増えます。一方、大きい分どうしても重たくはなるので、読書端末として見た場合、6インチと7インチのどちらがよいのか、難しいところです。軽さと小ささを取るか、見やすさを取るか。
外と中でそれぞれどれくらい使うかが一つの基準になりましょうか。ほとんど外での利用を考えるのであれば、6インチが良いかもしれませんが、中での利用も多いのであれば、7インチはバランスの良い選択肢だと思います。つまり、7インチは外でも中でもタブレットを使いたい人向けです。あるいは、このように利用シーンの多いサイズであることから、なんでも良いからとにかくタブレットなるものを使ってみたい人向けともいえます。
注意点ですが、7インチは他のサイズのデバイスにより最も存在意義が失われやすいサイズだとも思います。たとえば5インチと10インチのデバイスを他に持っていた場合、外では小回りのきく5インチを使って、中では10インチのタブレットを使う、という風になりがちです。なりました。自分の利用目的、利用シーンをよく考えないと、置物になりかねません。まぁとはいえ、デバイスが3台以上になってしまう人は、もはや所有そのものが目的化していることも往々にしてあります。ありました。
10インチ:ごろ寝のお供
10インチは私がもっともヘビーに使っているサイズです。初代iPad、第三世代iPad、iPad Air 2と使ってきました。初代は期待していたほど使用しなかったのですが、Retina化したことで一気に使用頻度が増え、そしてCPUがパワーアップしたiPad Air 2はもう言うことがなく、毎日便利に使っています。Androidでは、KALOS 2というちょっとマイナーな機種を使っています。
さて、10インチの利用シーンですが…これはもう決まっているのです。10インチタブレットは、ごろ寝のお供です。ベッドで寝っ転がって使うのです。ソファであくびをしながら使うのです。椅子に座ってお茶を飲みながら使うのです。堕落アイテムなのです。
これだけではあんまりなので、もう少し真っ当なことも書きます。電子書籍としても使い勝手は良く、漫画を見開きで読める、大判の技術書や楽譜も、縦置きにすればまぁ読める(本当はもっと大きいサイズが望ましいですが)といった利点があります。反面、文庫本の小説などは読む気になりません。動画を見るのにも十分な臨場感を得られるサイズです。わざわざこれで音楽を聞こうとは思いませんが。
画面が小さなラップトップに近いくらいあるので、長時間の作業も比較的楽にできます。実際、CGや音楽制作に関わる創造的なアプリケーションも多くあり、利用している人も多いようです。私はiPadでは一切使ったことがありません…何度かトライもしているのですが、ファイルの取り回しなどが妙に不便というかなんというか。まぁでも、そういう用途の人もいるようです。
オフィスも使えますが…タブレットでオフィス目当ての人っているのでしょうか…本格的に使っている人、見たことないですが、まぁそういう人は素直にPCを買ったほうがよいと思います。
ということで、誤解を恐れずに言うと、10インチは堕落したい人向けです。私は10インチが一番好きです。
まとめ
まとめとして、以下のような感じでオススメします。
- スマホをポケットに入れたい→4インチ
- できる限りいろんなことをスマホでしたい→5インチ
- 2台持ちが嫌→6インチ
- できる限り小型のタブレットが欲しい→6インチ
- 持ち運びやすいタブレットが欲しい→7インチ
- 何でもいいからタブレットが欲しい→7インチ
- 長時間の作業をする→10インチ
- 堕落したい→10インチ Recommended!
最初にもあげましたが、関連記事として電子書籍用途に特化した場合の記事ものっけておきます→電子書籍を利用する観点からみたデバイスの大きさについて : 或る阿呆の記
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