楽天モバイルが1GB無料やめるっていうから、乗り換えることにした。で、乗り換え先を探した。MVNOなんてどこでも一緒みたいに思われるかもしれないが、そうでもない。よく見るとそのプランにはけっこう会社の特色というか、ポリシーみたいなのが反映されているように思う。
独断と偏見にもとづいて語る。
まず勝手に大別する
まず、ざっくりと2タイプにわけようと思う。大まかに言って、下記2種類だと思う。
- 我々におまかせあれ系
- ユーザの選択を尊重します系
我々におまかせあれ
「ユーザは通信料金に課題意識があるけれど、本当はあまり考えたくない」という仮定にもとづいている。そして多分、この仮定は正しい。通信のブランドがその人の人生に与える影響は一般的に大きくはない。この仮定は少ないプランなどユーザにとってのわかりやすさに反映されており、結果としてサービスの質に繋がっていると思う。
従来のキャリアはそうではなかった。多分、従来キャリアの仮定はむしろ「ユーザは阿呆である」だったんじゃないかと思う。で、料金体系を複雑にしたり解約忘れ狙いのオプションサービスで搾り取っていた。料金はバカ高かった。でも、サポートは手厚かった。
サポートを必要とせず、阿呆のサポート代を払うのを嫌気した人たちは、格安SIMに向かった。「通信料金」について課題意識を持っている人たちだ。彼らは三大キャリアの客ほど甘くはない。
そんな客向けだからなのか、今の格安SIMはどこもなかなかどうして悪くなく、考えるコストがないことを思うと、現状いいサービスが多いなと思う。ただ「なんとかいっぱい使って欲しい」という願望がそこかしこに出ているのは注意だ。欲望の導火線に火をつけようとあの手この手の策を練る。商売人や。正しい正しい。
なお、特典はつける。ユーザは通信料金についてあまり考えたくないはずだから、料金に明らかな差がなければ使い続けてくれるはず。となれば、とにかく使いはじめてもらうことが大事だ。
特定のサービスに特化したオプションもつける。時には無料で。そのサービスを使うユーザにとって、魅力的に映るはずだから。
ユーザの選択を尊重します
「ユーザは自分に必要なものをわかっており、それを積極的に選ぼうとする」という仮定がある。現実にはたいていのユーザはそうではない。しかし確実にいる。それを知っている。そんな感じ。この考えは、主にプランの柔軟性と、平時の料金の安さに反映される。
余計なことはしない。特典は必ずしもつけない。あっても微妙だ。それもそのはず、既存ユーザは特典の原資を払うのは自分だと知っているはずだからだ。豪華な特典の原資になりたくないと考えたユーザは、よりお得なプランを求めて離れていってしまうかもしれない。
特定のサービスに特化したサービスもあまりしない。理由は同上。サービスの原資はそのサービスを使わないユーザだと、ユーザにはわかるはずだからだ。
こう書くとなんだか善玉っぽいけれど、「本来会社が考えるべきことをユーザに考えさせている」という見方もできるかもしれない。ちょっとそれを感じることもあった。
我々におまかせあれ系
以下、個別に見ていく。
LINEMO
LINEMOの印象は、「頭一つ抜けて賢い」だ。プランの割り切り方、特典の付け方がわかりやすく合理的だ。3GBのミニプランと20GBのスマホプランのみ。楽天モバイルからの乗り換え狙い撃ちキャンペーンも、半年間PayPayポイントつけるよとわかりやすくかつ、恐らく事務的にもすごく楽なもの。派手なキャンペーンで目を引きつつも、抑えるべきコストはきっちり抑えている。
平時の料金は他サービスと比べて格別安くもないが、特典を考えるとしばらくは間違いなくお得。まぁ1年2年と長く使うにつれて、特典の原資は回収されてしまうのだが、しかしまぁ切り替えのコストもめんどいしなと思わせる程度には高くない。商売が上手い。
nuroモバイル
安心の信頼のソニーグループ。LINEに抵抗のある人でもソニーなら問題ないであろう。しかもnuroモバイルは平時の料金もきっちりちゃんと安い。3GB勢力ならフツーにバリュープラスの3GB契約しちゃっても問題ない。
ただ本当は20GBのNEOプランにしてほしいのか、2022年9月現在、15000円のキャッシュバックをやっていた(Neo Liteは対象外なので要注意)。キャッシュバックって確かに強いんだけど、手続きが面倒なんだよね。まぁ確実に10ヶ月使わせられるってことでやる方としても硬いんだろうけどさ。でもここでキャッシュバックをやってしまうところが、nuroモバイルの新しくなりきれんところだなと思う。
楽天モバイル
何がしたいのか。
まぁ口悪いんだけど、先にユーザーをボロカス言ってきたのはミッキーなので。血を入れ替えられたとかね、薄汚れた血ですまんかったなミッキー。
一応評価すると、プラン自体は20GB以上使う場合は競争力がある。3GB、20GBだと微妙。1プランだけど、実質3プランみたいなもん。3GB、20GBにラインがあって、ラインを超えると自動で値上がりするんだよね。これは便利そうに見えて実際にはただただ神経を使うだけだし、ラインの上限決めをサービス側でやろうとしないところが実に楽天だなと思う。
よく言われるように、繋がりづらい場所が多いのはガチ。楽天モバイルはずっとサブで使っていたので、DoCoMoやauの回線と1年半比較し続けた僕は、身を以てそれを知っている。品質は悪い。まぁこれは仕方ない面もある。
楽天モバイルが出た時は正直けっこう応援していた。三大キャリアの振る舞いには疑問点が多かった。でもahamoが出て、それを追う形で他キャリアのプランも様変わりした今となっては、もはや楽天モバイルはその存在意義すら怪しい。ahamoの登場に影響は与えたろうが、それより一番の影響はガースーやろし。
で、今やっていることはプラチナバンド寄越せっていうだけ。電波オークションにしようとか言い出すなら応援するんだけど、むしろ反対して足引っ張っている(まぁ言い分はわかるんだけれど)。日本の電波行政に一石を投じるっていうんなら今からでも本当に応援するし残るけど、そうじゃないんだよね。だったらいらん。人口1億程度でこれから衰退するばかりの斜陽国ジャパンにMNO4つもいらんねん。
「ぶっちゃけずっと0円で使われても困る」のはそうだろうけれど、それにしてもやり方がある。今後、「ぶっちゃけ本当に無制限に使われても困る」とか言い出さないことを祈るばかりだ。
ユーザの選択を尊重します系
日本通信
日本通信の合理的シンプルプランは、従来の使い方を突き詰めて考え、最良の形を提示した。なんかいきなりべた褒めだけど本当にそう思う。
1GBの基本料金290円、1GBの上乗せ220円。ユーザはその月ごとの使い方で、適切な料金を支払うことができる。それを好むユーザは、確かにきっと賢く、堅実な人たちだと思う。
そんな日本通信は、大仰なキャンペーンに金を割かないようだ。ユーザの支払った金は、きっちりユーザ全体へのサービスに反映させているのだろう。堅実な商売。素晴らしい。
povo 2.0
povo 2.0はめちゃくちゃ面白い。掟破りのベース料金0円は衝撃である。必要な時だけトッピングをする考え方だ。それは即座に反映される。これほどまでに、ユーザの選択に任せたサービスは他にない。
ただ、メインではちょっと使いづらい。トッピングの料金は別段安くないというのもあり、たとえば常に3GBトッピングすると月額990円になる。まぁ高くもないんだが。
だが何よりも、「とりあえず契約しておける」の強さはガチ。大規模通信障害時には大活躍することだろう……まぁこの前起きたのはauなんですけどね。
IIJ mio
MVNOの老舗IIJは、細かな料金プランをもち、特に2GBと4GBで分かれているのは特徴的だと言える。
しかし……正直、中途半端だとも思った。実際、同じユーザーでも月ごとの利用料は必ずしも一定にならない。2GBと4GBでプランをわけることが、本当にユーザのためになっているだろうか。本当にユーザのことを考えるならば、日本通信のようなリーズナブルなデータ上乗せプランこそ最適だろう。IIJのプランは、ユーザの細かなニーズに応えたように見えて、実はユーザにリスクを転嫁しているのではないだろうか。これはIIJに限らず、多すぎるプランを用意したMVNO全体に言える。
インターネットの雄でもあるIIJには挑戦の意欲もある。eSIMのデータゼロプランなんか面白い試みだ。しかしこれもpovoの前では霞む。本当はpovoをやりたかったのかもしれない。でも、povoのところでも言及したが、povoはメインだと割高になりがちなのが現状だし、従来のプランとあまりにも違い過ぎて、mioを抱えるIIJには実際できないだろう。povoはauのサブブランドだからできたことだと思う。
ユーザの選択を尊重したいというのはまぁ本当にそう考えているのだと思うし、新しいこともやろうとしているが、ふりきれない苦しい立ち位置にいるなという感じ。個人的には頑張ってほしいと思っている。
おすすめ
キャンペーンとか調べるの好きな戦士の紳士淑女に置かれては、情報収集に励みご自身のライフスタイルを勘案して決められたらよろしい。
そうではなく、正直通信に対する熱量はあんまりないんだけど、無駄金は払いたくないし、かといって安かろう悪かろうも嫌だし……という人向けに、僕からのおすすめも提案しておく。
何も考えたくない人は、とりあえずnuroモバイルが無難かな、と思う。僕がもし母にすすめるとしたら、これになる。外に出て大したことしないなら3GBプラン、いっぱい使うなら20GBプラン。
それ以上使う人は、楽天Unlimitedが選択肢に入るけれど、そういう人はいわゆる「ヘビーユーザ」なので、人のおすすめに従うのではなく、ヘビーユーザらしく自分で積極的に情報を集め考えて決めるがよいだろう。
もうちょっと、自分の通信料金について把握する気がある人なら、日本通信が良いと思う。本当に使った分だけ払える。
あといずれにしても、スマートフォンがデュアルSIM対応ならば、使わなくてもpovoを契約しておくのは良い選択。メインはDoCoMoかSoftbankにしておいて、サブはau回線というわけだ。これで大規模通信障害が起きても、だいたい大丈夫なはず。障害は必ず起きます。起きた。
僕の選択
LINEMOミニプランに転入しました。
だって半年間タダなる。初期費用もかからない。これよりお得なのない。多分。ユーザのことを本当に考え尽くしたのは、路線は違えど、LINEMOと日本通信だと思った。
1年くらい使ったら日本通信に変えるかもしれないし、面倒臭いから使い続けるかもしれないし、よりお得なプランや特典を求めて変えるかもしれない。まぁとりあえず、しばらくLINEMOのお世話になります。薄汚れた乞食だけどよろしくね(´ε` )
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