今回のアメリカ大統領線は、下馬評を裏切りトランプの大勝利となりました。個人的には両候補のどちらも好ましく思えないので、アメリカ人の思うままに選べばよいと思っていましたが、内心ではなんだかんだでヒラリーになるのだろうと、当日のお昼頃(日本時間)まで思っていました。本当にトランプとはねぇ。
ポリティカル・コレクトネスと「空気」
あちこちで大騒ぎです。政治的な話題はヒートアップしがちで、互いに言葉の刃で傷つけ合うだけになることが多いので、基本的に避けているのですが、今回ばかりは私もそれなりに関心をもち、あれこれと種々の意見を読ませてもらいました。その中で気になったのが、ポリティカル・コレクトネス(略称PC)という言葉で、これがなかなか面白い。
初めて聞いた言葉なので、Google先生に聞いてみると、「ポリティカル・コレクトネスとは?「平等」の本当の意味が面白い | 藤沢祐子(wasabi)」という記事がトップに出ました。なかなかわかりやすい。上記記事によれば、簡単に言うと「差別的な表現をなくそうというもの」だそうです。それだけ聞くと何の問題もなさそうですが、その差別的表現の範囲が広がってくると、これも言ってはいけないのか、と、なかなか窮屈な思いをすることもあるのだとか。色々調べてみると、どうやらここ数年、巷ではかなり議論されているテーマのようです。
ポリティカル・コレクトネスを気にして、言いたいことが言えない。どうにも日本語に訳しづらい字面が象徴するいかにも欧米産な概念の割に、なかなかどうして日本的な現象です。上記参考記事においては、PCの影響として下記の例があげられています。
シーズン19のエピソード「Stunning and Brave」のテーマは、自身の出演したリアリティ番組をきっかけに性同一性障害だったことを告白し、女性に性転換をしたことが話題となった、元アメフト選手ケイトリン・ジェンナー。アメリカでは彼女のことを“Stunning and Brave”(魅力的で、勇敢だ)と評価するのがポリティカル・コレクトネス(PC)の観点から一般的だそうです。というのも彼女のことを悪く言うのは「ダサイ」ことで、許されるべきではないという空気感があるそう。
空気感ときましたか。そういうことが言える「空気」ではない、と。はは。誰に言われたわけでもないが、言ってはいけないような気がする何か、それはきっと、「空気」としか表現できないのでしょうね。
本音と建前
今回のトランプ旋風の一因に、行き過ぎたポリティカル・コレクトネスの反動があったのではないかと、そんな指摘がありました。窮屈な思いをしている白人男性ということでしょうか。
まぁ、どの世界でも、マイノリティがだいたいマジョリティの中に潜んでいるものです。端的に言えば、マジョリティに属しているにも関わらず、マジョリティの恩恵に与れていないとか、あるいは集団の恩恵ではなく本人の努力の賜物であるとか、実際はどうあれ少なくとも当人はそう思っている、そんな人たちですね。
そんな人たちが、表向きはヒラリーを支持(というよりトランプを不支持)しながら、実際にはトランプを支持し、どんでん返しが起きたのだ、という主張。なかなか面白い主張です。つまり本音と建前でしょうか。は、は、は。
「空気」が生まれる場
そういえば先日、移民問題について考えるアメリカの市民の話をテレビで見ました。このデリケートな問題を、さすがアメリカ人はよく議論しているのだなぁと思っていましたけれど、ひょっとすると、都市部ではそれを議論することさえも許されないような「空気」もあったのでしょうか。
これは私の感覚ですが、個が集団に飲み込まれるとき、「空気」が生まれると思います(あるいは逆なのだろうか?)。アメリカはもっと風通しの良い国だと思っていたのですが。
まぁ、いずれにせよ、今回のトランプ旋風は色々なことの反動なのは確かなのでしょう。とりあえず私としては、来る円高に備えてPCパーツの物色でもしようかな。やっぱり私は、Personal Computerの話のほうが性に合っているな。
2016/11/14追記:円高どころか円安になってますな。PCパーツの値下がりだけが楽しみだったのに…。私は投資をしないほうがいいということがよくわかる。
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