Macのステージマネージャは結局5日でやめた:シングルタスクとは何か問題

以前、Macの(not iPad)ステージマネージャについて記事を書きました。

この記事の内容を端的にまとめると、

  • ステージマネージャはiPad的なマルチタスクモドキで、PCの観点ではあえてマルチタスクをやめる集中モード 2.0みたいな機能
  • UIは画面左側にアプリのグループをまとめ、クリック一つでメイン領域のアプリを切り替えていくもの
  • 所感は、「便利なユースケースはありそうだが、不便なユースケースが一つでもあると耐えられないため、恐らく使わない。しかし使ってみないことには評価できないので、しばらく使って見る」

で、実際使い初めて、しばらくは「お、案外使えるな」と思っていたのですけれど、あれから5日、結局ステージマネージャを切りました。

目次

便利だったところ

いきなりネガティブな話もなんなので、先に良かった話をしましょう。ステージマネージャには便利なところもありました。

たとえば「メールアプリ、Slack、チャットアプリを切り替える」というような時に便利でした。これはどういうことかと言うと、「(いろいろなメディアの)新着を確認したい」というざっくりしたタスクにおいて、複数のアプリが整頓され、スムーズに切り替えられるのが便利だった、ということになります。

なので、しばらくは「案外使えるかも」と思っていました。

ステージマネージャを切った理由

しかし、結局切ることになります。

ステージマネージャを切った理由を端的に言うと、「ディスプレイ領域が狭くなる」です。具体的には「左手にChatGPT……右手にWebブラウジング……合体!ChatGPTブラウジング!」をやろうとして、問題が発生しました。

僕が使うChatGPTはアプリではなくWebブラウザ版を使っているため、同じアプリであり、表示自体は可能です。可能ですが、ステージマネージャ、ChatGPT、Webブラウジングの3列体制は、できないわけではないがつらい。が、僕のメインディスプレイは27インチディスプレイですが、この「画面領域が狭い」問題は物理的な制約であるため如何ともし難い。

この場合、ステージマネージャはアプリ表示領域を非表示にすることができます。

しかしステージマネージャを非表示にすると、ステージマネージャを使うメリットの9割方が消失し、一方デメリットだけは残るような感覚がありました。どうやら自分が感じていたステージマネージャの快適性は、常にアプリ候補が見えていること、ワンタッチで切り替えられることにあったようです。

しかし非表示にするとその恩恵は受けられなくなります。いやむしろ、通常の画面でウィンドウの表示領域をそれぞれ調整するなどしたほうが、よほどアプリの切り替えがやりやすいです。

で、「これ何の意味があるねん」という気持ちが募り、結局ステージマネージャを切りました。使い始めてから5日でした。

シングルタスクの"シングル"とは何か

今回の問題は、結局のところ「複数ウィンドウ並べたくなったらつらいだろう」という当初考えていたユースケースの一つにぶち当たったということになります。

これは本質的にステージマネージャがシングルタスクの集中モードだからですけれど、「シングルタスクとは何か」でもあります。この場合のシングルタスクはコンピュータ用語としてよりも、ビジネス用語、いや、実作業に基づいた「シングル」の側面が強いでしょう。すると、複数のアプリを並列に並べるタスクって実際あるわけで、一つのアプリを中心に据える、アプリ中心思想のステージマネージャでは、シングルタスクすら実現できない、ということになります

もとより一つのアプリで完結させることが前提になっていることが多いiOSアプリを使うiPadにおいては、大きな問題にはならないかもしれません。しかしPCは違います。複数のアプリを組み合わせて一つのタスクをこなすことが前提で、一つのアプリだけで完結する作業のほうが限定的です。ですので、ステージマネージャの思想とは、そもそもPCの文化に合わないと言わざるを得ません

この問題はステージマネージャに限らず、いわゆる「単機能」とされるすべてにおいて本質的な問題です。大昔、モバイルワードプロセッサなハードウェアであるポメラを使ったときに、「自分にとってテキストを編集するというのは、単機能すら満たしていない、不完全なものだった」と痛感したことがあります。本質的にこれと同じ問題と思います。

10年前(!)の記事ですが、考えは変わりません。以下に一部引用します。

これは常々私が難しいと考えていることなのですが、何をもって「一つ」なのかは明確ではなく、しかも人によって、かつ日々刻々と変わりうる。そして、一つの捉え方こそ、その人の性格であり、能力であり、考え方であり、センスであると私は思います。端的に言うと、ポメラの「一つ」は私の考える「一つ」ではなかったということです

何をもって単機能というのか、一つとはなにか、ポメラとノートパソコンの場合 - 或る阿呆の記

今回で言えば、"ステージマネージャの「一つ」は私の考える「一つ」ではなかった"と言えるでしょう

まとめ

まとめます。

ステージマネージャはマルチタスクモドキを実現するウィンドウマネージャ的な機能で、iPadにおいてはできることを拡張するものですが、元々マルチタスクのMacにおいては、逆にあえて制約を課す、いわゆる集中モードが本質となります。

アプリを主体とし、そのスムージングな切り替えで、やるべき作業に集中することを促します。これは特に、アプリを切り替えてこなしていくタスクで機能します。たとえば、「新着を確認する」というタスクに基づき、メール、Slack、Teams……といったアプリを切り替えるようなケースがあります。

一方で、複数のウィンドウを並べて作業する場合、できないわけではありませんが、ステージマネージャを使う意味があまりなくなります。設定も煩雑になり、普通に使ったほうが良いのでは、という結論になるのではないでしょうか。

これは、PCとiOSの根本的な思想の違いに起因するでしょう。PCは複数のアプリを連携させて一つのタスクをこなすことが普通です。なので、アプリを主体としたステージマネージャでは、「一つのタスクをこなすための最低限にも満たない」ケースが出てきます。それを、設定を頑張って無理くり使う意味はないでしょう。

作業のすべてに関わるウィンドウマネージャ的な機能は、「便利なユースケースがあること」よりも「不便な場面がないこと」のほうが優先されます。その「不便」にぶち当たるまでの時間を測っていた、という感じになりますかね。5日でした。

とはいえ、便利なシーンがあったことも確かです。仮想デスクトップごとにステージングマネージャのON/OFFおよびステージの表示・非表示を選ぶことができれば、使い所はあるかと思います。まぁでもAppleはやらないでしょうね。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • お久しぶりです
    先日、1陸技の試験結果がでてやっと合格しました
    いや、2年半ぐらいかかりました
    とりあえず、人生初の1級資格はやっぱ嬉しいです
    通信技術関係の職種なので次は、海上無線通信士(すでに4海通はありますが)を極めるべく次は2海通をがんばります

    • お久しぶりです。一陸技の合格おめでとうございます。なんのかんのいっても国家資格ですからね。
      私も最近は何故かまたレーダに関わることになりました。さすがに資格を直接使うようなことはもはやないですが……。
      通信系制覇目指して頑張ってください。

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