出るぞ出るぞというだけでちっとも音沙汰なかったMacのM3の情報だが、WWDCを控えて、急に情報が出てきた。
次期MacBook Air搭載の「M3」チップ、M2 Proを凌駕する性能か | Gadget Gate
M3のベンチマーク予測〜シングルコアがM2 Max、マルチコアがM2 Pro超えか - iPhone Mania
これによると、なんだか次のMBAはMBPよりも性能の高いものになるか、あるいは省エネのほうに振るか。いずれにせよ、別に今すぐ必要というわけでもなかったので、M2を見送ったのはやはり正解だったかもしれない?
ただそれでもポチるかはわからぬ。自分としてはほしい気持ちはあるものの、今はそれよりも生成AIのほうにハマってしまっているので、どうせ金を使うならRTX4090の資金に回したいとかなんとか、そういうわけのわからないことを思っていたりもする。
まぁでも、けっこう楽しみではある。Appleの動きは引き続き要チェックや。
とりあえずパワーアップ
M3チップ、とりあえずM2 Proからシングルコア性能は大幅に上がり、それに合わせてマルチコア性能もその倍数だけ上がる見込みだ。とすると、別段急いでない身でM2を見送ったのは正解だったような気もする。特にノートPCでは有効だろう。この分野において、まだ当分Appleの牙城は揺らぐことはなさそうだ。
開発においても、さすがにM1が出てから3年、環境は随分と整ってきた。相変わらずDocker周りではなんだかあまりよくない噂は聞くものの、まぁ自分はそんなに使ってないので……。
とはいえ、自分はノートPCはメインではないので、ポチるにしてもまずはデスクトップMacを待ちたい。M2 Pro Mac miniがつい最近出てしまったので、M3 Pro Mac miniが出るのは早くとも来年であろう。だいぶ先の話になる。それまでIntel Mac mini 2018を使い続けることになろうか。
AIの時代
しかし、実際にポチるかどうかは微妙だなという気にもなっている。
今年は2023年である。生成AIがいよいよ本格的に火を吹き始め、今世界はIT革命以来の荒波に揉まれようとしている。宝の持ち腐れだったオーバースペックは明確な用途を見出し、その用途の前にはむしろスペック不足という実感のあるこの時代、ノートはともかく、デスクトップPCにおいてはワットパフォーマンスばかりを追いかけてもいられないだろう。
実際、MacでもAI絵を出力できるStable Diffusionは使えるのだが、友人のM1 MacのNeural Engineでやってみてもらったところ、その速度は僕が使っている2017年NVIDIA GTX 1080Tiより遅い。NEが40%パワーアップしているらしいM2だともっと速いだろうとは思うし、なにより消費電力を考えると比べるのはアンフェアだが、しかしデスクトップにおいては消費電力よりも何ができるかのほうが圧倒的に重要である。
そして、Macのデスクトップは今の所あまりうまくない。Mシリーズはモバイルの用途には見事にマッチしているのだが、デスクトップになるとその拡張性のなさが仇になっている。正直デスクトップMacで頑張るくらいなら、NVIDIAのRTX4090、そこまでいかずともRTX4080くらい買ったほうが幸せになれそうだなと、生成AIにハマっている身としては思う。
macOSにこだわらなくても…
OSのこともある。さすがに今からLinuxをやるかと言われるとちょっと引いてしまうが、Windowsなら全然やれる。ってか今Windowsマシンでこの記事書いてる。
スティーブ・バルマー時代のWindowsは選択肢にも入らなかったが、サティア・ナデラという聡明な指導者を得てからというもの、MSは明確に変わり、Windowsもまたよくなった。なんといってもWSL2が素晴らしい。十分に実用的である。
一方のmacOSは、ここ10年で正直別に良くなったという気はしない。トータルの使いやすさで今なおmacOSには得難い魅力があるものの、それはここ数年でできたものというより、大昔に確立されたものがまだ残っているという感じだ。というか、やたらめったらガチガチに固めるせいで、年々使いづらくなっている気さえする。OSをアップグレードした後に繰り広げられる、各アプリケーションからの許可祭りがあるが、あれはけっこう今のMacの象徴だなと思う。あれで本当に得してる人類いるのか。
ただスマホや他Macとの連携については便利だなと思う。ユニバーサルコントロールとかクリップボード共有とか。こういうところは地味にOS抑えてるのが大きいんだろうね。
まぁでも、逆に言うとそれくらいか。僕はMacについては未だに最初に使ったSnow Leopardが一番良かったように思える。特に仮想デスクトップは絶対あの頃の4分割がよかったな。Macのフルスクリーン不便なんだよ。MacはiPhoneじゃあないんだよ。
それでも、Mac触ると馴染むようなものが感じられるから、根本の設計がよほど良かったんだろうな。
まぁそんなわけで、ノートはともかくデスクトップについては、CPUパワーが上がりました、ワットパフォーマンスもつよつよです、だと個人的にはちょっと訴求力がないな、と思う。
でもMacには期待している
と言いながら、実は期待してるんだよね。AI面だと今はちょっと存在感ないけど、第三勢力として十分なポテンシャルはあるやん。
Stable Diffusionでいえば、既にNeural Engineを使った実装がApple直々にされているわけで、これはAppleとしてもAIの可能性は大いに感じていることの証左といってよいだろう。となると、デスクトップ向けにはこの部分を強化してくる可能性はあるよなと思う。
M2のM1に対する数少ない明確な優位性の一つはNeural Engineだと思うが、Neural Engineは正直ちょっと地味な存在であったように思う。まぁそれもそのはずで、「写真がめっちゃ綺麗!」とかその用途が地味だったからだと思われ、これではメディアの提灯記事くらいしか持て囃さないのは当然だろう。Appleも正直持て余してたんじゃないか。
しかしStable Diffusionの登場で流れは一気に変わった。もはや去年とは時代が違う。
今はまだテキストについてはChatGPTの一強だが、これをStable Diffusionのようにローカルで動かせるようになれば、世界は激変する。検閲のないローカルAIこそ未来だ。そしてそれをもしMacで動かせることがあるならば、僕はいくらでも出そう。
Appleはクラウド弱いから、逆に期待できるところもあるんよね。まだまだ時間はかかるだろうし、体質的にはどこまでもクローズドな会社ではあるんだけどさ。でもハードウェアさえあれば問題ないから。
GPT-3のライバルとなるMetaの「LLaMA」をM1搭載Macで実行可能に、大規模言語モデルを普通の消費者向けハードウェアで実行可能であることが示される - GIGAZINE
現時点でこれなら、NVIDIAとは違う勢力としてコンシューマ向けに期待できるところもあるんじゃなかろうか。というか期待したいんだよなぁ。時間はかかっていいから頑張ってくれねぇかなぁ。
今にして思うと、スマホことiPhoneそれ自体は、革命というよりは革命の前哨戦という位置づけであったような気さえする。ここ10年、ネットもリアルもつまらなかった。僕が歳食ったせいだと思っていたが、Stable Diffusionの登場にはワクワクさせられたから、実際つまらなかったんだと思う。
なんだかんだで楽しみにしてる
ということでM3 Macだが、少なくともビジネス用とのモバイルPCとしては、MBAは昨今の円安を差っ引いてなお大いに期待できるものとなりそうだ。ただデスクトップMacについては、線形の進化だとちょっと微妙なものになりそうだけれど、Appleもこの時代の変化を敏感に感じ取っているはず。他のビッグテックと違ってクラウドに弱くハードに強いという特性から、中央集権的なサービス化ではなく、個人のマシンを使ったやり方に力を入れるだろう。それには期待したい。よくわからんゴーグルには期待してない。あれはやめとけ……。
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