今年も確定申告の時期がやってきた。僕は政治家ではなく日本国民であり、納税は自己の判断ではなく義務であるため、昨年の収入について正しく申告しなければならない。「しっかりと業務に使用しておりますので、納税するつもりはございません。なお使途は不明です」などと言おうものなら、我が国の真面目で勤勉なる税務署員に悪質な脱税と見做されて追徴課税まったなしである。
我がブログのちっぽけな収入ももちろん対象であり、実際国税庁はアフィリエイト収入について名指しで注意喚起をしている。
ハッシュタグの使い方は恐らく情報商材系のアフィリエイターに学んだのであろう。その甲斐あって大いにバズっており、税務署に負けず勤勉で納税意識の高い市民たちからは、#裏金のハッシュタグを忘れているというような親切な注意もなされていた。
事前準備
そんなわけで今年もe-taxを使って確定申告をした。e-taxとはおおよそ考えられるこの世のすべてのアンチパターンを煮詰めた地獄のことである。BAD UXとは何かを腹の底から理解することができるため、特にWeb系のエンジニアにとっては大いに学ぶところがあるだろう。
とはいえ一応はオンラインで完結できるので昔を思えば大したものである。まぁ真面目な話、毎年少しずつ出来ることが増えており、今はMacの最新OSからでも申告と納税はできるし、医療費についても自動で記入されるし、ICカードリーダも不要だ。気が狂ったように暗証番号を求められるのは相変わらずだが、スマホでは番号の表示ができるので打ち間違えてロックされる恐れがずいぶんと減った。
確定申告のページは地味に見つけづらいが以下である。
ただ余裕があれば、マイナポータルのページから保険証やふるさと納税、給与といったものと連携しておくとよい……かもしれない。
このページ自体は意外にも見やすい。恐らく、縦割り主義をこれ以上なくシステムに反映させたコンウェイの法則の結晶を一カ所に集めようとしているのだろう。であれば今後に期待したいところだが今はクソだ。特にログインの機構がクソオブクソ。まぁこれはマイナポータルだけではなく全体的に言えることだが。これから101回ほどカードの読み込みと暗証番号の入力を求められることになるため、覚悟しなければならない。一定回数以上入力を間違えると役所に行く羽目になる。そして暗証番号が2種類あるの本当にクソだしトラップ。
また、連携の機構も複雑かつわかりづらいうえに恩恵も少ないので、ぶっちゃけやる意味はあまりない。ふるさと納税はサイトにもよると思うが、さとふるの場合準備だけで数日かかるようだし、給与の連携(給与所得の源泉徴収が自動入力される)に至っては事業者側(会社)が対応している必要があるため、苦労して対応しても反映されるとは限らず、しかも事業者側が対応しているかどうかは利用者には不明という、納税者の殺意を高めることに特化したUX設計となっている。
保険証との連携だけは便利だと思った。以前歯を抜いた時に、10万円を超えた分の医療費控除をしようとしたが、複雑でやめた覚えがある。それが自動で入力されるようになったのはよかった。
所得の入力
さて、各種所得を入力していくことになる。
暗号資産(BTCとか)、評価方法の届出
最近1000万円を超えるなど景気の良いBTCだが、これの申告は非常に面倒臭い。今回かかった時間の7割くらいはこれ。ネットで調べてもゴミみたいな記事しか出てこず何一つ参考にならない。というかすべてのことは以下の国税庁のページを読むしかないだろう。
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)|国税庁
暗号資産が雑所得か事業所得かについて、その条件については紆余曲折あったが今は「帳簿をつけている」「収入が300万以上」が条件となったようだ。
自分は会計については素人だが、「収入」は「利益」ではないという理解だが良いだろうか。というか利益だと個人的には事業所得にする意味は半減する。一番の理由は赤字の時に繰り越せることなので。ビットコインは悪いときは年単位で下がり続けるからねぇ……(遠い目)。
まぁしかし、会社員だと副業規定とかもあってややこしいだろうし、基本的には雑所得にしておくのが無難ではある。
また、これが非常に面倒臭いのだが、資産の評価方法について届出が必要だ。評価方法というのは、損益の計算に総平均法を使うのが移動平均法を使うのか、ということである。なんでそんなもん届出する必要があるのかはわからんが、しろということなのでしなくてはいけない。もっとも、届出しなければ自動的に総平均法と見做されるようだ。というかまず、暗号資産持ってる人でこの届出の存在知っている人どんだけいるんだろうね。
僕は一昨年末に精算し、昨年からは移動平均法を採用したため、届出をする必要がある(これで察せられる人もいるかもしれないが、この精算のため年間を通じて不調の一昨年は大赤字だった。しかし雑所得であるため赤字の繰り越しはできず、儲かった時だけは容赦なく税金を搾られる……資産形成とは税制との戦いである)。
この届出はめちゃくちゃ面倒臭くて、Windows専用のe-taxソフトが必要だ。このソフトは確か昔からあるやつで、数年前にも使った覚えがある。また使うことになるとはな……。このe-taxソフトはICカードリーダが必須である。死にたい。
使い方についてはサイトを参考にしつつ、手順を一言メモしておく。申請の所得税にかかるものをインストールしたうえで、「帳票の作成」→「署名」→「送信」の手順となる。署名しないと送信できないのがわからず、しばらくハマった。送信すると謎の審査で待たされる。
FX
FXについては下記の有能記事を参考にさせていただいている。
決済の方法「仕切」って? FXの確定申告の書き方を画像22枚で解説
実践に即しており素晴らしくわかりやすく助かる。こういう記事が検索エンジンから見つけづらくなって久しい。最近は「FXは確定申告が必要でーすwwww」以外何の情報もない記事ばかりが引っかかるようになってしまった。
我らが岸田コイン円は激安化が進んでいるため、基本的にドル買いの自分にとっては結果的には利益の出しやすい年だった。2024年はどうなるかねぇ。
投信・株
昨年はS&P500を少し崩した。特定口座だが、確定申告してしまっているので申告。
証券会社によるだろうが、SBI証券ではxmlファイルをダウンロードできるので、それをアップロードするとお手軽。
四季報を経費にしたかったが、なんか入力の仕方がよくわからんかったので諦めた。
GoogleAdSense
ブログ収入の一つ。基本的に雑所得。検索エンジンゴミ化の元凶。
最近当ブログからはGoogle広告を排除したが、他のブログではまだ使っている。まぁそのうちやめるかもしれない。これの書き方は以下を参考にさせていただいた。
GoogleAdsense での確定申告の書き方 | バグ取りの日々
Amazonアソシエイト
ブログ収入の一つ。基本的に雑所得。
別段言うことはないんだが、12万を超えると源泉徴収されるらしい。それくらい稼いでみたいもんだね。
Amazonアソシエイトで源泉徴収されていたら確定申告時にやっておくといい事まとめ
ふるさと納税
これも特に言うことはないんだが、俺たちのふるさと納税について忘れずに入力をする。これを忘れたら何がなんだかわからない。サラリーマンの数少ない実質的な節税手段であるため是非活用したいところだ。
自分は昔、ふるさと納税というのは筋が悪いと思っていたが、これについては発案者の高橋洋一がYouTubeで税金の振り分けや使途に官僚が関われないのがポイント、というようなことを言っており得心した。
金の流れとはすなわち権力のベクトルである。これは大人にわかったことの一つ。自公政権がガソリン税についてトリガー条項凍結解除を絶対拒否し、補助金にこだわるのはこのためだ。減税とは政治家や官僚の力を削ぐ行為なのである。彼らはなんとしても「お上が与える」構図を壊したくないのである。ふるさと納税で地方が自律して税を集められるなど、優秀なる中央官僚にとって許しがたい越権行為というわけだ。地方創生(笑)。
納税
艱難辛苦を乗り越えて確定申告をしたならば、ここでようやく念願の納税ができる。ここまできたらあと少し。インターネットバンキングでさっさと納めてしまおう。以前は利用者識別番号を求められたりなんだりして死にかけた記憶があるが、今回はe-taxから割合すぐできた。それとも以前設定したからなんだろうか。なにはともあれ、お疲れ様でした俺!
それにしても、なぜ俺は青息吐息で金を払おうと頑張っているのか。実に哲学的な気分だ。ビジネスでは金を払ってもらうために苦労するが、政府と国民の関係においては金を払うために苦労する。こうして苦労して納めた税金が、政治家のパーティー券になったり、政治家全体の奉仕者の給金になったり、天下り役人を迎えた企業・業界の補助金になったりするんだなと思うと、なんともやるせない。
#確定申告ボイコットと言いたくなる気持ちもわかるが、いくらTwitterで吠えたところで政治家も役人も痛くも痒くもあるまいな。そもそも年末調整のある日本において、確定申告をしている人たちは限られているため、大きな勢いにはならないだろう。俺は税と保険料を引かれたなけなしの給与から、酒税と消費税を払って、慰みとお疲れ様の大吟醸を一人飲むのであった。
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