ここ最近、続けて悪夢を3つばかり見ている。それも今までと少し違うタイプの悪夢で、いや、正直悪夢と言っていいのかどうかもよくわからない感じだ。
まず一つは殺される夢、もう一つは犯される夢、そして精神退行する夢。特に精神退行の夢は今までにないタイプの悪夢だった。いや、悪夢といっていいのかどうかも正直よくわからないが……最悪な気分で起きたことは確かだ。
殺される夢
最初に目が覚めた時、普通の夢を見ていた。なんか部屋に業者のオッサンがいたので、何かをしてもらっていのかもしれない。この時点ではなんともない。ただ僕は慢性的な不眠で、これは中途覚醒だった。まだ若干の眠気があったから、もう少し寝たいと思って目を瞑ると、眠ることができて、夢の続きを見た。
すると、それまで普通の夢だったのに突如サスペンスドラマ風に急転直下の展開になった。
突然部屋の扉をドンドン叩かれて、近くにいた業者のオッサンっぽい人に「開けようや」みたいなことを言われたけど、明らかに異常だ。「え?やばくね?」と思った。開けずに「誰?」ってきいたら返事がない。ヤバい。怖い。それでもなぜか業者っぽいオッサンは「開けろ」っていう。なんでやねん。扉はドンドンしてるし怖すぎて開けられない。
すると、ドアのチェーンをバッサリ切られた。絶対ヤバいと思って逃げた。業者のオッサンも逃げた。オイ。でも部屋で追い詰められてしまった。入ってきたのはドレッドヘアの黒人の男だ。「お前は知ってはいけないことを知った」みたいなことを言われた。業者のオッサン逃げてこっちを遠巻きに見てる。てめぇ。そしてドレッドヘア男は何かを振りかざす。
僕は「あ、死ぬんだ」と思った。死ぬ時って何を最後に思うんだろう、とやけに冷静に自分を見つめていた。そして、「あ、何かを思うほどの余裕はないんだな」と思ったところで目が覚めた。
殺される夢を見たのは初めてじゃないんだけれど、死ぬ自分を観察している感じが今までにない感じだった。あと、中途覚醒の後、寝ずに起きていたらこの夢見なかったんだよな、っていう。
性転換して犯される夢
もう一つ、犯される夢を見た。僕はもう30代後半のオッサンなんだが、なんだろう、女になったのかなぁ、それとも両性具有的だったのか、女として女性器を犯されるという夢だ。これは、誰によってとか、どういうシチュエーションだったのかとかは、全然覚えていない。ただずっと、下腹部に出し入れされていて、抵抗もできずただ犯されていた。起きた後意味不明過ぎて「……?」ってなった。
昔にも、犯されかける夢を見たことはある。そのときは犯される直前で目が覚めた。そもそも男としてだった。そういえば大柄の黒人に、だったな。なんだろうなぁ。念のため書くけど、当然のことながら差別的意図は一切ない。夢の話。そもそも僕は日本人で黒人とは接点がない。強いて言えば学生時代にアメ村で黒人店員に絡まれてビビったことがあるくらいだ。むしろ関係が希薄だからシンボル的なのかもしれない。いずれにせよ、過去の夢の繰り返しのパターンの一つではあるんだよな。
ただ、今回の女として犯される夢は、誰にされたのかはまったく覚えてない。感覚は鈍化していて、当然僕に女性器なんかついてないから未知の感覚だが、夢の中では金玉あたりがむずむずするような感覚だった。ただ、今まさに犯されているということだけはわかった。
なお、感覚というところだが、僕は夢の中である程度の感覚を感じられる。昔「これは夢かどうか?」と夢の中で疑問に思って、頬をつねったら痛かった、という夢を見たことがある。ただ現実の感覚とは違うもので、何か脳の中で作られた感覚、という感じ。
精神退行、記憶を一時的に失う夢
これが今回記事を書くきっかけになった、もっとも変な夢なのだが、精神退行する夢だ。セットで記憶喪失や受験の失敗などもある。これは、今までに類似のものがないタイプの悪夢だった。いや、悪夢なのかどうか……。
舞台は大学受験だ。起きると、紀菱大学合格おめでとうと書かれた部屋があった。どうやらその大学に合格したらしい。この紀菱大学はどことなく三菱っぽい名前をしているが、銀行系の進路を主とするところで、1897年には既にあったらしいことが新聞みたいな形で示されていた。
現実にそんな大学は存在しない。現実の僕は大阪大学に入っている。本命は京都大学だったがセンター試験の結果が悪くて、日和った。学部は理工系で、現在も一応はエンジニアだ。銀行は僕のキャリアと一切関係がない。強いて言えば独立したので簿記を勉強していることくらいだ……。
しかし、僕には夢の中で受験したという記憶がない、という意識があった。なんとも妙な気分で外を歩くと、中高以来の友人に出会った。彼は早稲田に受かったらしい(彼も現実では違う大学に受かっている)。僕は紀菱大学に受かったというと、「どこそれ?」と怪訝な顔をされた。どこだろう?
どうにも記憶が無い。おかしい。家に戻って、なんか親戚っぽい?人たちと楽しげに話している母に、意を決して「ここしばらくの記憶がない。何かおかしくなっていなかったか?」と聞いた。すると母は、「実は……」と話し始めた。どうやら、僕は受験の10日前になって急におかしくなり、ワンワン泣き始めたらしい。怖かったのだという。で、受験当日もワンワン泣いていたらしい。
どうも、精神退行していたようだ。僕の部屋に、見覚えのないやけに幼いグッズ(それが何かは具体的には覚えていない)もあった。それもその影響だろうか。
これは非常にショッキングな話で、親戚っぽい人のいるところでそれ以上話せなかった。母と二人で外に出て、事情を聞くと、僕は泣きながら母に「ごめんね」といった。「今まで散々やって、偏差値70までいって、結局こんなことになって」みたいなことを言ったことを覚えている。そして泣いていた。あまりに大泣きで、これも精神退行だったのかもしれない。ただ浪人だからもう行くしかない、みたいな妙なリアルな感覚もあった。
この部分は現実と妙にリンクしているところがある。受験戦争やっていたし、浪人しているのも現実とあってる。しかし、突然の偏差値70宣言は思い返して笑う。学歴信仰も学歴コンプレックスもないつもりだし、そもそも実際の僕は大学受験当時そんなになかった。高校受験のときはそれくらいだったか。もし謝るとすれば、学部ではなく大学院を中退したことだろうな……これは色々あったから……。
そんな感じで泣きわめいていると、なんか近くのオッサンが「紀菱大学も相応のところだけどね」と言って去っていった。僕は「そうなの?」みたいな感じになっているところで、はたと目が覚めた。
夢の設定なので、どこまで現実とリンクしていいかはわからないが、実際1897年には既に出来ていた、という設定ならば、日本ならば最初期の大学といえる。由緒正しいというわけで、それなりの大学であったというのは、夢の世界的にはそうだったのでは、と思う。夢って妙なところでディテール作り込まれるよね。まぁディテールといえば、願書出してない大学を受験していることや、そもそも精神退行状態でも合格していることなど、色々謎がある。また、3月末だったという感覚が強烈にあるが、実際の国公立の大学受験は2月末だ。後期試験もせいぜい3月10日くらいだったはず。まぁ謎は多いが夢だから。
全体的にネガティブな夢だが、最後のとおりすがりのオッサンの登場により、妙な余韻を残している。
AIによる夢診断
せっかくなので、今をときめくAIに夢診断をさせてみた。ChatGPT、Claude、Geminiにそれぞれ聞いたが、どこも似たような回答だった。夢診断って何の根拠もないと思うんだが、似たような回答になるんだね。
まぁ全体的には、「コントロールできないものによる侵略」「自我の崩壊」「選択の後悔」「リセット・逃避願望」「人生の再評価」あたりの論調だったな。ミドルエイジドクライシスなの?
今回は、一番あっさりした回答だったClaudeの回答を引用する。一番詳細だったのはGeminiだけれど、長々と引用してもねぇ。しかしClaudeは本当にあっさりしてるね。
共通するテーマ:コントロールの喪失と脆弱性
3つの夢に共通しているのは、あなたが状況をコントロールできない状態に置かれていることです。殺される夢では物理的な脅威から逃げられず、性的な夢では性別や身体の境界が曖昧になり、精神退行の夢では記憶や時間軸が混乱しています。これらは現実生活で何かしらの「コントロールできない感覚」を抱えていることの表れかもしれません。
各夢の個別分析
殺される夢について: 「死ぬ自分を観察している」という冷静な視点は興味深いですね。これは心理学で言う「解離」的な状態で、強いストレスや不安に対する防御機制の一つです。中途覚醒後に再び眠って見た夢という点も重要で、レム睡眠の状態が不安定だった可能性があります。「知ってはいけないことを知った」というセリフは、何か隠されたものや避けたい現実への不安を表しているかもしれません。
性転換して犯される夢について: 性別の変化は、アイデンティティや自分の境界線についての混乱を示すことがあります。30代後半という年齢で、もしかすると人生の転換期や自分の役割について考えることが多くなっているのかもしれません。感覚が鈍化していたというのも、現実では感じたくない何かから距離を置こうとする心の働きかもしれません。
精神退行の夢について: これが最も複雑で象徴的な夢ですね。受験という「人生の分岐点」を舞台に、記憶喪失と精神退行が組み合わさっています。現実とのリンクが多いのも特徴的です。この夢は「今の自分が本当に望んだ道を歩んでいるのか」「あの時の選択は正しかったのか」という潜在的な疑問を表している可能性があります。結局こんなことになって、という言葉は、過去の努力や成果に対する複雑な感情を示唆しています。
全体的な解釈
これらの夢は、現在のあなたが人生の何らかの重要な局面にいることを示している可能性があります。30代後半という年齢、独立してエンジニアとして働いているという状況、慢性的な不眠などから、キャリアや人生の方向性について深層心理で様々な思いが渦巻いているのかもしれません。
夢の中で母親に「ごめんね」と謝る場面は、家族や社会に対する責任感の重さを表しているかもしれません。また、記憶を失うという恐怖は、自分のアイデンティティや積み重ねてきたものを失うことへの不安を反映している可能性があります。
今までの悪夢の傾向から
まぁ夢診断なんてのは所詮まやかしであって、あまり本気で気にしているわけではない。ただ、僕は昔から夢に妙な関心があって、夢日記をつけていた時期がある。そのおかげなのか、人よりも夢について覚えていることが多いように思われる。過去には、悪夢について記事にしたことがある。

内容としては、「無数の虫が身体を這いずり回り払っても払っても湧き出てくる」とか「巨大な芋虫のいる部屋に閉じ込められ、見上げると無数の虫が降ってくる」など。これらは強烈で、特に巨大な芋虫の夢は研究室で徹夜している時に見た夢なんだが、叫んでいたらしく同期の友人をビックリさせてしまった。
このように僕は精神的・肉体的なプレッシャーがラインを超えると悪夢に悩まされる傾向があるため、最近続けて悪夢を見ていることも少し気にしている。ただ、この上記のような虫の夢の比較した時、今回の夢はやや緩い。まぁ死ぬ夢や犯される夢はかなり暴力的に思えるが、不快度で言えば全身を這いずり回る虫のほうが不快である(しかもナメクジとかそういうのを想像してほしい。いやしなくてよい)。
今を生きようとかなんとか
特に精神退行の夢などは、悪夢と言っていいのかどうかも客観的には判断しかねる感じではある。ただ起きた後の気分は本当に最悪だったな。精神退行し、その時の記憶が喪失している、というのは死よりもつらいかもしれない。あるいはそれはもはや死の一形態かもしれない。しかしこの夢は、最後の最後、とおりすがりのオッサンの一言があることによって、完全なネガティブではない夢となっている。LLMがやったように、そこから教訓を見出すこともできるだろう。
殺される夢も、殺されたこと自体よりも、殺されようという時に「最後の時自分はなにを思うのか?」ということを妙に客観的に観察しようとし、その結果「何かを思う時間が物理的にない」というのが夢の中の結論であったことに、少々戸惑いがある。まぁ実際はその時になってみないとわからないのだけれど、起きてから「今を生きよう」と思ったことは確かだ。
まぁそんな感じで、夢の内容としてはネガティブなものだし、気になってもいるのだけれど、所詮夢だし、また結局は気持ちの問題である。いずれにせよ、時は流れるのだから、流れに身を任せつつも、時折こうして、今を刻んでいきたい。

コメント