M4 Mac miniのベンチを見て悔しがるM2 Pro Mac miniユーザなど

先日M4 Mac miniが発表された。なんだかんだと言われているAppleだが、それでも5年周期くらいで「やるやん」みたいな機種が出てくる。「ここ数年の微妙なアップデートはなんだったんだよ」みたいなやつ。その意味で、今回のM4 Mac miniはM1ほどではないにせよ衝撃が大きい。また、Intel→AppleSiliconの時のような「使えるソフトは大丈夫か」などの心配もなく、純粋に実用的だ。

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M3とはなんだったのか

自分は去年からのM2 Proユーザなので、新機種の登場には矛盾した二つの想いがある。一つは「あまり進化してくれるな(悔しいから)」というせせこましい気持ちと、もう一つは「でも進化してくれないとつまらない」というガジェットオタク的に業界の進歩を願う気持ちだ。

その意味で、M3 Proには安堵と落胆をさせられた

M2 Proで全然いいなと思った。まぁそもそもM3 Mac miniは出なかったのだが。

まぁ出なくて良かったよね。M3 Pro Mac miniなんか出してたら、購入したユーザから恨みの声が出たんじゃないか。それくらい今回のM4 Proは違う。ってかマジでなんだったんだよM3。

M2 Ultraよりはやーい!

まぁ大きさについては正直個人的にはいいかな。現状のMac miniの筐体の大きさでも十分満足している。これ以上小さくしたところで、ケーブルによる占有が大きいからあまり恩恵はない。それよりUSB Type-Aのほうがほしかった。デスクトップだと周辺機器としてなんだかんだであと10年は生き残ると思う。変換あまり使いたくないんだよなぁ。ハブなんて置こうものならますます机の上がゴチャつき、本体が小さくなった意味がまるでないという。

あと熱は大丈夫なんだろうかという心配はあるけれど、これはいまさらかもしれない。Mac miniはいつだって爆熱。物議を醸している電源ボタンの場所についてもまぁ、僕もMacについてはスリープする運用なのでさして困らないと思うが、嫌な人はいるだろうな、くらいの感じ。

しかし筐体とかどうでもよくなるくらい、純粋にスペックが高い。ベンチマークを見ていると、レビューも概ね好評で、「ちくしょう……ちくしょう……」みたいな気分になる(参考「I tried the new Mac mini M4 and this tiny mini PC is an absolute powerhouse — even if you don't get the pro model | Tom's Guide」)

やはりPCの華形はCPUであって、そのCPUが劇的に向上しているとなれば魅力を感じざるを得ない。去年買ったばかりのProが無印に負けるなんて……(一応僕のは盛ってるから無印よりはまだ勝っているようだが……)。

まぁでも一番歯ぎしりしてるのは(M4 Proは)M2 Ultraよりはやーい!とか言われているM2 Ultra Mac Studioユーザかもしれない(参考「M4 Pro搭載Mac mini、M2 Ultra超えの驚異的性能を実現 | ゴリミー」)。お値段的に。

M4 Macを持ってきてください、本物の16GBを見せてやりますよ

あと個人的に「やっとかよ」となったのは吊るしのメモリが16GBになったことだ。2023年までAppleは「Macの8GBはもはや16GB」などと意味不明な供述をしていたが(参考「Appleが「M3 MacBook Pro」の8GBのユニファイドメモリは16GBの他製品RAMと同等であると主張 - GIGAZINE」)、ようやく16GB RAMとは16GBのメモリのことですという進次郎も知っている事実を認めたらしい

具体的に何が出来るのかよくわからないApple Intelligenceは特に期待していないが、お値段据え置きでメモリの容量が上がったことは喜ばしい。ってかSoCに組み込まれて変更できないのに8GBを2023年まで標準として発売していたのは、この先数年禍根を残すと思われる

まぁそれでもお高いことには変わりないのだが、AI用途だとMacのユニファイドメモリが輝くという話もあるっぽい。

しげぽんさんがメモリ192GB積んだM2Ultraでテストしたところ、4bit量子化のCommand R+の推論が、NVidia GPUのA6000+RTX3090環境では9.5tpsだったところ、M2Ultraは9.9tpsで抜いてしまったらしい。

この比較表のCommand-R-Plus 4bit量子化版速度比較で、a6000+RTX3090Power limitなしの9.5token/secに対してM2Ultra Mac Studio(192GB GPU76コア)が9.91token/secで抜いた。ワッパと構成でRTXを超えてるhttps://t.co/zSNQKzHKUx pic.twitter.com/kq1UnOA5wH— まじかる☆しげぽん@VRoid (@m_sigepon) May 2, 2024

2枚のGPUをぶん回すPCよりもM2Ultraの方が省電力だろう。とはいえメモリを192GB積んだM2Ultraは100万円くらいする。A6000+RTX3090のPCと値段自体は同じくらいだろう。

MacのGPU自体はそこまで大した性能ではない。じゃあなんでこんなに推論速度が速いの?というと、LLMの推論というのは実は演算性能よりもメモリ帯域幅がモノを言うらしい。

Macのメモリはチップに直結されてるユニファイドメモリだから帯域幅が爆速で800GB/sもある。GPUのVRAMの帯域幅も爆速で、RTX4090では1008GB/sもある。これが推論速度に効いている。一方、私のPCのメインメモリなんて25.6GB/s、デュアルチャネルでも51.2GB/sしか出ない。全然遅い。だからCPUの推論も全然遅くなってしまうわけだ。

最近ローカルLLMがアツいらしい – soy-software

まぁこの記事ではその後「だからといってコスパがいいかは疑問の余地がある」と続けられているのだが、あくまでAI"も"できるという使い方ならば、M4 Ultraの性能と価格次第では案外選択肢に上ってくるのかもしれない。ローカルLLMも含めてAI事情は日進月歩なので、この先のことはわからないが……。

いずれにせよ、8GBなどという人権侵害系のMacが姿を消すことは素直に喜ばしい

ストレージ交換したい早くしたい

ストレージ周りの変化も見逃せない。独自規格とはいえモジュラー式で着脱可能とのことだ(参考「iFixit、Apple M4/M4 Proチップを搭載した「Mac mini (2024)」の分解レポートを公開。ストレージはアップグレード可能で、分解の際は底面の電源ボタン周りに注意。 | AAPL Ch.」)。

まぁとはいえ交換難度はだいぶ高いだろうし、またお高いんでしょう?ということであれば、結局外付けSSD運用になるような気もする。速度は内蔵より多少落ちるものの十分だし。安定性についても、外付けSSDを起動ドライブにして1年以上経過するが、特に問題なく使えている。

この記事は2018時代のものだが、その後M2 Proになってからも同じ外付けSSDを使い回して起動ディスクにしている。

あと地味なところだが、Mac miniは256GBストレージはチップ1枚でスペックがショボい(遅い)ということで有名だったが、今回はちゃんとチップ2枚に戻っており、早くなっているという話だ(参考「New Mac Mini Has Modular Storage, 256GB Model Will Have Faster SSD - MacRumors」)。ただそもそもデスクトップのストレージが256GBというのは2024年において人権を侵害していることは指摘しておきたい。

くやしい、でも……

総じて、今回のM4 Mac miniについては「買い」の一言だと思った。もし僕が未だIntel Mac mini 2018をメインに据えていたら、整備済みを待つなどとせず即日ポチった可能性が高い。思えばMac mini 2018の時もそうだった。

とはいえM2 Pro Mac miniも十分な性能だし、現状何も困っていないので、買い換えるということはない。圧倒的なスペック差の前に「ぐぬぬ……」と思う気持ちはあれど、「やったぜ」という気持ちもある。これだからAppleは油断ならないんだよなぁ。なんだかんだ言われているけれど、Appleにはやっぱり期待したいんだ。

でももう少しお安くなりませんかねぇ……。10年代前半Sandy時代のことが忘れられないよぉ……。

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