最近、サイトのビッグテーマとして、脱クラウドを掲げセルフホスト的な記事を書いていこうかなと思っている。ってか脱SaaSというほうがいいかもしれんね。
なんにせよ、そもそも脱クラウドとは何か?という問題があるかなぁ、とは思った。たとえば僕はガンガンCloudflare Tunnelを使っているし、またそれを前提とした構成を書いていくことになるのだが、脱クラウドなのにCloudflare Tunnelは使っていいの?という疑問は浮かぶように思われた。
これについての回答は、Cloudflare Tunnelの仕事は本質的に置き換え可能だから問題ない、となる。Cloudflare Tunnelは色々やっているが、その本質的なコアはNAT越えとTLS終端だと思う。特にセルフホスト的な見方だとそうなる。これらはいずれも面倒くさいだけで、できないものではない。面倒くさいだけで。まぁ本当にしんどい。しんどかったので自宅サーバはおしまいみたいなこと考えていた。
脱クラウドとは、Webサービスを使わないことではないし、インターネットの外に出て行かないことではない。重要なことは、選択肢を奪われないことだ。つまり、置き換えられないものをできるだけ使わない、といえる。置き換えが難しいのは、たとえばデータや人間関係(信頼関係)を中央集権サーバに預けるようなものだ。その手のクラウドサービスは、データと人間関係を人質を取られているような感じなのでできれば避けたい。ビジネスロジックを預けるのも危険度は上がる。ロジックは頑張ればなんとかなると思うけど。データと人間関係については、リセットの覚悟が必要になるね。
表にすると、以下のようにまとめられる。
| 軸 | 依存の種類 | 判定 |
|---|---|---|
| データ | ストレージ・メタデータ・履歴を預けているか | 危険 |
| 関係 | ID・アカウント・フォロー構造を預けているか | 超危険 |
| ロジック | ビジネスルール・自動化・運用を預けているか | 注意 |
| 経路 | 通信や転送の経路を借りているだけか | 安全寄り |
Cloudflare Tunnelのコアは経路に相当する。なので、別に問題ない、という判断。本格的に機能を使い始めるとロジックも預けちゃうと思うけどね。そうしたら依存度は上がるね。
まぁでも、別に依存すること自体をああだこうだ言う気はないんだ。それぞれ事情があるだろうし。僕も使ってるし依存している——というより気づかない間に依存していた——サービスなんていっぱいあるし。そもそもDNSに依存してるし。経路は安全寄りといったけど、DNSだけは別……というかDNSはその本質が関係なんだよねぇ。
いずれにせよ、何かしら依存しないとWebは成り立たないのはそう。っていうか普通に使っていると相当依存するよね。だからこそ脱クラウドとか言い始めているわけで、クラウド依存していなければそもそも脱する必要がない。
逆説的に、脱クラウドとはクラウド依存患者であることの告白である。そして何故依存したのか?という個人的な問いなしに脱クラウドはありえない。そこには必ず何かを求めた経緯があるはずだ。それと向き合って、現実を見て、過去を振り返り、未来を考えて、何を求めたのか、求めたものは得られたのか、得られていないのか、まだ求めているのか、これからも求めるのか、そもそも本当に求めていたのか、そういう問いかけは必ずいる。
ゼロイチじゃないので、何をどうするのか、都度自分の判断になる。ああしろこうしろという気はまったくないし、逆に言われる気もない。各自勝手にやるがいい。あるいは、勝手にやれるべきだ。まぁそんな感じだよ。
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