デジタル自炊という理想と現実のギャップ。電子書籍の悲しい現状

[投稿日] 2013年9月5日
[最終更新] 2016年7月24日

デジタル自炊なるわけのわからん言葉

デジタル自炊」という言葉を以前ネットで見かけまして、思わず吹き出してしまいました。本のデジタル化を自炊というのに、デジタル自炊とはこれいかに?と初見ではそう思う人が多数と思いますが、身に覚えのある人には初見でも意味がわかってしまう言葉です。が、さきほどGoogleで検索してみたところ、まったく検索に引っかからなかったので、一般的な言葉ではなく発言者の造語だったのでしょうか。どこで見かけた言葉かは忘れました。しかし電子書籍の理想と現実をよく表現している、面白くも哀愁感じる言葉であると思います。誰が言ったか知りませんが、感心してしまいました。

デジタル自炊とは

さてデジタル自炊とは何かと言いますと、デジタルデータを改めて別のデジタルデータに変換する作業のことをいいます。というと何の為にやるのか意味不明ですが、たとえば専用のビューアでしか読めないクソ仕様のデータを、汎用性の高いjpegの塊やDRMフリーのpdfに変換する、といえばわかりやすいでしょうか。その手法は、手元のDRMのかかったデータを解除するというスマートなものではなく、とにかくスクリーンキャプチャをとりまくるという、デジタルなんだかアナログなんだかよくわからない涙ぐましいものであります。そのための支援ツールも有料で販売されています。もっとも、そのような泥臭い手法たればこそ、データが手元になくてもブラウザなどで表示さえできれば使えるというメリットもあります。

デジタル自炊の問題点

このデジタル自炊、いろいろな問題点があげられます。
その1、面倒臭い。自炊ほどではないものの、この作業はけっこうな手間です。
その2、大方の環境で画質が劣化。スクリーンキャプチャの性質上、画面以上の解像度にはなりません。よほど高い解像度のディスプレイをもっていなければ、通常の自炊以下のクオリティに仕上がります。
その3、文字情報が欠落。対象データが文字列である場合、せっかくの文字情報が失われ画像として保存されます。
その4、初期投資が必要な場合がある。スクリーンキャプチャを連続して取るというのは、手作業では現実的ではありませんから(ものによってはスクリーンキャプチャ自体をロックされていることもあります)、なんらかの支援ツールが必要ですが、今のところその為のツールが有料であったりして、ちょっとした初期投資が必要なことがあります。
その5。法律の扱いがグレー。私的利用ですし、著作権は親告罪ではあるのですが、なんとも微妙なところで、あまりおおっぴらにできません。

まとめると、「めんどい、画質劣化、情報の欠落、要初期投資、法的な扱いが微妙」という、従来の自炊が孕んでいる問題点を、程度の差はあれそのまま引き継いでいるわけです。さらに、既にあるデータをわざわざ劣化させてもう一度取り込むという二度手間感。このあたりに、デジタルでありながら自炊というネーミングの妙が見られます。

デジタル自炊とは理想と現実のギャップ

デジタル自炊の「デジタル」は元のデータがデジタルであることを指しているわけですが、この命名に従うと、従来の自炊は差し詰めアナログ自炊でしょうか。なんだかわけがわからないですね。いつだってそうですが、倒錯した言葉が生まれる背景には倒錯した事情があります。ま、一言で言ってDRMですね。結局そこに行き着きます。最初からDRMなんてかかっていなければ、こんな面倒で金と時間のかかる作業誰もしません。なんでしょう、考えていると溜息が。電子書籍ってのは、便利なものじゃなかったのかい?と怨嗟の一つもでてきます。
つまりデジタル自炊とは、電子書籍を取り巻く環境の理想と現実のギャップのことです

関連コンテンツ

関連記事

スポンサーリンク

“デジタル自炊という理想と現実のギャップ。電子書籍の悲しい現状” への 2 件のフィードバック

  1. スマホで読める電子コミックは、専用のコミックビューワーで見るので振動などの機能もあって、臨場感たっぷりに読むことができます。

  2. >善悪の屑さん
    コメントありがとうございます。
    振動するやつなんてあるんですか。それは知りませんでした。ゲームのコントローラーに振動機能がついたみたいなのを思い出しますね。
    今の方向性で行くのなら、最終的には今の音楽のように、読み放題のストリーミングサービスになるのかなと個人的には思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。