0→1とか1→10とかよくあるアレ

ビジネスの世界では、1を10にする仕事とか、0を1にする仕事とか言うことがある。別に決まった定義があるわけではなく、各々が勝手に言っているだけで、その類型に大した意味はない。

しかしながら、考えやすい類型でもある。それぞれどんな仕事を差すのか考えることは、自分の思考の整理に役立つ。ということで、僕も勝手に考えてみた。

目次

類型は4つ

まず、パターンをいくつに分けるかである。自分は以下の4つにわける。

  • 0→1
  • 1→1
  • 1→10
  • -1→0

1→2とか9→10とか10→100とか見たりするが、本質的に上4つに含まれると考える。1→-1とかそれ仕事じゃねぇから!w

0を1にする(価値を作る)

謙遜なのか、「1を2にするくらいです」という人もいるが、本質的に0→1なので変に複雑にする必要はない。

本質的には、今認められていない価値を人に認めさせるとでも言えばよいだろうか。基本的に今認められていないことをしている人は0→1の人である。学究とかアートとか、必ずしも資本主義的な目標をもたない場合を除くと、「まだ稼げてない仕事」。思われているよりもずっと多いよ。別に天才の仕事ではないね。でっかい0→1もあれば小さい0→1もあるってだけだね。

いずにれせよ、認められていないのでこれ自体はお金にならない。パトロンが必要。多くの雇われの労働者にとっては、会社がパトロンとなる。起業家ならば銀行や投資家がそうだろう。会社にとっては先行投資。

認めてもらう労苦はたいへんである。そもそも今作っているものは本当に価値あるものか、常に自問自答しながら、時に信じ、時に疑いながらも、フロンティアを開拓していく。

1を1のまま保つ(価値を守る)

これはもっとも軽んじられ、誤解されている力かもしれない。この仕事をちゃんとやっている人は、思われているよりもずっと少ないと思う。

この仕事は決して、昨日と同じことをやることではない。何故ならば世界は常に変化しているため、昨日と同じことをしても、昨日と同じようにはならないからだ。同じことをしていても、1は保てない。片付けなければ部屋は必ず散らかるように、乱雑な変化は必ず価値を毀損する。

既に価値の認められたことをしているので、一番お金にしやすい。それだけに寄ってくるものも多い。中には招かれざる客もいる。綺麗な花には虫がつく。虫は必要だが、中には害虫と呼ばれるものもいる。あらゆる価値は、手入れなしでは必ず腐る。組織は腐敗し、制度は形骸化する。

腐敗を防ぐ不断の努力と同時に、時代の流れに合わせて変えるべきところは変える判断も必要。今守っているものは本当に価値か?という問いかけが重要だと思う。それができないと、抵抗勢力化という闇落ちをする(1→1のアンチパターン)。抵抗勢力は以下のことをする。

  • 1→10の邪魔をする
  • 0→1の結果今まで守ってきた1が-1になるのを恐れて0→1の邪魔をする
  • 時代の変化で1が-1になっているのに気づかず、あるいは気づいているにも関わらず、守り続ける

しかし1→1の仕事は本質を守り、かつ、変わるべきときには変わることである。そして変わる時には、できるだけスムーズに変われるように力を尽くすことが、1→1の本当に大事な仕事だ。

1を10にする(価値を上げる)

既に認められた価値を敷衍し展開していく。かなり専門的な技能が必要となるフェーズ。たいていの技術者にとっては、このフェーズが一番幸せになれるんじゃなかろうか。純粋に技術に没頭できる環境があるとすれば、このフェーズである。金と時間がかかり、こけるとキツイが当たればでかい。

価値を広げることによって、それまで問題にならなかった見えないマイナスが目立ち始めることがある。また、基本的に掛け算であるため、時代の変化で既に価値がなくなっていると、傷口が広がる(-1を-10にする)。そんなことするな。

よく10→100を見るが、既に認められた価値(金を払うユーザがいる)のことをしている点で本質的に一緒だと考える。あとはキャパの問題。そこで細分化するなら他のパターンも細分化すべきで、ゴチャゴチャになる。

-1を0にする(Nxxをぶっ壊す!!!!)

取り戻す人、と言っている人がいた。気の利いた表現だと思うが、その本質は壊し屋だと思う。そこにプラスもマイナスもなく、すべてを0にする。しかし、社会的にプラスとされているものを0にしたら単なる破壊神なので、有能な人はマイナスを選んで壊す(しかし何がマイナスかは、人によって見え方が異なる。あなたにNxxはどう見えますか?)。

小さな-1→0は常に行われているのだが、特に-1→0の力が必要とされるのは、0→1や1→10でエポックメイキングとなるものが出来上がった時だろう。つまり、時代が大きく変わった時に出番となる。

時代の変化で、かつて価値のあったものが無価値になると、普通は自然淘汰される。しかし淘汰される人が抵抗したりすると、規制(ときには暴力)などの形で、淘汰されるべきものがコストをかけて残されることになってしまう。あるいは、役人など資本主義の論理から外れた存在は、そもそも無価値な事業をコストをかけてやりがちである。事業だけではなく、腐敗した組織などは、それ自体が強大な-1である。

そういうマイナスを0にするのは、0→1とはまた別の力が必要だ。0→1を止める人はいないが、-1→0には抵抗する人がいるからだ。もっとも、多くの0→1は既存の1を-1にしたり、-1を暴くものであったりするので、しばしば0→1とセットで必要とされる。また、0→1と同様、いや、それ以上にお金になりづらい。

多分、一番珍しいタイプだと思う。そして実は、今の日本でもっとも必要とされている力かもしれない。

人はすべての力を持っている

4つのパターンに類型化したが、現実の仕事はすべてのパターンがないまぜになって一体となっている。また、人の力も4つのどこかに当てはまるようなものではなく、向き不向きはあるにせよ、すべての人がすべての力を持っている。

すべての仕事が重要だ。身も蓋もないことを言うと、能力のほうが大事である。だから、自分の気質、興味関心に合わせて、自分がもっとも能力を発揮できる分野で仕事ができるように動くのがよい(この結論はだいたい皆さんご一緒で)。

自分の場合は、「技術者として」「0→1」の仕事をするのがもっとも気質に合っており、また力を発揮できそうなので、そのように動いている。もしも自分で1を作れたら、その後はその1を1として保っていきたい。利益を生むのは1だからね!40代でそういう1をいくつか作れると理想だなぁ。あとは細々としょうもない0→1ができれば幸せだなと思う。

こういう議論は自転車置き場の屋根の色議論だと思うし、人それぞれ適当に考えればいいと思うんだけれど、ただそれにしても、1→1と-1→0の評価が不当に低いことが多いと思う。なんなら存在しない。でも日本の失敗は、まさにこの1→1と-1→0がうまくできなかったことだと僕は思うんだよなぁ。

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