最近渋々ながらmac OS High Sierraを導入した。職場のiMacがHigh Sierraなので、それに合わせることにしたのである。覚悟はしていたものの、やはり色々とおかしくなるところもあって、クリーンインストールすれば治るだろうか、しかし面倒だ、他になにか打開策はないかと、色々調べ回っている今日この頃、"おま環"という言葉をよく見かけて、それが少し気になった。
おま環?
OSのアップデートにはトラブルが付き物だ。発生したトラブルの対応は、自分と同じような状況の人の愚痴でも見ながらするに限る。困っているのは自分一人ではないのだという事実に、なんとなく励まされるからである。それに、ひょっとしたら解決の方法の糸口が見つかるかもしれない。
それで、皆の不具合状況を見て回っていたのだが、気になったのが"おま環"という言葉である。これは多分、"おま国"から来ている。"おま国"とはつまり"お前の国籍が気に入らない"の意で、主に日本だけゲームを売ってもらえないなどの現象が起きているゲームユーザーの間で用いられている。
この文言を見て真っ先に思い出したのは、一昔前に流行っていたAA"知ってるが お前の態度が気に入らない"だ。実際、そこからきているのではないかと思う。それで、"おま環"の意味を私は"お前の環境が気に入らない"だと思ったのだが、どうも見ていると"お前の環境が悪い"というニュアンスで使われていることが多いように思えた。実際、そのように意味を解説しているところもあった。
相性が悪い
環境が悪いというと、たとえばハードウェアの推奨スペックを満たしていないとか、サポートされたものを使っていないということが考えられる。たとえばWindows XPでIE 6を使っているのであれば、2017年制作のブラウザゲームが動かないのも仕方ないし、古すぎるスマートフォンで、最近のゲームが快適にできないのも当たり前のことである。
逆に言うと、そうでもなければ環境が悪いとは中々言えない。だが、理屈の上では動くはずだが現実問題として動かないことは往々にして発生する。そんな時は、「相性が悪い」という便利な言葉を使う。まぁ突き詰めれば何かしら原因があるはずなのだが、それがよくわからないので、"相性"という言葉でお茶を濁しているわけだ。
相性問題でガジェット好きにとって身近なものといえば、やはりPCのメモリだろう。どんなに規格を満たしていても、実際に自分のPCで動くかどうかはやってみるまでわからない。だから永久保証なんてものもメモリでは珍しくなく、これはつまり「テストはみんなに任せた!」ということだと思うが、それくらいなんともならないものなのだ。
昔読んだアナログ電子回路の本で、メモリの相性の悪さは、一因としてVSが悪いからかも、なんてことが書かれていたが、本当のところはどうなんだろうか。VSとはVSWRの略、VSWRとはVoltage Standing Wave Ratioの略で、電圧定在波比という。反射波と進行波がどれだけ影響を及ぼし合っているか、即ちどれだけ効率よく電力を伝送できるかを数値化したものだ。定在波は高校物理(中学物理?)でもやるので、なんとなくイメージがつくかと思う。VSが悪いと、電力をまともに送ることができない(それどころか、電力が大きいと反射波でものを壊す恐れさえある)。ロジックボード上の電子の流れまではさすがに市井の一市民に追えるものではなく、なんかよくわからんがとりあえず動かん、という現実だけが現前に残る。
そういう話はソフトウェアでもやはりあって、ウィルスチェックのソフトウェアに邪魔されて正しく動かないなんてのは定番であるし、昔いじったなんてことのないシステム部分の変更が、まるでバタフライ効果のように今になって影響を及ぼす、なんてこともあるだろう。不動作の原因がウィルスチェックソフトくらい代表的なものであれば察しがつくが、昔入れたマイナーなソフトウェアの残滓が原因であったりなどすると、とても追えるものではないという意味では、メモリの相性の悪さと同じようなものだ。ソフトウェア的に特定できない問題を解決する最終手段は、伝家の宝刀クリーンインストールである。これでだいたい大丈夫。
おま環が発生するのは当たり前
メーカーにすれば、個人の環境などすべて把握できるものではないので、ソフトウェアのアップデートは何かとトラブルになるわけだ。しかし、自由にいじれるのはPCの醍醐味である。いろいろなソフトウェアを入れたり、システムをいじったりすることは、何も悪いことではない。
なのでまぁ、最新のソフトウェアがうまく動かないのは自由の代償とも言えるもので、長くPCを使っていれば、どうしても"おま環"は発生するものというのが私の認識である。多少行儀悪く使っていたとしても、人間が使っているのだから仕方ない面があろうし、たとえ行儀よく使っていても、行儀にも流儀があるし、まぁそのへんはどうにもならんことだと割り切っている。
なので、使い込むほどにおま環は発生しやすいものと思う。ある意味、無個性で横並びのデジタル製品が、使われることによって個性を帯びた結果とも思え、個人的にはむしろニンマリしてしまう話だ。いろいろなことがあるものだ、と。
つまり、"おま環"は当たり前にあること。だから、私の感覚として、おま環とは"お前の環境が気に入らない"くらいがちょうどよい。あくまで"気に入らない"のであって、良い悪いの話ではないのである。この俺様の環境が、メーカー様に気に入られなかったよ、やれやれ、程度のニュアンスだ。
だが、お前の環境のせいだ、とか、お前の環境の"問題"だと言われると、非をこちら側に求められているように感じる。実際そういうニュアンスを込めて書いている人がちょいちょい見受けられた。よほど行儀の悪い使い方をしていて、その癖メーカーを過度に非難する輩ならそれもわかるが…。
「そりゃ残念だった。そろそろクリーンインストールのしどきかもね!」くらいの話だと思うのだが、どうも重く捉えられていることが多い気がする。まぁ、ある特定の環境に起因するものを、あたかもメーカーが史上最悪のソフトをリリースしたかのように吹聴されれば、そのメーカーのファンとしては苛々するだろうが、それは過度な非難が問題なのであって、環境が問題ではないだろう。おま環というよりは「言い過ぎ」の問題である。
が、どうもそういう話ではなく、そもそもメーカーの想定外の環境ということ自体に、否定的なものを感じているような人もチラホラ見受けられた。それは行儀の悪い使い方云々以前の話だ。多分、そのへんが私が違和感を感じたところではないかなぁと思う。
"おま環"が当たり前ではない人たちがいる…のだろうか?ちょっと信じがたいのだが、たしかにまぁ、これといったことをしなければ、今時はそんなものかもしれない。そんな人からすると、ちょっとした愚痴でも、そのニュアンスがわからず、贔屓のメーカーが不当に非難されている!と感じる…こともある、のかもしれない。よくわからない。ただ、おま環が当たり前でなければ、同情の気持ちなどそりゃ微塵も起きんだろうとは思う。最近の拡張性がなく最初からよく出来たPCや、お行儀の良さを強制されるiPhone/iPadに慣れると、むしろそれが普通なのだろうか。うーん、なんだかなぁ。
コメント
コメント一覧 (2件)
これは私の個人的な見解ですが「おま環」という言葉に否定的なニュアンスを持たせて使っている人はあまりいないと思います。
私がこの言葉をよく目にするのは5chの専門板です。主にソフトやアプリがうまく動作しない旨を相談する質問者に対して、しばらく解決を試みるためのやりとりがあった後に「そもそも動作環境が違うのだから問題を把握しきれない。あとは自分で頑張ってくれ。」といった意味で使われます。特別に相手を避難するようなニュアンスは含まれていません。(質問者があまりにしつこかったり説明不足だったりで解答側がイライラしている場合を除く)
そもそも「おま国」とか「お前の態度が気に入らない」からの派生と見るかどうかで結論は変わりそうですが、私としてはあくまで状況を説明しているだけのニュートラルな言葉だと思います。
この辺は見方や感じ方が大きいので「おま観」「おま感」てことになっちゃいますかね。
こんにちは。
本来的にニュートラルな言葉と思います。
確かこの記事を書いたきっかけは、Mac関係で調べ物をしていて、気になる使われ方をしていたのが散見されたことだったと思います。で、なんだか嫌な気分になったので、この違和感はなんだろうなぁ、と考えている間に出来た記事、だったかな。Apple関係はまぁ批判がタブーな風土があるところも多いので、そう思ったのかもですね。
「おま感」……いい言葉ですね 笑