石破茂の進退について、世論調査とやらではなかなか面白い結果が出ている。
世論調査自体に、年令層の偏りなどで是非を問われていることはあるが、しかしまぁ調査自体は一貫しているのだろうから、相対値としてはそれなりに参考になるところがあるだろう、と思っている。
一方でこの同日に発表された日経新聞の記事は、「石破政権の支持率上昇、政権継続に強き」「次の首相に相応しいのは高市早苗23%、石破茂は8%」というもので、一見矛盾しており、面白い結果だ。
本当はみんな知ってる茶番劇
まぁ面白いとは言ったものの、これについては大方みんなわかっているだろう。この現象は、「石破茂の支持者は石破茂を支持していない」に尽きる。
もう少し突っ込んでいえば、石破茂の続投支持というのは、「今のまま野党に都合の良いことをし続けてくれ」「その結果自民党が壊れたらもっと嬉しい」「高市早苗は嫌だ」という票で、石破茂を総理に相応しいと思っているわけではない、ということだ。
たとえば日本の首相を中国人と日本人で支持率投票すれば、恐らく日本にとって最悪な人物が選ばれると思うが、その支持率は高いだろう。それと似たようなものだ。
これはあまりにも酷い支持のされ方だと思うが、そのように考えると筋が通る、というかこれ以外に筋の通る考え方がないのではないか。日経新聞の記事においても、石破茂の指示に立憲支持層について言及している。これは肝心の自民党支持者から支持されていないことを示唆している。
そもそもほんの一ヶ月ちょっと前の参院選で自民党は歴史的と言われるほどの大敗をしており、また選挙期間中は「石破隠し」なる応援演説の拒絶まで横行していたという話なのに、それから別に何かあったわけでもない現状、石破茂やっぱり国民に大人気だった、はいくらなんでも無理がある。選挙こそもっとも厳しく大規模で本音が出る調査なのだから、そちらの結果をまず真とみなすのが妥当であり、その後のサンプル調査はいかなる結果も選挙結果に対する補足にしかならない。
何よりも先の選挙で負けまくり、これからの選挙にも恐々としているだろう自民党議員こそそれをよくわかっているはずだし、石破茂もぶっちゃけそれがわかっているから、解散をチラつかせて脅すこともできる。解散したら負けまくるぞ、わかってるよな?国民に大人気なのに!
石破茂を支持する野党支持層
石破茂を支持する野党支持者が、選挙で自民党に入れるわけはない。彼らは石破茂を次の首相に相応しいとすら言わないのだから。
しかしこれは非常に歪な状況である。選挙の結果に従えば、その政治的立場にかかわらず、まずトップは責任取るべきだろ、という話になるのが筋だ。自分たちに都合がよいからと、「石破茂を守れ」と叫ぶ野党支持者は、政治的には理解できる面もある。しかし彼らが同じ口で「民主主義を守れ」と言うのは、論理的には整合性がとれない。民主主義を守れば、いかなる事由があれど選挙に負けた自民党は民に選ばれなかったとしか言えないわけで、その総裁である石破茂は辞めるべき、となる。敗北の理由は問題ではない。敗北したことが問題なのだ。
しかしこんなこと、本当はみんなわかってるんじゃないかね。まーこれに限ったことじゃないんだ。今の世の中、誰も彼も自分にとって都合のいいことを言うだけさ。俺だって言ってることとやってることの乖離に嫌気が差すこともある。結局、掲げた大義の本質について本当のところ尊重しているわけではないのだろう。まぁ大義とはもとよりそういうものなかもしれないね。
石破茂を支持する多分自民党支持者
しかし一方で、石破茂を支持する、恐らく自民党支持者だろう、というのは確実に存在していて、ネットでは確かにその姿はほとんど見ないために全員幻なんじゃないかと錯覚するが、現実にいる。らしい。
少なくとも、理学療法士の姉の訪問先にはいる。らしい。「ワシは石破さん頑張ってると思うんやけどなぁ」とぼやく爺さんに、反射的に「え!?」とマジトーンで言ってしまってヤバいヤバいとなった話を帰省した時に聞き、「本当にいたんだ、石破茂支持者」とちょっと感動した。新聞にも「高齢者層」の支持が底上げしているとあるが、これは事実なのだろう。そして彼らは恐らく自民党支持者だろう。
また、ガチめに給付金を楽しみにしている人もいるようで、「給付金が楽しみ過ぎて新聞で給付金の切り抜きを集めていたが、妻から"そんなもん期待するだけ無駄!"と叱責され、しょげてそれ以来切り抜きを集めるのをやめてしまった爺さん」の話を姉から聞いたとき、平生は給付金を愚策と思う僕もさすがに胸の詰まる感じがあった。こういう話はネットで見ても「言うてもその金は税金やからなぁ」と論理的に考えられるが、やはり身内からこんこんと聞かされると、共感生が高まってしまうものだね。
大人気だろうが不人気だろうが
以上のように、石破茂が国民に大人気なのか不人気なのかは調べたけれどわかりませんでした!いかがでしたか?
まぁ石破茂の人気に関係なく、衆院選、都議選、参院選で自民党三連敗という民意の責任を、自民党の総裁がトップとして取らなくて良いはずはないだろう。一応議会制民主主義なんだからさ。なんだけれど、都合がよい敵のリーダを降ろしたくない野党支持層、なんとなく支持する高齢者、彼らを利用して本当のところはわかっているだろうに何故か強気の当人、破滅を知りながら何もできない自民党員たち、など見るにつけ、まぁなんだかんだで今の日本がよく出ているんだなぁと思う。しかし僕も嫌気が差しながらしかしトレンドにのる以外の道をしらんよ。ただ、自己防衛の想いは強くなる今日この頃だ。

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