LAN内DropboxとはいかないQsyncの使いどころ

Dropboxの有料会員なのに、QNAPのNAS、TS-233をポチってNASに移行できないかを試行錯誤している。QNAPはいくつかの便利なソフトウェアを提供しており、そのうちの一つがQsyncだ。これはNASとクライアントマシン間で同期フォルダを作成するもので、まぁ一言で言えば自前のDropboxをLAN内に作成するようなものと言える。

Qsyncは便利なソフトウェアなんだが、やはり同期というのは難しいようで、「Dropboxはすげぇんだなぁ」という再認識することもある。DropboxのヘビーユーザがQsyncに置き換えるのは厳しいと思う。一方でQsyncにも使いどころは確かにある。

目次

Qsyncを使っていて起きたこと

Qsyncの機能を使い始めて1,2ヶ月程度だが、「TBクラスのフォルダの同期」「大量削除」「大量リネーム」「既にファイルがあるフォルダ同士で同期」など色々やったので、一通りのことは経験出来たのではなかろうかと思う。

これで起きたことは、「同期漏れ」「ゾンビのように復活する削除ファイル」「大量に生まれた重複ファイル」「クライアントアプリが(中途半端に)落ちる」である。

同期漏れとは、たとえば「同期されなければいけないファイルが永遠に同期されない」現象である。しかしクライアントでは「すべて同期済み」になっている。なんでそうなるのかはよくわからない。常に起きるわけではない。サブフォルダ内のファイルであれば、ファイルのあるフォルダごと削除してもう一回作り直すなどすれば同期されると思う。いずれにせよ、そのままにしておくと端末間で同期フォルダの中身が違う状態が続く。

また、「あれ?消したファイルが復活してる🤔」ということがある。これはファイルのリネームなどでも「リネーム前のファイルが残っている」などが事象として発生した。多くはダウンロードしてすぐのファイルを操作した時なので、まぁ事情はわかる。とはいえDropboxではこういうことはほとんど起きないことでもある。

「クライアントアプリが(中途半端に)落ちていた」ということも頻発した。中途半端にというのは、フォルダの同期が完全に止まったわけではなくて、サーバ→クライアントのダウンロードはできているのに、クライアント→サーバのアップロードだけ止まっているような状態だった。

そのため気づきづらく、ツールバーにQsyncのアイコンがないことで「あれ、止まってる?」と思って気づいて再起動をかけるのだが、そうすると、落ちていた間にクライアント側で削除したファイルなどが大量復活することになる。この落ちる現象は、作業量に比例しているように思う。大量のファイルを頻繁に追加・削除・移動を繰り返していると起きやすいような。Mac上で起きたが、Windowsでも起きるのかどうかは(試していないので)わからない。

また、ファイルの重複判定もけっこうつらいところがあって、たとえばファイルがあるフォルダ同士で同期をかけるとカオスなことになるため、やめたほうがよい。たとえバックアップツールなどでバックアップしたフォルダであってもやめたほうがよい。最初の同期は、時間がかかっても片方のフォルダを空にしておくほうが無難だろう。

普通にしていても、「両方保管する」にしてしまうと知らない間にduplicateなファイルが出来ているので、NASかクライアントか、どちらかを真とする設定にしておいたほうが良い。ちなみに僕はクライアントを真としている(NAS側を直接操作することはない運用)。

問題は、こうした意図しない同期について、必ずしもユーザが気づけないことだ。たとえば階層の深いところで人知れず起きていた場合、それに気づくのは難しい。また、フォルダ構成が複雑であるほど期待しない挙動も多かったように感じている。

結論としては、「階層の深いたフォルダの同期」や「頻繁に削除・リネームを実行するフォルダ」では使わないことにした。つまり、Dropboxのようにまるまる2TBの同期フォルダ、という使い方はしない。

Qsyncの使いどころ

それではQsyncは使えないのかというとそんなことはなくて、実際僕は便利に使っている。前述の不安定要素を加味したうえで、「端末間でファイルをやりとりしたい」フォルダをピンポイントで同期すれば、なかなかうまくワークする。特にDropboxフォルダの下という制約がないことによって、部分的にはDropbox超えの使い勝手の良さがある

具体的には、たとえば「ダウンロード」フォルダだ。ノートPCでダウンロードしたものをデスクトップPCでも開けるのはけっこう便利だ。今まではこれを実現するために、Dropboxフォルダの直下にわざわざDownloadsフォルダを作っていたのだが、Qsyncによってシステムのダウンロードフォルダをそのまま同期フォルダとして指定できるようになり、便利になった。

こういった一時保管場所的なものだけではなく、アプリケーションの設定ファイルや素材置き場など、「頻繁ではないがたまに追加があって、変更があった時にはすぐにデバイス間で同期されてほしい」みたいなフォルダでも使っている。これも、Dropboxフォルダの下という制約がないのでやりやすくなった。

rsyncじゃダメなんですか

そうしてピンポイントに同期フォルダを作成すると、残りのフォルダについては、必ずしも常に同期されていてほしいわけではないことに気づいた。ほとんどのフォルダは、1日に1回程度の同期でも十分だ。つまり、定期的にrsyncを動かすだけで十分だった。

Macとrsyncについては文字コードの正規化問題でかつては苦労させられたものだが、そんなことも今は昔だ。そのへんの話は下記の記事でも触れている。

あわせて読みたい
QNAPのNASを使ったバックアップとファイル同期 最近DropboxからNASに移行しようとしている。具体的にはQNAPのTS-233を購入し、あれこれと運用方法を試行錯誤している。

上記の記事でも触れているが、WindowsだったらFreeFileSync: Open Source File Synchronization & Backup Softwareが使いやすいかなと思う。

Dropboxは有能だが

こうして使って見ると、何も考えずに快適に全ファイル同期できていたDropboxは本当にすごいなと思う。思えば昔はduplicateとかもよくあったが、最近はあまり見なくなった気がする。地味な進化を続けているのかなぁ。Macの文字コード正規化問題についてはDropboxは手当てしてくれていたし、痒いところに手が届く。

Dropboxの2TBの同期フォルダは、非常に強烈かつ優秀な機能であり、これをセールであれば3年契約月額1000円相当というのは、十分に価値があるものだと個人的には思う。

2TB以上の容量を求めると個人ではつらい感じもあるが、これは前述のとおり、「常に同期されていてほしいフォルダは実はそんなに多くない」ものである。ただまぁ、Dropbox下にファイルがなければならないという制約は、ソフトリンクを駆使してもまぁまぁ厳しいかもしれない。それだったらピンポイントに同期フォルダを作ることができるQsyncのほうが良かったりもするのかも。

Qsyncは使える

まぁそんなわけで、NASについての記事なのにひたすらDropboxを褒め称えてしまっているのだが、そうは言ってもNASのほうが長期的にはコストが低いのは確かだし、また何よりも、「クラウドにデータが上がらない」というのは、実際けっこう精神的な開放感があることに気づいた。最近はどこのプラットフォームもビッグブラザーめいてきているからねぇ……。LAN内で完結させたほうがいいこともある。

まぁLAN内Dropboxだぜー、というわけにはいかないものの、自宅内に複数台のデバイスがあるユーザにとってはQsyncは十分使いどころのあるソフトウェアだと思った。というか、使っている。

ちなみにmyQNAPcloudのサービスを使えば楽にクラウド化できると思うが、まぁまぁ高いし(myQNAPcloud Storage)そもそもそれだったらDropbox使えばええやんと思う(5TBとか10TBやりたいなら価値あるかも)。自宅にVPNサーバとかたてたらいけるのかな。まぁ、外で同期したいと思うことが最近はないので、そこまで頑張る気もないや。

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