昨今の米価高騰について、それはそうだよなぁと思う記事があったので。
パンは1切れ37円に対して,ご飯は一杯58円になってしまった!
米が無ければパンを食べればいいじゃない
と怒り狂って主張している声がありますが,だったら素直に安いパンを食べればいい.
お金に余裕があるなら高い米を食べればいい.
身も蓋もなくて笑ってしまったのだけれど、まぁでもそれはそうだと思う。
供給サイドの問題:米不足について
僕は個人的に米の価格高騰には少し関心があって、記事があれば都度読んで自分なりに考えたりなんだりしている。で、昨今の米価高騰については、「米が不足しているから」という端的な結論に至った記事を先日書いたりもした。

供給サイドの事情については、基本的にこの記事で書いたことから今もあまり考えは変わっていない。なので、備蓄米を放出するようだが、そうすればその分だけ価格は下がるだろうと思う。
備蓄米、7月までに計30万トン放出、買い戻し期限5年に - 日本経済新聞
農林水産省は政府備蓄米について、5月から7月までに計30万トンを追加で放出する。
(中略)
農水省は備蓄米の入札に関する参加要件の緩和も決めた。国が放出した備蓄米と同量を買い戻す期限について、現行の運用指針の「原則1年以内」から5年以内へ延長する。
買い戻すなよと思うが、5年だったらさすがに効果もあるんだろう。まぁこれが今の自民党にできる最大限の政治的譲歩なのかもしれない。
この施策はある程度米価を下げると思うが、実際どれくらい下げるかは関心がある。3000円を切るかというと切らないように思う。前の記事内で簡易的な算数をしたが、もし100万トン不足して現状があるならば、半分戻そうと思えば50万トンが必要で、30万トンの追加では間に合わない。あるいは50万トンの不足だったならば、30万トン追加でも3000円くらいにはなるのかもしれない。
ただ既に次の秋に向かっている中で、状況は刻々と変わっており、抜本的なところが何も変わっていない以上、去年よりさらに酷い状態になっているかもしれないので、実際今後どうなるかはわからないものの、基本的にはネガティブな見通しをしている。
需要サイドの問題:米食を強いられているんだッ!
以上は供給側の問題だが、需要と供給で言うならば需要側についても考えたい。まぁ日本人が突然米大好きになったわけではない以上、昨今の高騰は基本的に供給サイドの問題だと思うし、長年の減反政策の成果(?)が実って米が不足しているのは事実としても、ここまで高騰し続けているのは、「高くても買っている」という需要側の話でもあることは、これもまた単なる事実だ。
実際、この1年で僕が買っている食パンは値上がりしてない。オートミールは量減らされてた……。冷凍麺は最近買ってないけどどうなんだろう、まぁでも倍にはなっていないだろう。別に米を食べなくてはいけない義務は課せられていない。
それにも関わらず、多くの人が米を買い続けているので、米価はパンよりも麺よりも遙かに高い価格を維持、それどころか高騰を続けている、というわけだ。
まぁ選挙が近いこともあって、さしもの政府も批判に耐えきれず備蓄米の放出をしたわけだが、それにしたって「古米の食味はー」など言い始める人を見るにつけ、みんな本当のところどこまで苦しいと思っているんだろうと不思議な気持ちになる。実際、「古米は味が落ちるから売れない可能性がある」としたメディアの記事も見かけた。それもう困ってないだろ。
何を変わっていない
さて、ここまであれこと書いてきたが、一つ言えることは、何も変わっていないということだ。収穫量を増やさなければいけないという話にはなっていないし、関税の話も進んでいないし、消費者は高くても米を買うことを証明し、その性向は変わっていない。
よって、価格はまた高騰する。なんなら再び棚は空になるだろう。備蓄米の放出で一時的に値下がりはすると思われるし、それがどこまで下がるかは興味深いものの、一時的なものと思う。
そして今夏の参院選が終われば、明日にのみ向かって生きる政治家は安心して米の、いや、すべての値上がりを放置するだろう。それは取りも直さず国民の選択とも言える。
結局、全体的に見ればみんなまだだいぶ余が裕あるということなんだと思う。その一方で、本当に逼迫している層も少しずつしかし着実に増えているだろう。

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