中東情勢が激化してナフサ不足が危ぶまれる中、この前、経産省がこんなツイートをした。
【中東情勢・重要物資】
プラスチック製品等の原材料となるナフサは、日本は中東からの輸入に4割依存しています。米国やアルジェリア、ペルーなどからの代替調達が進められ、4月の中東以外からの調達は、通常時45万kl/月から90万kl/月に倍増する見込みです。今後とも全力を尽くします。#chuto_josei
https://x.com/meti_NIPPON/status/2039708778317451325?s=20
第一印象が「小学校の算数」だった。読みながら頭の中で計算式を作る必要があったが、中東依存が4割なら、非中東依存は6割ということになり、ここが倍増したならむしろ今までより多く手に入るぞ!となるがそんなわけはない。
意味がわからないし、そもそもこんな比率と絶対量を混ぜるまどろっこしい書き方をするのは当然裏があるのだろうと思い、ちょっと調べたところ、どうやら「総需要量(分母)」と「国産分があること」を書かないことによって印象を操作する統計マジックだった。
これについて、以下の河野太郎のツイートを引用しよう。
化学産業の原料となるナフサにも問題が出ています。
日本の年間ナフサ消費量は3,390万kL、このうち4割は国内で原油を精製して作り、6割は輸入されています。
輸入のうち70%がUAE、クウェート、カタール、サウジアラビアなど中東からの輸入です。
ナフサの国内備蓄は約20日分、ナフサから作られる中間製品の在庫は様々ありますが、2か月分ぐらいと言われています。
原油が入ってくれば、その分を精製してナフサを作ることができますが、今の状況では、中東以外からのナフサの輸入、ナフサや中間製品の備蓄を使ってしのぐことになります。
https://x.com/konotarogomame/status/2033692562725511233?s=20
おわかりいただけただろうか。
6割の輸入のうち70%が中東なので、6*0.7=4.2より、経産省の言う中東依存が4割、は嘘ではない。この場合、計算上は113万klとなる。そして、中東以外からの調達は全体の2割弱(45万kl)にとどまる。今回倍増したのはその2割弱の部分だ。つまり全体からみるとせいぜい+45万klとは+15-20%といったところで、これは当然-40%つまり-110万kl以上をカバーできるものではない。
| 経産省が書いたこと | 経産省が書かなかったこと |
|---|---|
| 中東依存が4割 | それ以外の調達が2割弱、国産分が4割 |
| 中東以外の調達を45万klから90万klに倍増 | 全体需要は280万klなら中東依存は110万kl以上、依然として不足 |
書くべきことを書いていない。アルジェリアだのペルーだのこれからも頑張るだのと書く文字数でかけただろ。
こりゃちょっとあんまりだ、と思って以下のような引用ツイートをした。
なんでこんな算数の問題みたいな書き方してんだと思ったら
総需要量を書かないトリックで草
月間280-290万klなら中東依存4割で110万kl以上になるので、+45万klでは全然足りねぇじゃんという
国民相手に行政機関の公式SNSツイートでライアーゲームするなよ
https://x.com/tamasan774/status/2039733444515942610?s=20
口が悪くなってるのはXなんでご愛嬌。まぁこのサイトでもたいがいかもしれないが…。
まぁでも仕方がなかろうが。確かに経産省は形式的には嘘をついていないが、本質として嘘をついている。行政が国民にライアーゲームするなよ。しかもどっちかっていうと秋山に見抜かれる下手くそ側のライアー。
好意的に見るのであれば、政府の圧力という制約の中で、逆らうわけにはいかないが真実を伝えたい役人が、SNSという舞台ならば誰かが必ずツッコミを入れてくれるはずだ、と信じて投稿したという線はあるのかもしれない。ただ僕の率直な感想としては役人は国民にそんな知能があると考えている人はいないと思われるので、やはり単にライアーゲームだったのではないか。それとも何も考えてないのか……?
というか普通に今後の見通しを話すべきであって、努力しているのはわかったから、それでも足りないから節約してくれとか言えば別に納得する人は多かろう。まぁ役人の一存でそれができないにせよ、そんなら我が国のトップであり圧倒的な支持率を誇る高市早苗は何をしているのか。その高い支持率は、まさにこういう時に頭を下げて心情的な理解を得るためのものじゃなかろうか。しかし国民の人気とは裏腹に、僕は彼女が国民のほうを向いていたことはまったくないと思うし、これからもないだろう。
しかしないものはないのだし、状況については好転の兆しも見えないので、多分国民の見えないところで動いているのだろうが、それがそのうちに節約の「お願い」になるのかもしれない。それはもはや形式化された「お願い」で、実際上は強い強制力になっていそうである。
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