還暦の母がLinuxマシンを使い始める

最近ついにウルトラワイドディスプレイを購入してしまいました。それに伴い、これまで使っていた23インチのディスプレイがお役御免となりまして、せっかくだからと、家族に昔作った自作PCとセットで提供しました。OSはもちろんLinux。受け入れられるかなと思ったのですが、母は自分の遅すぎるノートPCに嫌気がさしていたのか、大画面とブラウジングの速さに惹かれたようで、ひとまず使ってみるとのことです。

(2016/12/14追記)使い続けそうな感じです。やはり処理速度と大画面ディスプレイの魅力か。なお母はいまだにUbuntuの名前を覚えていません 笑

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液晶ディスプレイが余ったので

ここのところずっと、ウルトラディスプレイの購入を検討していました。ずっと悩んでいたのですが、最近NTT-xストアで安くなっていたのを見て、ついポチっと。それで、今まで使っていた今はなき三菱電機のdiamondcrysta 23インチディスプレイがお役御免となり、隠居先を探すことになりました。

デュアルディスプレイも考えたのですが、元より私はシングルディスプレイ派です。だからこそウルトラワイドなんてけったいな解像度のディスプレイを購入したわけです。なので、できれば他に用途を見出したい。

Fire TV Stickでも挿して、Amazonプライムビデオの閲覧用にでもしようかとか、いっそ売り払ってしまおうかなど色々と検討しました。そこでふと、そういえばあまり稼働していない自作マシンがあることを思い出し、ディスプレイとセットにすれば、家族用に良いのではないかと考えました。

Linuxが家族に受け入れられるか

とはいえ、このPCは自作マシン。OSはLinuxです。ディストリビューションは諸事情でUbuntu 14.04 LTS。せめて16.04にしたいところですが、まだもうしばらく使い続けます。まぁLTSなので、サポート終了の2019年まで時間はまだまだあります。

それはともかく、Linuxです。PC=Windowsで、Windows以外を使うのは上級者のやることだと思いこんでいる人たちに、果たしてこのLinuxマシンは受け入れられるだろうか。

受け入れられずとも仕方あるまいなと思いつつ、家族に提案してみたところ、やはり最初は「Windowsじゃないのはちょっと…」と言われましたが、実際に動いているところを見せたら、案外普通だと思ったのか、特に母が興味を示しました。

興味の理由…画面の大きさとレスポンス

なんといってもディスプレイサイズが魅力であったようです。これまで15インチのノートPC(解像度は1366 x 768)を使っていた母にとって、23インチフルHDの広大な画面表示はたいへん魅力がある様子。

OS関係ないやんという話ですが、こんなもんです。PC=ディスプレイになっている人はけっこうな割合でいます。人は見た目が9割などと言いますが、彼らにしてみればコンピュータは見た目が10割です。そういえば、巷の女子高生はケースが豊富だからという理由でiPhoneを好むという調査結果がありましたね。あれも私にはカルチャーショックでした。

そして興味のもう一つが、処理速度です。いや、まさか母がCPUの型番を気にするわけはありません。単純に、アプリケーションの起動や、画面の描画が、母が使っているノートパソコンと比較すると早いということです。あらゆるレスポンスが2、3ランク上。

それもそのはずで、CPUはAMDがまだギリギリ輝いていた頃のA8-3870K、3GHzクアッドコア。メモリは16GBあり、またストレージはMacBook Air 2010のフラッシュメモリをSATAに変換して流用しています。母の使っている、昔のCeleron+HDなノートPCとは、その処理能力において雲泥の差がある。ブログをしている母にとって、この差は大きな魅力。

ということで、ブログの執筆やメールなど、今やっていることは一通りできることを知り、ひとまず使ってみることになりました。

意外な盲点:表計算ソフトのシートタブやメニューバーが小さいという苦情

使ってみて、意外な苦情というか、私にとっては思いもよらなかった苦情が、「メニューバーの文字が小さい」「表計算ソフトのシートのタブが小さい」といったものでした。これはOS、ソフトの欠点ではなくて、解像度とディスプレイサイズのバランスの問題です。

とはいえ、23インチのフルHDは普通のサイズです。実際、私は小さいと感じたことはありません。しかし、母は小さいという。そういえば、以前もiPhoneのホーム画面にあるアプリの文字が小さいと愚痴っていました。なるほど、歳を取るとはそういうことらしい。

しかし、このあたりはシステムに食い込むところで、案外難しい。「『解決』Calc のシート下端にあるタブの表示を大きくしたいが? (トピック) • OpenOffice.org コミュニティーフォーラム」のトピックを参考にさせていただき、Gnome Color Chooserというソフトを導入して、変更しました。システム的な変更になるので、その影響は広範にわたりますが、致し方ありません。

こういうところが、もっと柔軟に変えられるようになると良いのですが…。

鬼門はオフィス周り

そして最大の鬼門はやはり、オフィス周りです。Microsoft最大の資産は、Microsoft Officeなのではないでしょうか。これがネックで、人にはLinuxを薦めづらい。

母などは、そもそもWordやExcel以外にオフィスソフトがあるという発想がありません。なので、Excelが使えないなど軽々しく言うと、それは表計算ソフトが使えないと受け取られる。そこで、いや、Excelは使えなくても、LibreOffice Calcのような代わりとなる表計算ソフトがあるのだと言うと、わけがわからなくなるようで、意味不明なことを言うなと、そんな顔をされます。

もう、面倒臭いので「まぁ今までやってきたことはできるよ」と、曖昧に言葉を濁しています。クチでいくら言っても徒労に終わることは、経験上よくよくわかっている。とにかくやってみて、体得してもらうしかない。

とにかく、ODFとPDFさえわかってもらえるようになれば、なんとかなるはずですが……うーん、これは今後、何度かサポートすることになるでしょうね。

ちなみに、私は所持しているMicrosoft Office 2011 for Macのサポート期限が来年切れるので、LibreOfficeに移行済みです。レポートはWriterで書きますし、表計算はCalcを使います。プレゼンの機会がないので、Impressだけは未知数です(昔使ったときは、Microsoft Officeともっとも差を感じたのがこのプレゼンソフトでしたが、果たして今はどうなのかな…)。既にMicrosoft Officeを起動することはほとんどありません。docxファイルやxlsxファイルを送りつけられたときだけです。

Linuxを使う還暦の母

こうして、還暦の母がLinuxを使い始めることになりました。本当を言えば、小学二年生の甥が、PCに興味があるというので、一つアカウントでも作ってやろうかと思っていたのですが、母はなるべく自分だけで使いたいらしく、ほぼ母の専用機となりました。管理者は私ですが。

といっても、今後どうなるかわかりませんけどね。私としても、一つのテストケースとして関心があるので、サポートはします……というかサポート無しには無理です。

そのサポートというのが、たいへん鬼門なのですが。

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