難民100万人に門戸を開いたドイツ、10年後にどう変わったか - CNN.co.jp
この記事の最後を読んで、確かに移民と土着の民には断絶が生まれるだろうなぁと思った。
移民とその土地に生まれた民
記事の最後はこのように締めくくられていた。
今は自分がかつて実行した旅を人に勧めようとは思わないと、モダマニさんは話す。
「ドイツでの状況が悪化するなら、国内に居続けたくはない」「多分他の国を探すだろう。人々が(自分を)歓迎してくれて、(自分に)合っていると思える国を」
これはけっこう「あー……」と感じる。明確に移民とその土地の民を根本的に分けるものだ、と思った。
ドイツに生まれたドイツ人は、いかにドイツの状況が悪くなったとしても、他の国を探そう、とは中々ならないだろう。いかにヨーロッパが陸続きだとしてもさ。
もっとも、それは彼らがドイツに生まれたからで、シリアで生まれたからではない、という風には言えるかもしれない、ってかまぁ、そうなんだろうね。でもそれは断絶の説明であって、断絶を埋めるものでもない。
実際、海に囲まれた列島に生まれた僕ら日本人にとって、「他の国を探すだろう」という感覚はあまりないんじゃないか。まぁ、Xあたり見ていると、中にはそういう人もいるのかなぁ、とは思うけれど、決して多数派ではない、ということはそういう人も認めるだろう。
平生は日本は衰退途上国だと腐し、何かと日本国の愚痴を言う僕でさえも、本当に暴力的な国難に日本が晒されることがあったならば、その身を賭すとという気持ちになるかもしれない。え、なるかな?
なんだかんだで国だから
とはいえ、僕がそう思えるのは、なんだかんだで日本という国が曲がりなりにも国としてやってきた、ということなんだろうと思う。
コレを言うとちょっとアレだが、ウクライナなんかは、戦争が始まると4100万人の人口が3300万人になったという。何故か、国民が逃げたからだ。これは人口の20%に相当する。
日本の場合、戦争になったからと言って2000万人の国民が逃げ出す、とは、たとえ絶海の列島でなくとも考えづらい。戦前を思えば、統制下にあったにせよ、多くの国民が国のためにその命を惜しまなかった。男だけでなく、女ですら戦った。それを洗脳の一言で片付ける人もいるだろうが、では残ったウクライナ人は洗脳されているから残っているのだろうか。やや減りすぎているとは思う一方で(というか戦争がある前から減り続けていたので、やはり問題は根深いのだろう)、しかしそれでもなお過半数が残っていることも事実だ。
統制などそれぞれ事情があるにせよ、今この時も不利な戦況の中で文字通り命懸けで戦っている者たちがいる。それができる民の数が、その国家の本当の国民の数なのだろうね。
そうして考えた時に、移民が本当に行政上の手続きではなく本当に国民と言えるのか、というのはこれは本質的な問いかけで、現代的には言いづらいのは確かなんだけれど、けどやっぱり、目を背けてはいけないことだと思う。たとえこの国がどうなっても、地獄になったとしても、我ら死ぬ時は一緒ダヨ……!!
……まぁ真面目な話、大日本帝国じゃなくても、国民って、本質的にそういうことなんじゃないかなぁ。
世界地図が完全に色分けされた
現実的に、生まれた国を飛び出てより良い国を求めて流れてきた人にとって、その国が地獄になれば、その中で共に死ぬ、というよりは、では次に、となるのが自然な心情なのではないかと思う。それはそれで人間というもので、実際、そういう流浪の民のような者たちも昔からいたわけじゃない。ユダヤ人とかもそうだったんだろうし、華僑なんてあちこちにいるし。好きでそうなったとはそりゃ言わないけど、結果としてね。
ただ、そうした流動性は国民国家とは根本的に相性が悪いだろうな。これは今も昔もそのはずで、実際王国民vs周辺部族の戦いとか枚挙に暇がないというか、ってか古代ローマvsゲルマンがそうだったのでは。まぁ土地をめぐる人間同士の争いはまさに血みどろだよね。
とはいえ、あの時代と今の時代を単純比較はできないにせよ、国境線が完全にくっきりとわけられて全部管理されちゃってる、というのは、やっぱりデカいんだろうなぁと思う。自国がつらすぎこのままじゃ死んでまうと思ったからといって、そこから逃げだそうとすると、必然的に別の国の管理下に入ってしまう。これは1500年前にとか2000年前にはなかったことだろうな。
逃げたい場、そして逃げ場のない世界
なのでまぁ、移民問題というのは、人間が逃げ場をなくしている、ということの一現象なのだろうという気はする。国に居場所を見つけられない、さりとて自分で作れる場所もなく、他国に入ればその中で管理される。
各国の事情に様々な思惑が働き、歪な形で顕現しているが、その一つが大量の移民なのだし、また違うベクトルではウクライナ戦争になっているんだろう。これは第二次大戦以来の米国を中心とした奇妙なバランスが、崩れ始めているということなのかなぁと、飛躍ではあるんだが、通底したところも感じる。やっぱり乱世なのかなぁ。
この先日本がどうなるかはわからないけれど、死ぬ時は一緒ダヨ……!!

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