総裁選の進次郎陣営ステマ問題は記憶に新しいが、真面目な話、ネットには政治的な勢力による工作が蔓延っている。まぁ昔から匿名掲示板でも言われていたことで、今に始まったことではないんだが、SNSのバズという特性がかつてより厄介さを増しているのだろうね。
工作はあからさまなバズ狙いばかりでもないようで、バズってる人やインフルエンサに絡むものなどもある。著名人のリプ欄なんかで、妙に違和感を感じたならば、工作の線を疑ったほうがいいかもしれない。けっこうニッチなネタでもそういうものはある。
で、そうしたポストを見て、なんかチェックシートを作れないかなぁと思って、ポストをまじまじと眺めながら、その特徴を抽出した。以下は特に「反論系工作」では当てはまるかと思う。
- 失礼、無礼、慇懃無礼
- レッテル貼り
- デマ・フェイク・偏向・騙されているなどが多い
- 論点逸らし
- 権威主義
- 単純化
- 文章が滑らか
- 善意や努力への感情的訴え
- アクションの誘導
- 休眠アカウントの突然の政治覚醒
- インプレッションといいねの数が不自然
全部当てはまるというより、当てはまると工作員の疑わしさが外形的に上昇する感じだ。全部揃ったら役満おめでとうと祝福してあげよう。
具体例をあげたいところだが、まぁめんどくさいことになっても嫌なので、抽象的に例を書く。たとえば、「AのいうBは、事実上のCだ。こんなことは許されない」という政治上のトピックに関する批判ツイートがあったとしよう。このツイートに対して、以下のようなリプがついている感じだ。
「デマに騙されています。AはCと直接言っていません。AはDやEなどしており、非常に努力しているので、応援しましょう」
これはつまり以下のストーリーラインになっている。
- 最初に相手をレッテル貼り
- 批判の核心から論点を逸らす
- 感情的な訴え
- アクションの誘導
さらに背景として、このリプ主はAとは一切関係ないアイドル推し活の休眠アカウントだったが、3年ぶりのツイートが突然の政治覚醒だった、という背景も追加でドン。
こうして書くと、そんなあからさまなことあるの?と思うが、ある。あった。実際、少し書き方を変えて肉付けするだけでだいぶそれらしくなるよ。こういうのLLMは得意だから読み込ませたら無限に例作ってくれる。
(批判ポスト:山田市長が推し進める新図書館の設計変更案は、市民の税金から事実上の10億円の追加赤字を出すことになり、許されない浪費だ)
(リプライ主:3年間活動停止していた「猫カフェ巡りアカウント」。)
💬 工作リプライ
え、ちょっと待ってください。この情報、完全に間違って広まってますよ。
そもそも、市長が10億円もの赤字を出すなんて誰が言ったんですか? そんな話、議会でも出ていませんし、市民を不安にさせる悪質な誤解ですよ。あなたは誤情報に影響されすぎです。
市長は今、老朽化した図書館を誰もが誇れる文化施設に変えるために、週末も返上して奔走されています。海外の最新事例を学び、私たちの未来のためにどれだけ献身的に動いておられるか、現場を見ればわかります。
この計画は、ただの「浪費」ではなく、文化的な投資として多くの有識者が評価しています。一部のネガティブな情報だけに目を奪われず、もう少し大局的に、前向きな気持ちで市長を支えていくべきではないでしょうか。
私たちは市長の努力を信じましょう!
| 工作員の特徴 | 自然なリプライでの表現 | 違和感のポイント |
| 失礼、無礼、騙されている | 「完全に間違って広まってますよ」「誤情報に影響されすぎです」 | 強い断定と、相手が「間違った情報源」に頼っていると上から目線で指摘。 |
| レッテル貼りデマ・フェイク | 「市民を不安にさせる悪質な誤解ですよ」 | 批判内容自体を**「悪質」**だと断定し、議論の対象から外そうとする。 |
| 論点逸らし | 「10億円もの赤字を出すなんて誰が言ったんですか?」 | 「事実上の赤字」という批判の実質から、「直接言ったか」という言葉の有無に論点を誘導。 |
| 善意や努力への感情的訴え | 「週末も返上して奔走」「私たちの未来のために」「献身的に動いておられる」 | 政策の失敗の可能性から目を逸らせるため、市長個人の献身を熱く訴える。 |
| 権威主義 | 「多くの有識者が評価しています」 | 具体的な専門家名は出さず、曖昧な**「権威」**を背景にして説得力を高める。 |
| アクションの誘導 | 「前向きな気持ちで市長を支えていくべき」「市長の努力を信じましょう!」 | 批判ではなく、支持と信頼を要求する、感情的な誘導。 |
| 休眠アカウントの政治覚醒 | (背景)猫カフェアカウントが急にこの長文、論争的なリプライを投稿。 | 発言内容とアカウント属性の不一致が、最大の違和感を生む。 |
このように表現を変えると、一見すると「熱心な支持者の反論」に見えますが、工作員チェックシートの多くの要素が、より巧妙に埋め込まれていることがわかります。
この形式は、そもそも反論になっていないのだが、それもそのはずで、「反論ではなく世論誘導が目的」、と見るとしっくりくる。むしろ反論すると相手の土俵に立つことになるので、論点を逸らすんだね。また、相手をレッテル貼りして信頼性を落とそうとする。
つまり、言い方は丁寧なのに攻撃的かつ不誠実、台本でもあるかのように滑らかに主張を押し込んでいるのに、相手の言葉には向き合っていない、相手を決めつけているのに主張の根拠は不確か、など細かい矛盾の積み重ねが違和感になるのだろう。
個人的な印象だけれど、「デマ」「偏向」「騙されている」あたりの言葉が出てきたら、そのツイートはかなり警戒したほうがいいと思うね。なんかハッシュタグでもよく見るよね「#xxに騙されるな」系のやつ。あれ本当に動員だと思うわ。「#xxに騙されたな」もそう。騙されるなって言ってくる奴はだいたい騙そうとしているので気をつけよう。
まぁ全体的に、意図が隠されているからなのか、違和感はけっこう働くと思うので、その感覚は大事にしたい。
それにしても、もっと色々な工作員が見たい!!

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