都内のホテルが高騰しているらしい。下記の記事の見出しでは、ビジネスホテルでも一泊2万円とある。
ビジネスホテル1泊2万円も…「都内に泊まれない」出張族の悲鳴 宿泊費を節約する方法(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
なるほど、ビジネスホテルで一泊2万円は都内といえども確かに高い。
アパホテルの価格を見てみた
実際、本当にそんなに高騰しているのだろうかと、と思って楽天トラベルで適当に調べてみた。たとえば秋葉原のアパホテルでは以下のようになっていた。
なるほど、平日の直近最安値でも11,100円、休日になると3万円を超える日もある。アパホテルでこれは、これは確かに高騰していると言ってもよさそうだ。
ちなみに新大阪のアパホテルは以下のような感じだ。
相場にして秋葉原の6割といったところだろうか。春休みシーズンになるとぐっと価格が上がるようだ。
やっぱり平日は安い
さて、この価格高騰の原因だが、記事では「外国人旅行者の需要の高まり」とある。しかし、それであればなぜ平日のほうがはるかに安いのだろうか。いや、それ自体は当たり前のことかもしれないんだが、インバウンド需要で高騰しているのであれば、海外旅行客にとって土日も平日もないだろうし、そんなに価格差つくかね。地理的に近い韓国や台湾からの旅行客であれば土日に旅行ということはあるのかもしれないが……。土曜日の高騰っぷりったらないぜ。
結局、国内の旅行客、すなわち内需によるところも、なんだかんだで大きいのではないか。まぁ実際、国内需要があるからこそ悲鳴が上がってニュース記事にもなっているわけだ。つまり、元々供給が足りていなかったところに、ダメ押しの外国人旅行客という構図である。であるとすれば、「外国人旅行客による需要の高まり」を原因とするのは一面的ではないか。
外国人料金(二重価格)についての私見
まぁとはいえ、外国人旅行客の増加も一因であることには違いないだろう。で、令和の時代にも尊皇攘夷思想みたいな人たちは依然としているようで、外国人からぼったくれといわんばかりの主張をする人もいる。まぁそれはやや言い過ぎにしても、外国人料金は世界でも別に珍しくはないしいいんじゃないか、という意見はある。
しかし、それはいかがなものか。もし日本人を安くするのであれば、その差額は誰が負担するのか?補助金か?それは税金だが?外国人を高くするのであれば、それは外国人に税金を払わせることを意味するが、その税収は当然政府が召し上げることになり、ホテルの利益にはならない。そしてその金は政治家の裏金に化けたり都庁をピカピカさせるのに使われたりする(「億単位のカネが光と音に化ける…東京都庁プロジェクションマッピング 「都立高ボロボロ」「困窮者支えて」の声も:東京新聞 TOKYO Web」)。そしてせっかく増え始めた外国人旅行客は減り、民間の利益も減る。訪日外国人からのイメージも良くなることはあるまい。
日本人枠と外国人枠を分けるという提案もある。ホテル側にこれを受け入れる合理的理由はないと思うが、GoToの時に散々税金で助けてもらっているので、にべもなく断る、ということもやりづらいかもしれない。どうせ日本人が泊まれない場所と思われたら、今度またコロナ禍のようなことがあった時、それを助けるような政策を世論は支持しないだろう。などと考えると、これは可能性があるのかもしれないが、その適正な比率や運用を法で決めるのは極めて困難であるように思われる。そもそも全体の総数が変わらない状態で仕切り線を設けたところで、枠が減る以上、価格高騰は免れ得ない。前述したように、依然として内需は大きいはずなのだ。
飛行機のようにビジネスとエコノミーで差額をつけるなども考えられるかもしれないが、そもそも数が足りていないのだからエコノミーが全部ビジネスになるだけだろう。
業界保護のツケでは?
そう、結局のところ、絶対数が足りない、ということに尽きる。それはとりもなおさず、せっかく盛り上がった民泊に180日の制限を設けるなどして業界保護に奔走してきたツケなのではないか。こうした一時的かもしれない需要の高まりについても、民泊がやりやすければ、柔軟に吸収することができるかもしれない。
民泊について慎重な考えを持っている人も、ホテル代の高騰という現実を目の当たりにすれば再考せざるを得ないだろう。GoToだのなんだのして血税投じて助けたところで、結局これである。
この手の話になると「外国人を追い出せばいいんだ」と言わんばかりに令和の尊王攘夷運動をする人たちも出てくるのだが、言うまでも無いことだけれど、観光は日本にとって貴重な外貨獲得の手段である。そこに冷や水をぶっかけるのが本当に国のためと言えるのか。
ということで、確かにホテル代は高騰しているようなのだが、これは日本全体で変化を拒んできたツケだと思うし、また僕自身は特に出張も旅行も予定がないので、今回の騒動については冷めた目で見ている。
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