洗濯マグちゃんを使わなくなった記録。
洗濯マグちゃんという、洗濯用品があります。これは洗剤を使わずに洗濯できるよ、という触れ込みのスグレモノです。中身はマグネシウムです。
君は洗濯マグちゃんを知っているか
洗濯マグちゃんのの原理は、水との化学反応で弱塩基にして、その声質で汚れを落とすというものになります。
$$\text{Mg} + 2\text{H}_2\text{O} \rightarrow \text{Mg(OH)}_2 + \text{H}_2$$
もうちょっと詳細はAIに箇条書きでまとめてもらいました。
- 弱アルカリ水への変化
マグネシウム Mgが水H2Oと反応すると、水酸化マグネシウム{Mg(OH)2が生成され、水酸化物イオンOH-が増えることで洗濯水が弱アルカリ性(pH 8.5〜9.5程度)に傾きます。 - 皮脂汚れの分解・石鹸化
衣類の主な汚れである皮脂(酸性の脂肪酸)がアルカリ性の水と反応して中和され、石鹸のような界面活性作用を持つ物質に変化することで、汚れが落ちやすくなります。 - 雑菌の繁殖抑制
弱アルカリ環境と発生する微量の水素により、臭いの原因となる雑菌の繁殖を抑えます。
これだけ見るといけそう、ですが、消費者庁からは優良誤認だとして措置命令が出ています(「株式会社宮本製作所に対する景品表示法に基づく措置命令について | 消費者庁」)。
ただこの洗濯マグちゃんは、洗剤を使わないということで一部の環境的な方々から熱狂的な支持があるのか、この消費者庁の措置命令についても「メーカーの陰謀だ!」というような論調も一部で見られました。私としては、大手メーカーを有利にするためにこの小さなブランドを潰すほど暇でもないだろう、と思います。
実際、ずっと使っていた感覚として、明らかに洗剤の洗浄力にはかなわなかったです。洗濯マグちゃんだと落ちないけど洗剤使えば落ちる汚れは普通にありました。
洗濯マグちゃんを使っていた理由
しかしそれにも関わらず、私はその後も洗濯マグちゃんを使い続けます。なんなら買い替えもしています。なぜ?
まぁ、まず洗濯マグちゃんの効果は如何ほどにせよ、実際問題別にいいかと思われる程度の綺麗さにはなっていた、と思っていました。ただこれは本当は水だけでやった場合との対照実験が必要です。多分水だけでもけっこう落ちます。ってか水だけと大して変わらんだろ、という怒られだったのだと理解しています。
じゃあなぜ使い続けたのか。なぜなのか。まぁ原理的にはなんかまぁまったく落ちないってことはなさそうな気もするし、ないよりマシなんじゃないか、ってか水でも実際落ちるなら別にいいし、汚れが多いときは洗剤使うし。
という思考が働き、僕はまぁ洗濯マグちゃんを使っていたわけです。
洗濯マグちゃんを使っていた本当の理由と使わなくなった理由
しかし、現在ほとんど使っていません。契機は何かというと、引越しです。都内1Kから関西に戻りました。家賃等は軽く半分ですが、部屋の広さは比較にならないほど広くなりました。
これによって、洗濯機近くにもモノがおけるようになりました。今まで置けなかったんです、ほとんど。洗剤は一応独立している洗面台の下に入れていて、取り出すのが毎回億劫でした。あの狭い空間で洗剤測るのも気持ちだるかった。そこへいくと、マグちゃんは洗濯機にマグネットのフックをつけておけば、そこにひっかけておける。取り出してすぐに入れられる!便利!
マグちゃんは場所を取らない、すぐ使える、多分これが、私が洗濯マグちゃんを利用していた本当の理由です。それで仕上がりについて、こだわりのない私は大して気にしなかったし、汚れが落ちてなかったり洗剤使ってやりなおせばいいんじゃねの精神でした。結果論ですが、普段は水でいいんじゃないの、ということ自体は一つのスタイルではあったかもしれません。
しかし引越した今、少なくとも空間的なボトルネックはなくなりました。まぁ部屋を片付けるのに時間はかかりましたが…洗濯機もスペースにおさまっておらず、かさ上げ台が必要だったのですが、悪いことに手首の捻挫で重いものを持ち上げるのが無理でした。ようやくなおってきたので、つい先日かさ上げ台に乗せることができました。これでまた少しスペースが確保できました。
で、洗濯機のすぐとなりに洗剤を取り出せる形で置くことができるようになり、また洗濯機周辺も広々としているので、洗剤を入れることも別に面倒でもなくなりました。すると自然と、洗剤をつかうようになり、マグちゃんを使うことはなくなりました。だってまぁ洗剤はそんなに高いものではないし、洗剤使ったほうが、落ちるので。
洗濯マグちゃんとは何だったのか
ふり返ってみた時、私がマグちゃんに求めていたものはなんだったのだろう。
きっと、マグちゃんはお守りでした。私の本当のペインは、部屋が狭かったということなのだと思います。ついでに言えば洗濯のことなんか考えたくもなかった。だいたい外で干せないし。っつか洗濯する時間もねぇ。洗濯機のうえに押出棒を設置して洗濯物をかける。とにかくその一連の効率を最大にすること、ただそれが至上命題なのでした。汚れが落ちない時用に部屋干し用とかいう謎の洗剤だけは洗面台の下に置いておく。
その中で、原理的には効果が生じうるものを、理屈をつけて置いておき、それを使っている、ということにするのが、これがたまたま私のスタイルにハマったんでしょうね。水でいいだろと言えるほど振り切ってもいなかったんだなぁ。
今更ですが、洗濯は家事の中で割と好きなほうのものだったと、齢四十を手前にして、いまさら気づきました。風と太陽の力を利用してものを乾かすというのは、これはなんだか、技術の根幹があるように思われます。結局、現代技術ってやってることって、ほとんど全部エネルギー変換ですから。エネルギーを有効に使おう。一方で掃除系はあんまり好きじゃない。エントロピーを下げる系は好きじゃないんだろうな。多分人力を機械で置き換えるのが難しいやつってだいたい、エネルギーを使うというよりエントロピー下げる系ですよ。
最後にちょっと話が逸れましたが、このマグちゃん一つとっても、なんだか自分を誤魔化して生活してきたことの象徴の一つに思える、今日この頃です。
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