長期投資は最低20年というが

YouTubeには色々なジャンルがあるが、その中でも多分投資コンテンツは比較的人気と見えて、色々なチャンネルで動画がある。個人的にはけっこうゲンナリしている。多くの動画が判で押したように同じことばかり言っている。

内容はもう本当に一言で、「インデックス投信の長期投資で20年待てばヨシ!持ち続けることが大事!」以上おしまい。本当にこれしか言っていない。この程度のことでいいなら誰にでも言えるし僕も以前(2019年)記事に書いた。

この記事は5分から少し読み込んでも10分くらいで読めると思うが、この記事より薄い内容を、仰々しい肩書引っ提げたオッサンが30分かけて語りおにーさんやおねーさんが「なるほどー」って頷いている動画で溢れている。それらを倍速で消費することがタイパなのだと。阿呆らしい。

ここでは、上記の記事にも書いていないインデックス投信長期投資のリスクについて書こうと思う。とはいえリスクも一言で、「いつどうやって取り崩すのか?あるいは取り崩せるのか?」に尽きる

これは考えてみれば当然で、積み立て続けてそのまま死んだら意味がわからない。なのでどこかのタイミングで取り崩すことになる。いわゆる出口戦略だ。だがこのタイミングはけっこう難しい。始める時はいつでもいいかもしれないが、やめる時はそうもいかない。出口はその人と、そして社会の状況による。

まずその人について、家庭の有無、経済状況、健康の常態、思想信条、あらゆることが異なるのだから、取り崩すのはいつがよい、とは一概に言えない。独身と子沢山では当然必要な資本は異なるし、また縁起でもないが病気になれば将来も何もない。資本に対する考え方も20代と同じではいられないだろう。終わり方は人それぞれであって、これはその人ごとに考える必要がある。

次に、社会の状況について。たとえば1929年に取り崩しをはじめようとした人は一言で悲惨である。教科書にのる世界恐慌だが、これはピークから9割落ちた。そして戻るまで約25年かかった。想像して、果たして65歳の自分がそれに耐えられるか想像してみたらよい。多分ショック死する。

そうでなくてもドットコムバブルの崩壊、リーマン・ショックやコロナショックのようなタイミングで果たして取り崩せるのか疑問だ。これらは回復したが、世界恐慌のように回復に数十年を要したものは確かに存在する。そして今まで回復したからといって、これからも回復する、とはやはり言えない。そういう不安定な社会状況の中で、平静に取り崩しが出来るだろうか。

いや、そもそも取り崩せるのだろうか。たとえば大日本帝国末期、戦後預金封鎖が起きて資産は実質的にリセットされた。預金封鎖は二度と起きないと、何故言えるだろう?いや、そもそも国家が永続する、少なくとも自分の生きている間は絶対に無事であると、なぜ言えるだろう?

少しばかり極端な例をあげたが、あくまで歴史的な事実について言ったのだし、またそこまでいかずとも日本ないし世界の未来が明るいと信じているのでなければ、今と同じ環境であると考えることはできまい

このように、はじめ方は同じでも終わり方は人それぞれ考える必要がある。問題は、出口戦略というもっとも難しいテーマで、初めて本気で自分の投資を考える、という状況になっていたときだ。しかもそれは全資産に近いものの出口戦略だ。

これはYouTubeで知らないオッサンの解説をいくらきいても答えはない。大昔、したり顔で「続けることが大事です」と言っていたオッサンはもう既に引退しているか、この世にいない。新しいオッサンが「続けることが大事です」と言っているだけだろう。

人生の終盤において、投資に正解はないということの意味が本当にわかる、というのは極めてまずいのであって、しかしオルカンS&P500インデックス投信積立最強伝説に則り含み益を眺めるだけで歳を取ってしまうと、それは本当に起きうる。

それでも含み益がたんまりあって社会が健全かつ安定していれば、落ち着いてなんとでもなるかもしれないのだが、先も言ったように将来の社会が今の延長線で安定している、と無邪気に信じられるだろうか?

ここで長期投資のリスクについて言い換える。これは「命」あるいは「人生」に尽きる。自分の人生についてきちんと向き合っているか、少なくともYouTubeの動画も、そしてまた僕の記事も、あなたの人生に向き合っているわけではない。

まぁ、とりあえず投資を始める、ということについて僕は反対しないのだが、しかしどこかで今何をしているのか、それはいつどのように終わりうるのか、それについては考えなければならないし、それを考えないことが、最大のリスクになる、と思う。

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