ガジェットのレート換算と消費税

iPhoneなどがそうだけれど、海外産ガジェットについて、出自国の売値から為替のレートを使って、このプロダクトは1ドル(とかユーロとか元とか)xx円相当だ、みたいな言い方をする。これについて、計算元の売値に消費税を含めるか否かは人によるのだけれど、含めるとそれを批判されることもしばしばある。

たとえば1000ドルのガジェットが15万円(税込み)だった場合、1ドル150円の計算だ、というと、消費税は日本が勝手につけているのだからそれは適切ではない、1ドル136.4円というべきだ、という感じ。

この換算に消費税を含めるべきではないという流れはここ数年で大きくなったという印象だ。記憶でしかないのはそうだが、昔は基本的に税込み表示で言うのが普通だったように思う。

それを非難する向きが出てきたのは、まず消費税が上がってしまったことはあるだろう。3%時代ならいざ知らず、10%になるとさすがにその差を無視できなくなる。もうひとつは、レートが実際の為替と乖離することで、まるで企業が不当に搾取していると言っているような印象を受けるのだろう。実際には消費税は売上税で、企業の利益になるわけではないにも関わらず。

まぁこれは確かに理屈で、消費税100%の国があった場合、1000ドルのプロダクトを本国と同じ利益で売ろうと思ったら2000ドル相当にしないといけない。もし消費税分を被ったら原価割れまである。かといって他国の消費税を本国の価格に含めるのはおかしい。

となると、企業の判断としてその国の消費税分を最終的な売値にするのはわかる話だし、それは不当な搾取ではない、というのはそのとおりだ。

とはいえ、消費税を含めてレート換算するのは、企業が不当に搾取していると告発するためではなく、単にユーザから見てわかりやすくするためだ。買手からすれば、その内訳に消費税がいくらあるかなどどうでもよいことであって、結局いくら払うんやということだし、レートで見るのは昔と比べたいだけで、その比較の内訳として為替と消費税の比率を見たいわけではない。

そもそも他国で売る時点で、その販路開拓やローカライズには必ずコストがかかる。そのコストは本国の価格に含められていることもあるが、いないこともある。実際本国の価格とまったく価格の違うものは珍しくない。それなのに、消費税だけを特別視する必要はないではないか実用的には、レート換算は昔との比較ともしかしたら個人輸入の選択肢があるかもしれないことを判定するくらいのことで、企業を糾弾する意図をもってやることではない

…と思うので、僕は基本的にレート換算する場合は税込みでやるのだけれど、世間的にはもはやマイノリティなのだろうと思う。メディアの記事を見ていても、税込みレート換算するところは少数派になった気がする。

このサイトでも、税込みで換算するのは違うのではないかとコメントされたことがある。その時は上記のような考えを説明して、そうですかという感じであった。ただ、ここは僕のサイトなので、それ以上のことを言うのはやめたということだったかもしれない。

そんなこともあって、僕自身もなんだか面倒くさい気持ちになったので、レート換算した数値をブログに書くのはやめた。今は「円安傾向が反映された」みたいな書き方になっている。別に換算することにさほどのこだわりがあったわけでもなく、何も世間様に逆らうこともないかと思った。

ただどうも、最近は、こういうことが積み重なって、何を書くにも気をつけなければならないリストが増えてきたようで、息苦しさを感じていることも確かだ。

もちろん、これはこうしたほうがよいのではないか、と議論すること自体が否定されるはずはないのだし、別に僕も言われていいと思っているのだけれど、どうもなんだか、結果的に、意図せずともお互いに正しさを主張し合っているような感じになってしまっているようなきまり悪さを感じてもいて、これじゃ楽しくないよなぁ、という気持ちになっている。

これはテキストコミュニケーションの宿命という側面はあるが、それ以上に、多分僕ら全体がそういう時代の流れの中にあって、もはや個々人の気持ちではどうにもならないことなのかもしれない。

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