前回までで、遠隔操作ができて、ファイルサーバーとしても使えるようになりました。これだけでもいわゆるNASとしての機能はあるわけですが、せっかくのサーバーなのでもっと機能を追加します。今回のテーマはDLNAサーバーです。
環境:Ubuntu Server 12.04
DLNAについて
DLNA(Digital Living Network Association)とは、各メディア機器でネットワークを構成し、他端末からメディアファイルを再生したりなんだりするための規格です(参考:5分でよく分かる〜DLNAとは? [ホームシアター] All About)。具体例をあげると、スマートフォンからサーバーにアクセスして、置いてある動画ファイルをストリーミングするといったことが可能になります。サーバーマシンにはDLNAサーバーソフト、そして操作を行う端末にはDLNAクライアントソフトがそれぞれ必要です。
今回実装するのは、DLNAサーバーのほうです。DLNAクライアントについても、自分が使っているものについてだけちょろっと書きます。
MiniDLNA
DLNAサーバーを実現させるソフトウェアとしては、Mediatombが有名です。が、Mediatombは開発が止まって久しく、また多機能である分設定がなども複雑であるようです。私が今回もっとも参考にしたASCII.jp:NASになったHP MicroServerで動画も配信|MicroServerとSambaで作るオリジナルNAS では、より簡潔で使いやすく必要十分なソフトウェアとしてMiniDLNAをあげています。で、私もそれを使うことにしました。実際、驚くほど簡単に導入できました。
インストールと設定
まずインストールです。
$ sudo apt-get install minidlna
Ubuntuは本当に便利ですね。次に設定ファイルを編集します。設定ファイルは/etc/minidlna.confです。いじる場所はファイルの置き場です。私の場合は以下。
media_dir=/home/user/data
適宜置き換えます。
さて、注意なのですが、共有ファイルについては、ディレクトリに実行権限を与えてやらないといけません。でないとクライアントソフトからディレクトリが見えませんでした。私の場合は共有ディレクトリのパーミッションはすべて775にしています。緩いのかもしれませんが…。
で、終わったら
$ sudo service minidlna force-reload
で設定を反映させます。設定ファイルをいじったときだけでなく、共有ディレクトリの中身をいじったときにもやってあげる必要があるみたいです。新しくディレクトリをつくったり、ディレクトリの名前を変更したりなんだりすると、反映されなかったりクライアントから(null)というディレクトリが見えたりします。
DLNAサーバーの設定については以上です。Sambaなんかよりよほど簡単ですね。今回はほとんど上記で紹介した参考記事通りに進めることができました。
DLNAクライアントソフト
DLNAのクライアントソフトですが、OSによって様々です。が、参考記事にもあるように、基本的にちょっと鬼門である様子。
Windowsの場合はWMP
Windowsであれば、最近のWindows Media Player(WMP)が標準でDLNAに対応しています。たしかバージョン11か12あたりからです。なにげにWindows Media PlayerはDLNAサーバーの機能もあったりして優秀です。ライブラリの管理もそれなりに楽でわかりやすそうでしたし、使えない印象がありましたが、いつのまにか進化を遂げていました。まぁ、使いませんけど。
MacやLinuxでは…うーん
MacやLinuxはどうなんでしょう。少なくとも自分は何も使っていません。
タブレット、スマートフォンの場合
DLNAクライアントの需要が大きいのはタブレットおよびスマートフォンのほうだと思います。iOSについては、私はAce Playerというソフトを使っています。元々250円くらいだったと思いましたが、いつのまにか450円になっていました。さらに前バージョンとは互換性がなく、私のAce Playerはもう古いようです。でも使えるので特に買い直したりはしていません。私はApple TVももっているので、これと組み合わせることで、テレビの大画面で動画を視聴することもできたりします。けっこうオススメです。でもAppleに囲い込まれまくってて辛い。
Androidについては、UPnPlayなるものを使っています。これも普通に使えます。Nexus 7で動画見るの楽しいです。Nexus 7解像度的にも最近の動画と相性がよいです。
おわり
以上で、5回に渡ってつらつら書き綴った、小型のメディアサーバー兼NASをたてるの記事を終わります。ASCII.jp:HP MicroServer×Ubuntu ServerでNAS作り|MicroServerとSambaで作るオリジナルNASの元となるUbuntu Magazineの記事を見て始めたわけですが、いざ自分でやってみるとちょいちょい詰まるところもあったので、そんなところも含めてブログにまとめてみました。ここまでの内容をまとめると、HP MicroServerに、2TBのハードディスクを4本組み込んでRAIDを構築し、SSHサーバーを導入して遠隔操作ができるようにし、Sambaを導入してファイルサーバーとしての機能をもたせ、MiniDLNAによりメディアサーバーとしての機能ももたせた、といったところです。あとはこれを運用していくわけですが、たまにアップデートしたりログを監視したりするくらいで、特にたいへんなことはありません。構築さえクリアすれば、後は薔薇色の自堕落生活が待っている…!
とはいえ、今後もあれこれサーバーをいじるにしたがってなんだかんだとサーバー絡みの記事も増やしていくと思います。目下の目標は似非Dropboxみたいなことをしたい、とか、音楽を外部にストリーミングで流したい、とかです。が、今はまだそこまで手が回っていません。ひとまずこれにて。
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