人手不足倒産と叫ばれる昨今、本当に余っているかは置いといて、少なくとも我々は人余りとみなしている。そのように考えると社会のあれこれについて説明がしやすい。
化石燃料のおかげさまで
とりあえず、農業、産業と医療の発展によって人が増えている、という前提にたつ。1800年には10億人、1900年には16.5億人、1950年に25億人、から現在は80億人を超えた人口爆発という状況だ。日本の人口は停滞しているものの、戦後7000万人程度だったのがかなり短期間で1億2000万と大きく増えたことはそうだ。
人が余るとまず枯渇するものは、食料をはじめとした衣食住になる。通常はまずここがボトルネックになる。しかし、現代は資源を燃やしまくることで極めて高い資本効率を実現した。
現在、1kcalの食料を得るのに何倍もの化石燃料エネルギーを使っているとされる。環境問題や最近では食料安全保障の文脈において我々は石油を食べているとも言われるようだ(Eating Oilで検索すればいくらもでてくる)。それによって、現在の人口は大量生産により支えられている。
人間の代わりに資源のエネルギーを使って多くのことを実現できたので、なんとかみんな生きられるだけのリソースは確保できた。衣食住それぞれに課題とラグはあるものの、理論上は全員に行き渡り十分なだけのそれは、少なくとも日本には存在する。
仕事が不足する
が、ここで深刻に不足するものが生じる。仕事だ。現在の極まった大量生産は世界中で資源を燃やしまくり、世界中を繋げることで実現される。繋がる先には安い人材がいる。別に日本人が滅私奉公して維持しているわけではない。やりようもない。どちらかというと我々は上澄みを美味しくいただく側になっている。
しかし、美味しくいただける我々の中にも、チューチューできる側とできない側に分かれる。それは基本的に資本のストック・フローの大小で表現される。元より自分ではないエネルギーをベースに生み出されたものにおいて、その数字の妥当性に誰も芯からの根拠を持たず、ただ数字を求めるしかない。
そうして実業は軽んじられ虚業が持て囃される。虚であるにもかかわらず生まれる利益を付加価値と呼ぶ。その椅子を求めて余った人々が殺到する。当然困る。
教育は長期化する
その中で、いくつかの施策がなされる。特に教育の長期化は有効な手段の一つだったと思われる。教育内容は現実社会においてほとんど役に立たないが、重要なことは滞留させることで、その社会的役割は本当のところ95%くらいシグナリングであったから、別によかった。
しかしそれは家庭にとって確実なコスト高を意味する。戦後、まだ日本が実業によって身を立て直そうとしていた高度経済成長期、子どもたちは金の卵であったが、令和の現在、子供は贅沢品と表現される。
その子供たちも、少なくなった付加価値の高いとされる椅子を求めて熾烈な椅子取りゲームを強いられることになる。椅子取りゲームのルールは完全に整備されており、多くの攻略本あるいはそれを称するものと広告に囲まれている。そして少年はYouTuberを目指す。
ジェンガの崩壊はある?
このように書けば明らかに歪なジェンガに思えてならないが、実際歪なので、この構造はどこかで音を立てて崩壊するものと思うが。その構造的な要因がなにかはいくつか考えられる。
- ピークオイル
- 信用収縮
まずピークオイルについては、2026年になって激化する中東情勢を見て、急速に多くの人が実感を持ちはじめたのではないか。これは資源が枯渇するというより、現在のサプライチェーンを維持することが地政学上不可能だ、というところによる。実際、2026年はどう足掻いてももはや資源供給は減る以外ないし、2027年以降の見通しも明るくはない。
しかし資源を燃やしまくってエネルギーを作れるというのは現代社会の前提であるから、ここが崩れると、土台からガラガラと崩れていくような形だ。エネルギーを使えないので、人が不足するとか以前にまず衣食住の供給の維持が怪しい。
もうひとつは信用収縮で、まぁ端的に言えばバブル崩壊である。今の株価はほとんどAI一辺倒で支えられているが、これがやはりだめなのではないかという期待が弾けたとき、急速に逆回転を始める。実際AIバブルが弾ける、ということ自体はよく言われることだ。なんならサム・アルトマンも言っている。
そこでは、ドットコムバブルがよく引き合いにだされる。最後は勝者が残るのだと。しかし、ドットコムバブルの頃と2026年のAIバブルは、その規模も、そしてそれを支える土台も、すべてが異なる。額面だけならば純粋に金融ショックであったリーマン・ショックに並ばないかもしれないが、しかしリーマン・ショックからの量的緩和、コロナショックのロックダウンと現金バラマキは、傷跡として残っているどころかむしろ国家のコアに侵食しつつある。個人的には、ドットコムバブルのように弾けた後に本物が残るのだ、というのはかなり楽観的なシナリオであると思う。
まぁこれらは今見えている危機だが、だいたい本当の危機は斜め上からやってくるので、全然違うことがトリガになるのかもしれない。自然災害、疫病、戦争、内乱……他になにがあるかな。ジェンガが崩れる時はあっという間だろう。
しかしそれまでは、今のこのゲームをジリ貧になりながらも続けていくのだろう。これは構造の問題なのであって、どうにかなる感じがない。人手不足倒産が問題だと言いながら、高校を無償化して教育の長期化を正当化しさらに人手を不足させるように、社会のシステムは既にその方向を向いて止まれない。口だけでエッセンシャルワーカーと言いながらも給与は上げないし上げられない。上げたらビジネスモデルが崩壊する。頭のいい連中は次の合法的な詐欺の方法を考えている。
これを持続可能だと思うなら、それこそ狂気的な考え方だろう。我々は後世に狂気の時代を過ごしたとして断罪されるものと考えている。
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