いまさら擦るのもなんですが、昨年(2025年)末にあったCloudflareの大規模障害について、思うことがあります。
一度目の障害
まず最初に11月18日の大規模障害があり、これは多くの衝撃を界隈に与えました。当時のITmediaのトップニュースはCloudflare一色でした。侵食されている。

印象的だったのは、なぜかAdobe民が悲鳴をあげていたことです。聞くところによると、なんだか起動するたびに毎度オンラインのライセンス認証が必要な仕様らしく、その門番がCloudflareだったようなんですね。
本質的にオフラインの作業なのにと、多くの人が嘆いていましたが、原因に気づけているだけましだったのではないでしょうか。原因すらわからず、多くの不要な作業をして、さらにそのミスで取り返しのつかない消失など憂き目にあった人もいたかもしれません。
この障害について、Cloudflareは即座にポストモーテムを出しました(「2025年11月18日のCloudflareの障害」)。それが非常に迅速であったこと、また障害自体はあるものだいう理解で、SNSを見る限り界隈はどちらかというと対応がはやい、さすがだ、と称賛のようなムードがあったと記憶しています。またポストモーテムにあった「インターネットに多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」というぽエティックな文言について、「カッコいい」と無邪気にツイートするエンジニアを見かけました。
一方私は、このサイトにCloudflare Tunnelを使っていたもので思いっきり影響を受けており、特に障害を責め立てる気はないものの、障害を起こしてカッコいい、とは思えませんでした。ついでにいえば、ご迷惑をかけたのはインターネットではなく私だと思うが、私のところにメールが来ていない、とあまり愉快ではない気持ちがありました。
二度目の障害
インターネットにご迷惑かけてからほんの二週間後の12月5日、Cloudflareは再び大規模障害を起こしました(「2025年12月5日のCloudflareの障害」)。この時は「またかよ」という気持ちで、あまり界隈のムードも観察していませんでしたが、どうだったんでしょうね。さすがに二度目は白けていたでしょうか。
こうなると、根本的な構造に対する批判の声もあがります(「ヴィタリック・ブテリン、CloudflareとAWS障害受けDAppsによる分散化インフラを提唱」)。
なぜご迷惑があったか
さて、この件についてお思うことはいろいろありますが、まずなぜ私のサイトが落ちたのかを私の視点から問い直せば、それた端的に「Cloudflare Tunnelを使っていたから」になります。なぜ使っていたのかといえば、CDN的な機能がほしいというより、証明書やルーティングが楽にできるからです。あとなんかDDoSみたいなことがあってもCloudflareが前段で受けるしなぁとかいう意識もあるかとは思います。
まぁこのサイトは個人でやっているものなのでその程度の理由ですけれど、ビジネスユースでも利用の本質は大して変わらないんじゃないでしょうか。ちょっと腐しましたがCloudflareは便利なサービスを提供していると思います。結局私も便利だから使っていたのですね。
そうして皆が便利だからと合理的に判断して使った結果、Cloudflare自体がインターネット全体の単一障害…になっている、というのはちょっと笑えないし、これこそがあるべきではないことに思えます。もっといえば、一民間企業のCloudflareがインターネット全体にご迷惑をおかけできること自体がおかしい。少なくともおかしいと思わなければならないでしょう。たとえそれが一人ひとりの選択の結果であったとしても、その結果がこれならば、全体として素直に間違えていたと考えるべきだと思います。
しかし、今それを社会的に合理とする根拠がありません。多くの組織人は自分のサービスについてまでは責任を持ちますが、インターネットに責任は持ちませんし、持てません。それはCloudflareも同様です。Cloudflareが責任を持てるのは自社のインフラまでであって、それはインターネットではありませんし、あるべきでもありません。
したがって、少し言葉遊びになりますが、全員が合理的にふるまうと合理的に壊れるならば、誰かが不合理にふるまうことが、全員にとって合理的、だと言えます。その不合理が搾取や強制のためであれば救われませんが、それが偶然や信条であれば、問題はありません。むしろ、今まで我々はずっとそうしてきたのだと思います。個人の合理が全体の不合理であるように、個人の不合理が全体の合理となる。そういうこともあります。
なのでとりあえず私は、手間暇かけて、Cloudflare Tunnelよりも性能が低い終端とトンネルを、自サイト向けに作っていこうかと思います。
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