ブルーカラーの現場とホワイトカラーな価値観:知識労働者は本当に現場に行くか?

こんなツイがバズっていた。

ブルーカラーの作業そのものは平気な人がそれなりにいるんですが、 現場を仕切る人達があまりにも野蛮過ぎて耐えられず、仕方なく給料の低いホワイトカラーに逃げる人も一定数います。 労働人口の回復には外国人に頼るだけでなく、現場を仕切る人の価値観を現代的にすることも必要不可欠です

https://x.com/kansei_ga_sugoi/status/2025824961504706573?s=20

僕はしばらく工場にいたことがある。主に品質管理をやっていた。15年くらい前だな。野蛮というと少し言葉がキツイかもしれないんだが、文化が違うなぁ、というのは強く思った。大学の研究室からの落差がフリーフォールだったので、よく覚えている。その後現場系の人たちと一緒に仕事をする機会がしばらくあったので、一応実情を多少なりとも知っているつもりだ。

全体としてはいい人が多かった。でもまぁちょこちょこと変わった人(人のこと言えないけど)、キツイ人がいて、また全体の空気感っていうのは、キツイ寄りかな、と思う。普通に怒鳴られるよね。しかも不条理に怒鳴られることもしばしばで、当時から辟易としている人はけっこういたな。あと喫煙室いくのがコミュニケーションにおいて重要だったのもしんどかったけど、これは現場によるのかもしれない。

もっとも、いい人が多かったという印象は、僕の名目的には誰の下についていたわけではない特殊な立場と、何より二十代の男の子だったことが大きかったかもしれない。たとえば中年になった僕が今から入ったら、なんだこの使えないおっさんは、と虐げられるかもしれん。

あー、いや、どうだろう、現場ガチャと僕の態度次第かなぁ。少なくとも僕と一緒にやってくれた人たちは、僕が不遜でない限り、まぁ失敗したら怒鳴るかもしれないけれど、無下にはしないんじゃないかと思う。当時非常に頼りなかったであろう僕は周囲に随分と世話をやかせてしまったなと、今となっては懐かしく思う。

あ、待てよ、そういえば、めっちゃ怒られてて心配だったみたいなことを言われた記憶があるから、僕が妙なところで無神経だったのもあるかもしれない。コミュ障すぎて怒られていることに気づいてないみたいなのはあったかも。

最初挨拶したら無視されたんだけど、挨拶を無視されるということが理解できなくて、聞こえなかったのかなと思ってその人の目の前までいって「おはようございます!」っていう、なんか今にして思うと逆に強いことしてたわ。今は良くも悪くも昔よりは察するようになったから、今だと気にしちゃうかもなぁ。

いずれにせよ、まぁ僕が頼りなかったのは置いといて、現場のキツさは単に作業が厳しいというより、人間関係に起因するところのほうが大きい、というのは言っていいと思う。多分今やっている人も同意する人が多いんじゃないかな。

僕は工場では前述のとおり品質管理だったが、品管は工場の中でもけっこう文化的な気風もあるほうだったな。これが工作、設営、ロジスといくに連れて、だんだんと体育会系というか熱風というか、そういう感じになっていったね。この文化的な違いはかなり根本的で、厳しいってのはわかる。

ただ思うんだけど、昔はもうちょっと混沌としていたんじゃないのかな。

僕が色々と学ばせてもらった人の中に還暦のベテラン品管の人もいたんだが、その人はよく品管がダメになったと嘆いていた。よくISOの悪口を言っていた。欧米の真似をしてISOなんか入れるから品管が考えなくなった、品管は設計と喧嘩してなんぼなんだと、そういうことを言っていたな。今にして思うと僕の設計主義を嫌うルーツはこういうところにあるのかもしれん。

実際、設計と現場の断絶はひどいもので、互いに言葉が通じていないし、通じる気もない、という感じがあったな。個人レベルで見りゃそりゃ色々なんだけど、全体としてね。メーカ勤めの友人も、工場内の設計と現場の溝については似たようなことを言っていたし、全体はそうなんじゃないか。

この断絶の原因を考えると、皮肉なことに教育の普及があると思う頭のいい連中の多くが大卒になって設計を目指すようになってしまったので、現場に設計と議論したり橋渡しになったりする人が極端に減ってしまった、というのが僕の仮説だ。本来的には、あらゆるところにさまざまな人がいて然るべきだし、それが技術的にも理想的なはずなんだけれど、なんだか現実としては、社会は身分制のようになってしまったんだねぇ。

なので、今ホワイトカラーでやっているような人たちが再びブルーカラーを目指すのは、すごくいいことだと思うんだけれど、既にできてしまった溝と摩擦を社会が超えられるのか、かなり難しい気もする。少なくとも僕は、もはや現場でやれる気はしない。まいったね、まったく。

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