長いこと使っていたATOKを先日解約した。例の実質値上げであるベーシックプラン廃止のため。
「ATOK Passport」実質値上げにユーザー悲鳴 月330円プラン廃止、660円に - ITmedia NEWS
ジャストシステムさんェ……。
Xで値上げを知りランボー怒りの即時解約
契約停止ならまだわかるのだが、サイレントに倍額のプレミアム以降させられる。説明も一切なし、Xでそれを知るという有様。なんじゃそら。
正直660円はちょっと……という気持ちはあるが、それ以上に態度にイラッときたため、解約。だいたいプレミアムに660円の価値はないと思っていたからベーシックを選んでいたんだから。ちょっと邪悪じゃないですか。
どうやって解約するのかわかりづらかったけれど、「ATOK Passport を解約する方法 - PC設定のカルマ」の方の記事を参考にしました。「Just MyShop - ジャストシステム直営ECサイト -」より「お客様カウンター」で「定額利用サービス」の「契約内容の確認・解約」から。
完了すると画面での表示と、メールが届く。

ちょっと焦ったのは、解約のタイミングで費用請求が発生すること。というのも、ATOKのサブスクって後払いなんだねぇ。

後払いのサブスクってあるんだと衝撃を受けた。やっぱりこの辺は日本企業的に前払いは商習慣的に受け入れ難いと思ったのだろうか?
いやそれだったらサブスク自体受け入れ難いんだけど……。なんでローカルで動く日本語入力でサブスクが必要なのか完全に意味不明だし。以前まではそれが時代の流れだ、みたいな感じで僕も自分に言い聞かせていた面があるけれど、冷静に考えたらおかしいわ。クラウド辞書とかいらんからな。アプデ対応が名目なら従来通り買い切り版アプデしている人だけ買えばええやん。いらん機能入れるから値上げは納得できない。
実際「ATOK 値上げ」「ATOK 解約」で調べていると、十年以上使ってきたけど解約する、みたいな人もかなり出てくる。皆、価格というより不信感が壁を超えた、という感じ。三十年使ってこられた方の「30年使ってきて最後がこれかよ」というツイートが印象的でした。

僕なんかよりよほどコアなファン層だが、そういう人たちと最悪な別れ方をするの、企業としては最悪なんじゃないのかねぇ。
そもそも変換精度が微妙なので、OS標準で十分説
そもそもATOKに求められていたのは、芸能人の名前を一発変換できることではなく、高い変換精度であったはずだ。それは日本企業だからこそ出来るはずのことだった。
しかし現状はどうだろう。
今回、解約する前にしばらくMac標準を試していた。なんかいつの間にか、ことえりじゃなくて日本語入力変換プログラムとかいう、愛のない名前になっていたらしい……。
で、しばらく試した結果としては、学習が若干微妙ではあるけれど、変換精度自体は思っていたよりだいぶマシであった。あと大学生時代に登録したユーザ辞書が出てきて謎の感動があった。「だお」で「( ^ω^)」と変換されたり「よろ」で「よろしくお願いします」になったり、うーんこれは完全に大学生。そういえばMac標準15年ぶりかもしれないマジで。
ってかATOKもよくよく考えてみると最近別に変換精度よいと思えない。たとえばATOKを使ってAIとのチャットしたときのことだが……
ジャーキーはうまいが酒を飲みたくなってしまう。ノンアルコールで代わりになるのは内科
AIにこんなしょうもないこと聞いてるの?聞いてる。
で、「なるのはないか」を「内科」と誤変換されている。これもうことえり以下だろ。なおChatGPTさんこの誤変換をまさかの深読み。

まぁこれについては正直ChatGPT側もどうかとは思う。なんかChatGPTも阿呆になっている気がする今日この頃。
あと学習が強いのはいいんだが、それによって誤変換を学習したり(通はちゃんと調整するようだが……)、なんか以前打った謎ワードを学習して妙な推測変換をしたりする。
これによって「お」と打つと「おっぱい」が出てきて「おとこのこ」が「男の娘」になるなどするため、人様の前で使えない状態になる。以前あったやばいヒヤリハットでは、メールで「記入お願いします」が「奇乳お願いします」になっており、送る直前に気づいて「うおおおおおおお」となった。
なんでそんな学習したのかは置いといて……。……いや、百歩譲ってこれが僕の趣味ならまだしも仕方ないかもしれないんだが、別にそういう性癖ではないから余計に嫌なんだけどこの手のはどう言い訳しても言い訳なのでもういいです。
もう少し真面目な例としては、うちのATOKは一部の文脈で感想(かんそう)を巻層と変換したがる悪癖が身についてしまい、これも地味に鬱陶しかった。常にそうなるわけではなくて、どうも文脈によって巻層になるらしく、誤変換を修正するのもなんだかどうやるのかよくわからない感じで、放置していた。なんだったんだろう。
こんな感じなので、まぁ確かにOS標準の変換精度はあまりよくないし、最近は絵文字がやたら出てきて鬱陶しいというのもあるのだが、ではATOKなら良いかというとこれはこれで別角度から良いとはいえないように思う。
姉もATOKを使っていたのだが、今回の件を愚痴ったところ「変換は昔のATOKの面影ないよ。入力なれてるから使ってるだけ」とのこと。ATOKの変換精度下がってるよね、というのはSNSでユーザの評判を調べていても、けっこうあちこちで言われているようだ。
強権を発動できる、そうサブスクならね
僕としては、OS標準よりはやっぱりまだマシなんじゃないのかなぁとは思うので、正直買い切り版があったら買ってもいいかな、程度の気持ちはある。しかしサブスクとなるとかなりどうかと思うし、まして強権的な移行は、価格の問題だけではなく心情的な面で大きな不信感を抱く結果となった。
この強権を発動できるのが、サブスクというやつの特徴だ。つまり、制御権が自分ではなくサービス提供側にある。だからこそ、その力の行使は極めて慎重であるべきだし、実際2010年代前半くらいまでは、企業側もそれなりに配慮があったと思うのだが、ここ最近はどこもかしこもかなりひどい、と思う。
そうして値上げを強制しておきながら、どうでもいい機能が追加されるわりに、本当に重要な機能の改善がおろそかになっている。なんなら低下しているまである。わかりやすく華々しい新機能、何百万語追加のような、測れるものばかりが重視され、体験という本質的に測れないものは放置される。収益という測れるものが重視され、顧客のロイヤリティという測れないものは軽視される。
測れる価格が重んじられ、測れない価値が軽んじられる。それが資本主義だというならば、そのうちに人間にも値札がはられ、その人生は無視されるディストピアになるだろう。
つまりATOKプレミアム強制移行はまさに1984的ディストピア到来のカナリアだったんだよ!な、なんだってー
ふぅ……。ATOK推していたのにどうしてどうして……。
懐かしの記事



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