サブスクは高かった

こんなニュースが流れてきました。

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これに限らずですが、昨今のあらゆるサブスクの値上げと広告強制を見て思うことは、サブスクって本質的に高かったんだなぁ、ということです。それはわかっていたようで、実感としてはわかっていなかったように思います。またそうであるならば、この20年はいったいなんだったんだろう、とも思います。私たちは金をかけて、既存のものをわざわざ高くつくものに置き換えてきたのだろうか。

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かつてはそれなりに期待していたはずなんだけれど

一応僕は曲がりなりにも技術系で、このブログも14年やっていますし、最初の記事がUbuntu Server構築記であったことからも、人よりもITに対する親和性はかなり高かったと思います。当サイトにおいてもDropboxやEvernote(懐かしい)、Apple Musicなどクラウド系サービスについては多く触れていますし、金も払ってきましたし、技術的にもVPSからAWSを使った設計・実装の話まで、まぁ色々とあります。

そんな僕ですから、YouTubeやNetflixに代表される新興のストリーミングサービスについてはかなり好意的に見ていました。動画は興味がないので契約はしませんでしたが、音楽系だとSpotify、Apple Music、Amazon Music、音楽目当てでのYouTube Premiumは一通り契約したことがあります。まぁたいていは期間限定の無料や激安のときに加入するだけの渋い客でしたが、Apple Musicは一応それなりに使っていたのではなかったかな。

まぁ当時の記事など見ると、色々頑張って工夫して使おうとしている様が見て取れます。ちょうどいまは亡きiTunesがクソになっていた時期でもありましたし、ミュージックプレイヤーが下火になるもまだまだスマートフォンの容量も小さい中で、ストリーミングに活路を見出してような覚えがありますね。

まぁこのApple Musicのせいで私のライブラリはメタデータなどすっちゃかめっちゃか(死語)に成り果てて、いくつかのデータは行方不明になり、後年非常に後悔することになるのですけどね。いまは安心と伝統のフォルダ管理になりました。iTunes以前に戻ってしまった。どういうことなの。

書籍系だとかなり早くから電子書籍周りは手を付けていました。当時は未だギリギリ希望があったのでDRMフリーの書籍サイトのまとめなども作っておりました。

まぁ結局のところ儚い夢でありましたし、もし権威やトレンドに惑わされず虚心坦懐に物事を考えられたならば、なぜepubなんてものが必要とされたのか、そしてそれが何を意味にするのかを、政治的な文脈で理解することができたでしょうが、あの頃あまりにピュアだった。

そういえば、Kindle Unlimitedは多分けっこう長いこと契約していましたか。いまも読みたいやつが複数あったときはたまに契約することはないでもない、くらいです。

こんな感じでやってきているので、ビジネス的に言うならいわゆるアーリーアダプターくらいの立ち位置でやってきたんじゃないでしょうかね。

現在整理中

そんな僕も、ここ1年ばかりでほぼ全部のサブスクを解約しました。といってもお高いAIだけ残っているのですが…まぁでもGoogle AI Proの半額セールで年間契約したので、1,200円/月くらいです。それ以外のサブスクは全部解約したはず。Amazonは10年以上プライム会員だったと思いますが、これも解約しました。あー、Androidアプリでリスニングに使えるAudipoだけまだ続いていたか。あれ年間600円なんですよ。でももう使ってないから、解約しよう。

あとはまぁ、ドメインやVPSをサブスクと言うならそれが残っているかもしれません。まぁサブスクといえばそうか…ドメインはできるだけ統合しよう。VPSも更新はもうしなくていいかな…自宅サーバのセルフホストでだいたいなんとかなるし…。あと最近入ったタイムズカーシェアは、これはもう仕方がない。車持つよりは安い…。

まぁまだちょっとばかり残りますが、あと1年ほどすればさらに整理されていくことでしょう。

サブスクは結局高く付く

思うことは、サブスクというやつは結局高い、ということです。しかも何も残らない。

まぁ最初からわかっていることではありました。だからこそ企業は移行したがるわけでしょう、そっちのが安定して稼げるので。かつて安かったのは先行投資なのだろうとも、わかってはいました。

いや、わかっていなかったな。なんとなく、そうは言っても今までよりは安くなるはずだろう、という気はしていました。今より少し高くなるかもしれないが、そこまででもあるまい、みたいな。

今振り返ると不思議かもしれませんが、今となっては悪の代名詞みたいな気もするビッグテック各社に対する信用が当時ありました。ITは物事を効率化するのだから、今よりもコストが下がるのは当然だ、という気持ちもありました。

何故高くつくのか

しかし現在の状況を見ると、そのピュア過ぎる考えは誤っていたことがわかります。まぁビッグテックを信用するんじゃないよこの阿呆というのは置いといて、ITが効率化するのは、これはそうなるはずだったのでは、という疑問があります。

よく言われていたのは、ソフトウェアは複製費用ゼロだからいくらでもスケールできる、スケールメリットも夢も無限大(当社比)みたいなことでした。これについてはそうは言ってもサーバ代があるだろうと思いつつ、まぁでもたしかに一品物は高いけどマス向けは安くできるよね、という雑な理解をしていました。

実際1人で1人だけのために作るより、10人で1000人に向けて作ったほうが効率的だ、というのはこれは正しいと思います。しかし100人で10万に向けたらどうあろう?1000人で1000万人に向けたら?1万人で10億人に向けたら…?

これは、だいぶ怪しくなってきます。ユーザが増えるに連れて、属性が多岐にわたるために対応するものが増えます。複雑性の増加は線形ではなく組み合わせ爆発しますので、これはどうしても属性の切り捨てが生じます。ユーザはシステムに合わせろ、となるわけですね。

またサポートコストも単純にユーザ数に比例するのではなく、リテラシーの低い層に強く影響されますので、これも人を増やすごとに、どうしてもサービスに対する解像度の低い層や、そもそもそんなに必要性もないけどなんとなくとか、人に言われて仕方なくとか、そういう層も入り込んできますから、これも非線形に増加します。

さらに人が増える=影響力が増える=当局もほっておけない存在になるため、コンプライアンス遵守をはじめとするリーガルリスクへの対応も増えます。法務だけでなく複雑になる経理はもはや専門部隊が必要です。あらゆる挙動に他部門のチェックが必要となります。非効率的です。

まぁつまり、複製費用ゼロであるというのはそれはそのとおりなのですが、本当にただそのまんま複製して終わりなわけはなく、むしろそれはソフトウェアサービスの費用全体を示す多項式のうち、極めて影響力の小さな一つの項に過ぎなかった、とは言えるでしょう。

資本の影響を過小評価していた

考えてみればそりゃそうなんですが、その多項式について明確かつ定量的なものがあるわけでもなく、実際初期の段階ではまだコストは膨れ上がっていなかったわけですから、なんとなくイメージとして、無邪気にIT業界の善性を信じてしまっていたのかなぁ、という気はします。

あとは資本の影響についてあまりにも過小評価しすぎていましたかね。実際のところ、当初やすかったのは、コストがまだ小さかったという以上に、先行投資という名の資本投下があったから、なわけで、その意味をよく理解していなかった、ということは確実に言えます。私がお金の話について少し考え始めたのはせいぜいここ10年、投資を始めたのもそれからです。それだって長いことS&P500を買っていただけですからねぇ。まぁなんもわからんですわな。

それは投資ですらなかったかもしれない

まぁ今もなんもわからんといえばそうなんですが、あの頃よりはさすがにもう少し見えるだろうとして、今見てみると、なんとも酷いことになった、と思います。っつか、これって投資といってよかったんだろうか、とすら思います。

投資でもっともわかりやすいのは、大航海時代、新大陸を求めて出資を集う、という形だと思います。Eコマースを切り開いたAmazonの初期なんかは確かにその側面が強かったんじゃないでしょうか。一方、ストリーミングサービスみたいなのは、果たしてそういっていいのだろうか。真っ当に安い価格で勝負するならともかく、資本の力で前借りしてダンピングをしかけて、既存の市場を焼き払ったところで、満を持して値上げ、というのは、フロンティアの開拓ではなく、市場の破壊ではなかろうか。

もし本当に効率化したならば、コストは安くなるはずです。Amazonの通販は今も通販としては安いし、またたとえばライドシェアなんかは、日本版とかいう謎の何かは置いといて、世界においては確実にタクシーより安いわけです。そういったものは、見えなくてもフロンティアを開拓したと言っていいのかなと思います。通販も、メールも、Webサイトも、既存の何よりも効率的で、コストが安い。ITサービスには確かにそういうものがあった。

でもストリーミングサービスはどうなんだろう。そろそろ、「普通にDVDを買ったりTSUTAYAでレンタルしていた時期のほうがよかったのでは?」となっているように思えます。また、オフィスに代表されるユーティリティは?オフィスについてはどう考えてもExcel 2003を使い続けているほうがいい。以前ベーシックプラン切り捨てで炎上したATOKなんかも、確実に買い切りからサブスクでコストが高くなった代表格です。

確かに世界的にはインフレです。しかしそのインフレを圧倒するほどのコスト破壊を起こすからイノベーションと呼ばれ尊ばれたのであって、既存の市場をぶっ壊してより高いコストの何かで支配するのは、これはむしろ資本主義・自由主義の敵なんじゃなかろうか。だってそんなのもう、本質的にショバ代ですよ。ってかもう、世界一儲けている連中のやっていることがみかじめ料だから、完全に非効率だから、インフレになってるんじゃないでしょうか。

しかし、なんで今さらになってようやく言葉にできたのだろう。僕はサブスクを始めとする課金体系や、そればかりの界隈には強く失望しているのですが、それはそれとして、なんで気づくのにこんなに時間がかかったのか、15年前は無理でも、10年前なら出来たのでは、少なくとも5年前ならば…ということが疑問であり、何が僕の目を曇らせていたのかということを、最近はよく考えています。

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