高齢者の独居問題について、記事が流れてきた。
記事の中で提起されている問題は、超高齢化と未婚化で単身高齢者が増えているが、民間賃貸市場では大家の約7割が高齢者への賃貸に拒否感を持っている、というもの。拒否感の理由として以下があげられている。
- 居室内での死亡事故等への不安(約9割)
- 親族や身元保証人がいない(約6割)
- 家賃滞納の懸念
孤独死が発生すると特殊清掃などで原状回復費用が高額になり、事故物件として次の入居者が見つからない、家賃に影響する、残置物の処理も困難、相続人を探して整理や賃貸契約解消の手続きを依頼する必要があってたいへん、など、コストに見合わないことが察せられる。これについて政府は居住サポート住宅制度なるよくわからんものをまた作ったらしい。
まぁつまり「高齢者の孤独死リスクが高すぎて貸せない」、ということだろう。で、これの対応でまたなんか妙な制度を作ったが、結局のところ認定されるのに必要な設備投資で補助金投入という、いつものやつだ。補助金がいるということは、経済合理性がないということだ。したがって、根本的な解決ではない、ということだ。
本当の問題は、法整備の不足ではなく、むしろ法整備のしすぎ、過剰規制だろうと思われる。日本の借地借家法における借主保護の強さは有名で、これによってむしろ普通の人が借りづらくなっている、家賃にリスクプレミアムがのっかっている問題がある。まして高齢者はそりゃもっと借りづらくなるだろう。
また、高すぎる車の維持費が地方の魅了を失わせ、元気な若者をますます都内に引き込んでしまい、交通の便が必要な高齢者にとって便利な都市部の家賃がますます高まる、という悪循環も起きている。
なので、今話題のガソリン減税は、高齢者の独居問題と関係ないようだが実は関係おおありだ。こういうことの積み重ねで、日本は自縄自縛に陥っているのだと思う。法的な規制が問題を生んでいる側面があり、制度が生んだ問題をさらに制度で解決しようとするのは歪んでいる。
以前、社会的な無責任リレーについて記事を書いたのだけれど、ここにこの構造が見える。
今の世の中、「ユーザの自己決定権とプライバシーを守るための同意ポップアップが読まれない問題に対応するユーザビリティを考慮したUX促進法」状態になってるのはけっこうあると思うんだよ。
許可の二面性:同意という名の責任のバケツリレーについて - 或る阿呆の記
正直居住サポート制度がまさにこの状態なんじゃないか、と思われた。
そしてこれについて、ヤフコメ見てもみんな「法整備が必要だ」とさらに法律を作りたい人たちが多く、法を減らそうという発想はあまりなさそうだから、きっと問題は悪化していくんだろうなぁと、とりあえず個人的な対応の必要性を強く感じた。

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