1PasswordとLastPassを併用し、両者のサービスを比較検討する

2021/03/21追記:この記事はもはや「こんな時代もあったね」という記事でしかありません。時代は変わりました。そして私は今、Bitwardenを使っています。

追記:この記事は、1Passwordがサブスクリプション始める前、またLastPassがスマホの同期も無料化させる前の記事です。したがって、記事内容には古いところがありますのでご注意ください。追記終わり。

ここ何ヶ月か、1PasswordとLastPassを併用しています。LastPass使いですが、Parallels Desktopに1Password 5がバンドルされていたので、使うことにしました。ビジネスモデルが違いから、両者のいいとこ取りをすることで少しでもローコストでパスワード管理アプリを使うことが可能になります。

以下、二つのサービスを併用している身として、結局どちらを使うのがよいかを検討していきます。結論を言うと、それは結局どちらの思想が自分にとって好ましいかという選択に落ち着くと思います。

目次

前提

私はPCについてはMac OSXを主に使い、時々Windows(最近離れていましたが、Linuxをデスクトップでもまた使おうかという気になっていたり、Chromebookに興味があったり)、タブレットはiPadがメイン、スマートフォンはAndroidとiOSの両方を使っています。したがって、複数台、クロスプラットフォームでサービスを使いたいという立場です。それと、パスワード管理サービスに金を払う意志があることを前提にしています。金を払いたくないのであれば、LastPassで割り切った使い方をする、という選択しかないでしょう。パスワード管理アプリに金を払うことを妥当と考えるかどうかは、両サービスを比較する前の段階の話と言えます。

追記:冒頭に追記したように、現在はLastPassでスマホを含むマルチデバイスからのアクセスが無料化されました(「どこからでも利用できる LastPass : マルチ デバイスからのアクセスが無料に! | The LastPass Blog」)。スマートフォンでも利用できることは非常に大きく、LastPassの無料プランで済む人も現在は多くいると思います

機能面

できることについては、もはや両サービスはあまり違いがありません。しかしながら、元々スタンドアロンの1Passwordと、クラウドサービスのLastPassでは、同じ機能を実現するにもそのやり方は違います。また、スタンドアロンなアプリで歴史もある1Passwordには他アプリとの連携という強みがあります。一方Webですべてを完結させるLastPassは、Webブラウザさえ使えればなんでもできるというシンプルさ、簡便さがあります。これは現状サポートの少ないLinuxやChromebookで有難いことでしょう。以下詳述。

根幹がスタンドアロンアプリな1Password、クラウドサービスなLastPass

2015年6月現在、1PasswordとLastPassはお互い競い合っているせいか、パスワード管理アプリとしてできることに違いはほとんど見られないようです。どちらもほどほどの使い勝手で、パスワードの安全な保管、およびその利用については十分です。UIの違いは慣れでしょう。まぁ、1PassWordであればローカルでの同期ができるという大きな特徴があるので、もしこの機能に絶対の魅力を感じるようであれば、検討なんてする必要はなくて、1Passwordに決まりです。ですが、クラウドにパスワードを保存してもよいのであれば(そして2015年現在はそうしたい人のほうが多いと思っています)、できること、という面から見た両者の違いはほとんどなくなります。1PasswordはDropbox経由で保存し、LastPassは専用のサーバーに保存するというだけです。

しかし、この違いに両サービスの思想的な違いが現れているように思います。1Passwordは元々はローカルでの保存がメインだったように思いますが、クラウド分野についてはDropboxに投げることで、比較的安いコストでクラウド対応し利便性を向上させることに成功したのでしょう。一方LastPassは元からクラウド型のサービスとして、パスワード管理をはじめましたから、その点については自前実装というか、まさにそこがLastPassの頑張りどころなわけです。Dropboxが死んでも1Passwordが死ぬとは限りませんが、LastPassのサーバーに何か大きな事件があったとき、それがLastPassの最期です(小規模の流出事件自体はだいぶ前にありましたが…それよりもっとのっぴきならない事態を想定しています)。

実装の方法なんぞユーザーには関係がない、といえばそうかもしれません。1Passwordもクラウド保存できて、メジャーなブラウザ用の拡張機能も用意されていて、クラウドの機能についてLastPassと遜色なしです。またLastPassだって、パスワード管理機能そのものについて1Passwordより劣っているということはないのです。しかし、クラウドでの保存が1Passwordは設定の一手間がある一方で、LastPassにはそれがないとか、1Passwordは難しいことはスタンドアロンのアプリで行う一方でLastPassはなんでもブラウザでやらせるとか、UI面での違いに繋がっていると思います。

一番の違い?

先の話をもう少し広げます。1Passwordがあくまでスタンドアロンのアプリであること、LastPassがクラウドサービスであることからくる違いです。たとえばMacにはAlfredというランチャーアプリがありますが、1Passwordとの連携が可能で、ヘビーユーザーにとってこれはなくてはならない機能であるようです。他アプリとの連携に魅力を感じる人にとっても、1Passwordで決定といえましょう。一方LastPassはあくまでクラウドサービスですから、こういった連携は難しいと思いますが、フルブラウザさえあればなんでもできるということは、LinuxやChromebookといった、あまりサポートされることのないOSでも不便なく使えるということでもあります。LinuxなどサポートされていないOSでも問題なく使いたいのであれば、LastPassに軍配が上がるでしょう。これはネイティブアプリ vs Webアプリにも通じる議論といえます。

このあたりは一番の違いといえるかもしれません。まぁしかし、たいていの人はみんなが使うOSを、特に連携とかさせずに使っているでしょうから、そうでないディープな人は自然に自分に必要な方を選択しているのでしょうけれど。

費用面

機能面についてたらたらと書きましたが、多くの人にとってはどちらもあまり変わらないというのが実情であったように思います。では次に費用となるのですが、これもまた決定打といえるほどの違いはありません…しかし、その料金の支払い方法についてはかなりビジネスモデルが違い、それは畢竟思想の違いともいえます。以下詳述。

買い切りの1Password、サブスクリプションのLastPass

1Passwordは買いきり型のアプリで、5000円やら6000円やら、ソフトウェアを買い慣れない人にとっては法外にも思える価格が敷居をあげます。が、セールが多くもあるので、半額くらいで購入できたり、あるいは私のように他ソフトと抱合せでついてきたり、といったこともあり、そういう場合は比較的安価に入手しやすくもあります。買い切りとはいえ、アプリの性質上アップグレード版がでれば購入せざるを得ないでしょう。一方でLastPassは月額1ドル、年12ドルですから、結局4年ほどで50ドル近く、まぁ1Passwordを普通に買うより多少は安いかなぁ、といったところでしょうか。

あくまでスタンドアロンであった1Passwordは買いきりの売り方で、一方クラウドサービスであるLastPassには買いきりという概念はなく、毎月あるいは毎年金を払わせるサブスクリプション制なのは、ここにも両サービスの思想の違いが出ていると言えそうです。

追記:現在は1Passwordもサブスクリプションを導入しています。

結局どっちが安いのか

さて、思想の違いはともかくとしても、結局どっちがトータルで安いのかというと、これは微妙で、何年かに一度ドバっと金を払うのか、毎月金を払うのかの違いでしかありません。まぁあえていえば、普通に買えばLastPassのほうが少し安い、でもセールやバンドル販売をうまく使えれば1Passwordに分があるかも、という結論になります。為替の問題もありますので、今後急激な円安あるいは円高になっても話は変わるかもしれません。急激な為替相場の変動のもたらす影響を思えば、パスワード管理アプリの値動きなんて些細な問題だとは思いますが。

結論として、考え方にピンとくるほうが多分正解

ここまで見てきた、機能面および費用面での違いが大した問題と感じられない場合、両者の選択は非常に悩ましいものとなります。私としては、ブラウザさえ動けばいいLastPassのほうがプラットフォームの融通がきくし、またPCでは無料で初められるので、悩んでどっちがいいのかわからないからどっちも使わないというのであれば、まずLastPassでよいと思います。えーでもなぁと思うのであれば、なんとなく思想的にピンとくるほうを選べばよいのではないでしょうか。

ここまでに書いてきたように、1Passwordの根幹はスタンドアロンのアプリであり、一方LastPassは生粋のクラウドサービスです。1PasswordとLastPassの違いは、結局その違いです。機能の違いも、費用のビジネスモデルの違いも、そのスタンスの違いが元になっています。ですので、パスワード管理という面から見た時、どちらの考え方が自分にとってしっくりくるか、パスワード管理はアプリなのか、サービスなのか、ピンとくるのはどちらなのか、そういう風に考えて決めれば、比較的決めやすいものと思います。なお、私はLastPass派です。

おまけ:二つ併用している感想

意味無いです。めんどくさいです。どちらか一つに絞ったほうがいいです。私は元々LastPass使いで、1Passwordが他ソフトのバンドルでついてきたので、二つのビジネスモデルの違いを利用して無料でいろんなプラットフォームで使えるなーと思って使っていますが、金払っていいから片方を使いこなしたほうがいいんじゃないかと度々思います。でも根が貧乏性なので、恐らく当面このままいくでしょう。おかげで比較記事も書けましたし、まぁいろんなソフトを使うことでまとまる考えもある、ということで…。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 自分もLastpassユーザーで、主にPCだけで使ってました。
    ですが、最近スマホを連携させてブックマーク代わりに使いたいと思って
    比較情報を探してました。

    前はクラウドに情報預けるのは怖かったのですが、使い慣れてしまうと
    むしろスタンドアロン型がメンドクサイと思い始めてますw

    ブラウザもchromeでいくつもアカウント使い分けてるので
    自分にはLastpassがあってるようですね。

    情報ありがとうございました。

    • >通りすがりのiphonerさん
      こんにちは、管理人hackleです。
      クラウドサービスは最初抵抗あると思います(特に昔からのPCユーザーには)。
      でもローカルだけで完結できる時代ではもはやないですし、うまく付き合っていかないとですね。
      パスワードマネージャー界隈はなにげに動きが激しいので、この記事も最新の動向にキャッチアップできていないんですが、
      元々の思想設計から自分に合うものは判断するのは、一つの考え方かなぁと思います。

通りすがりのiphoner へ返信する コメントをキャンセル

目次