今年一番上がったのはゴールド?シルバー?いいえ、メモリです。年初にメモリを買っていれば億り人になれました。
メモリ大暴騰
PCが好きな人なら誰もが知っているだろう、メモリの異常な高騰。その狂気はグラフで見ると一発だ。

おわかりいただろうか。3ヶ月のグラフだとこうなる。

3ヶ月で21,680円から126,680円にアップ!
値下がり率-254.3%なんて初めて見たよ。値下がり率マイナスは草。
これでも、売っているだけマシで、kakaku.comのランキングを見ると、上位はまずそもそも売り切れている。

このスクショのとおり、冒頭にあげたメモリはランキング3位、まだ売っているものの中では一番売れているやつだ。他の生き残りメモリの価格と比較しても、現在の相場の価格になっていることがわかる。販売停止するcrucialだからプレミアが乗っている、というわけでもなさそうだ。
さすがにパニック買いみたいなことが起きている気もするが、とりあえず今日(12/21)はこんな感じでした。
この暴騰の原因はAI需要とされている(参考「Samsungが「HBM」の生産を縮小し「DDR5」を増産?AIブームの裏で進行するメモリ市場の劇的な構造変化と価格高騰の真実 | XenoSpectrum」)。少なくともみんなそう思っている。だからSNSでは、AI動画なんかに「このゴミを作るためにメモリが高くなっている」のようなヘイトの溜まったリプライや引用RPがつくようになった。は言い難い。さらにあまりにも突然で、予測することも不可能だった。実際、誰も予想していなかった。対応不可能。
誰もメモリ高騰をわかっていなかった
過去を振り返って思うことがある。それは、3ヶ月前に誰も「3ヶ月後にメモリの価格が5倍になる!」なんて言ってなかったなぁ、ということだ。まぁ、言っても信じなかっただろう。もちろん僕も。
誰がメモリは数倍になると預言したか
僕らは確かに、メモリやストレージに強いAI需要があることを知っていたはずだ。しかし、だからといって垂直に数倍に跳ね上がる、とは思わなかった。今こうしてチャートを見ても信じがたい気持ちがある。今パニックの最中で、来月には多少落ち着いている可能性もあるが、いずれにせよ、今起きている狂乱は記録として残る。誰がこれを予想できただろう。
誰か一人でもいたか?3ヶ月後にメモリが5倍になるので買うなら今です、というYouTuberがいたか?5倍になってから言ってる奴はいっぱいいるが。
11月27日のBloombergの記事「AI需要急増でメモリー不足懸念、デルやHPがコスト上昇の波及を警告 - Bloomberg」にはこうある。
カウンターポイント・リサーチは今月、メモリーモジュール価格が来年4-6月(第2四半期)までに50%上昇するとの予測を示した。
現実は一ヶ月もたたないうちに「サムスンがDDR5メモリの価格を100%以上引き上げ - GIGAZINE(12/17の記事)」となっている。
僕らは誰一人として、本当のところを何もわかっていなかった。
価格は線形に上がらず、非線形に暴騰する
不足って、こういうことなんだなぁ、となんだかしみじみ実感した。価格が線形に上がっていくのは、なんだかんだいってまだ「ある」からで、本当に「ない」となった時、価格は非線形に暴騰する。ないことがさらなる需要を呼ぶ。まぁこれがみんな大嫌い転売ヤーのメカニズムの一つではあるんだろうね。今回ばかりは転売ヤーのせいではないが……。
僕らはコップに水が溜まる量はある程度わかるけれど、コップの高さもその形も知らないんだろう。
そうすると、他のことはどうなのか心配になる。AIが必要としているのはメモリだけじゃない。電気や水は?また、銅をはじめさまざまな部材や、労働力を必要とするはずだ。それらは問題ないんだろうか。少なくともメモリについては、その変曲点を誰も知らなかった。
電気ひとつとっても、コップの高さを当てるのは難しい。発電だけではない。変調、送電、蓄電、さまざまな仕組みが統合されて電気は届く。そのすべてを見通している人はいないだろう。つまり、電気の需要はわかるかもしれないが、その需要を満たせるのかは、本当のところ誰もわかっていないのでは?そして満たせなくなったとき、価格は暴騰するのでは?へたしたら、価格もつかないのでは?
これは電気だけではなく、あらゆるリソースでそれが言えるわけだが、大丈夫なんだろうか。
リソースはあるだけ使われる
ソフトウェアの世界では、リソースはあるだけ使われる。半導体の進歩は凄まじいが、その一方で実際のアプリケーションの体感速度はどうだろうか。まぁテレホタイム時代の画像表示からよくなったのは確かだが、その後は本質的ではないレンダリングや通信にリソースが奪われ、体感はむしろ遅くなっているような感じがする。
だがPCの使えるメモリはわかっているが、社会のメモリは不明である。この状態で、無限のソフトウェアを作ろうとしたとき、いったいどうなるんだろうか。PCならば落ちるだけだが、それが社会だったら?
Xデーを誰も知らない
ということを考えると、少し悲観に過ぎるのかもしれないのだが、僕としては、今回のメモリ高騰は良い予行演習だった、と思っている。少なくとも、これから何かが起きるとしても、その直前まで、誰も具体的なことを言っていない、ということは間違いないだろう。そのつもりでいかねば。


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