最近のメモリ高騰のバカ騒ぎを見ていると、世の中けったいなことが起きているなぁと、ただでさえ厭世的な今日この頃なのに、余計に辟易とさせられてしまうね。なんだかなぁ。
メモリ高騰でPCも値上がりか
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- 外資の回答が不誠実過ぎる
もとより僕は用がなくてもメモリやSSDの価格をチェックして、安くなっているのを見ると、特に必要はないので買わないのだが、しかし健康に寄与しているなぁと実感する性質であるので、昨今の狂ったようなメモリ高騰にはだいぶウンザリしている。メモリとストレージはずっともなのでもちろんSSDも値上がりしているわけだよ
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そんなわけで、冒頭に紹介した各メーカーの声明記事においては、「お客様の価値へのコミットメント」を維持しているとのことであったDellは、法人向けではあるけれど、早速値上げするらしい。
うーんこれがコミットメント。
まぁ原価にダイレクトにかかわるのだから、事情はわかるものの、ユーザにとって価格の内訳は関係なく、ただ総額だけがある。ということで、「今は時期が悪い、でも待つともっと悪くなる!」という悲鳴があちこちで上がっており、俺たちのマウスコンピュータは買うなら今と言わんばかりのツイートをしていた。
マウスにもメモリ高騰の波が?Xで「悪いことは言いません、早目の購入を」 - PC Watch
通常こういうメッセージは売り手による商売根性むき出しと捉えられて歓迎されないと思うが、今回ばかりは「完全にそのとおりだ」とユーザ側も真摯な警告と受け止めていたように思う。少なくとも、「お客様の価値にコミットメント」より誠実なメッセージだと受け取られたのではなかろうか(なお記事執筆後マウスでも値上げが確認された「「PC買うなら急げ」は本当だった。マウスが一部販売停止&1月値上げを発表 - PC Watch」)。
待つほど悪くなる時代
それにしても、PCの市場自体はせいぜい40年くらいのものだと思うのだけれど、その間にもいろいろとあったが、今が一番の買い時で、これから中長期的に悪くなるだろう、という見通しが立っているというのは、実は初めてではないのだろうか。少なくとも、僕が物心ついてPCに興味をもったここ25年ほどでは初に思う。
確かにこれまでも何かとあったものの、ムーアの法則のようなハードウェア部分の革新が大きかったこともあり、基本的にはPCは「待てば待つだけよくなる」という通念があったように思われる。まぁムーアの法則が通用しなくなってきた2010年代半ばには停滞感も確かにだいぶあったけど、悪くなるというほどではなかった。そこへRyzenがきて、さらにAppleSiliconがきて、ということで、停滞感は払拭された。
実はメモリ高騰以前から悪化していた
…と思ったのだけれど、考えてみると、そういえばAppleSiliconの登場からしばらくまでがピークで、なんだかそれ以降は微妙だったかもしれない。CPUはまだよかったのだが、GPUがね…仮想通貨に振り回されていたし、その後はChatGPT-3.5の鮮烈なデビューが3年前ということで、まぁずっと高くなっていて中古も安くならず…。
実際、僕の持っているノートPCはASUS TUF GAMING F15で、Core i5-11400H 6コア 2.7GHz + NVIDIA GTX3060(laptop, VRAM 6GB)なのだけれど、2021年11月当時に109,800円で購入している。
で、2025年12月現在、同じく109,800円のものをkakaku.comで調べてみると、価格.com - Lenovo LOQ 15IRX9 Core i5 13450HX・16GBメモリー・512GB SSD・RTX 3050・15.6型フルHD液晶搭載 83DV00KNJP [ルナグレー] スペック・仕様があったが、Core i5 13450HX(10コア)はいいとして、GPUがRTX3050になっているのはとてもつらい感じだ。さらにメモリがDDR5である一方、最大32GBなのも地味に悪い(今のノートPCは無駄に64GBに増設している)。まぁ64GBあったところで、もはや買う気にならない価格なわけだが…。
このPC価格はメモリ高騰の影響を受ける前からだ。つまり、メモリ高騰とか関係なく、すでにゲーミングPCにおいては4年たっても進化はないどころか、悪くなっていた、といえそうだ。まぁ日本市場では円安の問題がでかいのはそのとおりなんだけどね…。
受益者と負担者が違う件
ただでさえ悪化していたところに、今回のメモリ高騰がトドメとなった、という感じかもしれないね。
いずれにせよ、僕からしても、今後のPCの見通しについてはかなり悲観的だ。PCは常に今が一番良くて、待つほどに悪くなる時代に入ってしまったのだろうか。そしてユーザのPCが劣化する理由は技術革新です、というんじゃ、本当に意味が分からない。いったい何をしているんだ俺たちは。
そして今回はメモリだから、業界人の間に激震が走る程度なのだが、AIが必要とするのはメモリだけではない。電気、水、そしてそれらも不足することが予測されている。この調子で、本当に電気と水が不足したら、いったいどうなるんだろう?DRAMという、比較的増やしやすいものでも供給が追い付かず、業界全体で負担を被っている、というのが今回なんだが、電気と水で同じことがおきたら、これは本当にシャレにならないよなぁ。
今回示唆的に思うのは、AIの恩恵を受けているとは言い難い、少なくともAIで経済的に豊かになっているわけではない僕らが、価格の暴騰という形でコストを負わされている構図だ。これでは技術革新というより技術の独占ではないか…。そしてもし電気や水で不足が起きたら、同じことが社会レベルで起きるわけだよねぇ。こりゃちょっと納得いかんというか、それ以前に生存レベルの話になってしまうような…。
今回のメモリの件は、業界の話で済ませずに、ちゃんとAIのリソースについて向き合うべきなんじゃないのかなぁ。AIはこれまでのソフトウェア業界の常識が通用しなくて、あまりにも計算資源が高すぎる。
いったい僕らはどこに向かっているのだろう…と思いつつ、とりあえず今あるPCは大事にしよう、と思うのであった。
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当たり前だが、本当に崩壊すれば社会はもっとつらいことになる。

もう30万円では買えなくなりました。

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