最近、クックパッドが炎上したらしい。
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- 平成“Web2.0”ノリは、令和では嫌われる? クックパッド「外部レシピ取り込み」炎上を考える|Infoseekニュース
他所様のレシピをURL指定したら取り込んでAIが整理します、みたいな有料機能が燃えたらしい。で、それについては色々な分析があるのだけれど、基本的にはフリーライドだ、という倫理的批判が主だったものと思われる。
これを平成のWeb 2.0的な価値観が通用しなくなった、と見る記事もあったが、平成に青春を生きた者として、平成時代こそ人の情報を使ったビジネスモデルは忌み嫌われていたことをここに証言する。実際、個人サイトにGoogle広告を置いているだけでもアフィサイト扱いだったし、嫌儲とは (ケンチョとは) [単語記事] - ニコニコ大百科という言葉もあった。当時を思えば、今のほうが情報を収益化するのは令和のほうが当たり前のこととして受け入れられているだろう。
しかしこれは、逆説的にそれらは儲かった、といえる。でなければ嫌われてなお広まるなどありえない。つまりネットの目立つ意見では必ずしも好かれていなかったかもしれないが、現実にはトレンドになって収益化を実現できたわけだ。
ただ収益化できたから正しいとはもちろん言えない。先祖の遺産を毎年売却すれば収益にはなるが、通常それは遺産を食いつぶしていると言われる。
現実には遺産のようにわかりやすいものではないが、実際にはなにかを食いつぶしている、搾取している、ということも往々にしてある。たとえば最近多い人手不足倒産などは、氷河期世代を搾取していたために成り立っていたビジネスが潰れている、と言えるかもしれない。
Google検索一つとっても、もし出てきたときの有り様が2010年代後半から見られたコンテンツファームで埋め尽くされたものであったならば、覇権を取ることはできなかっただろう。まぁこれは因果が逆転していて、Googleが覇権を取った結果なのだが、僕にはGoogleはかつて築いた栄光と功績を切り売りしているように見えた。
検索体験が悪化した、という見方は2020年くらいから少しずつ共有され始め、当初こそ「検索の仕方が悪い」という者も多くいたが、このAI時代、AIスロップに埋め尽くされた検索結果からは、もはやGoogle検索が公式サイト検索所になってしまっていることは皆が認めざるを得ないだろう。AIスロップも作られないような極めてニッチなケースには未だ対応できるかもしれないが、それでは覇権にならない。
この検索体験の悪化はAIのせいというより、AIに席巻させられるような状態を作ってしまっていたことが原因だと見るべきだろう。かつてもクラウドソーシングを見れば1記事500円で奴隷が募集され、体裁だけを整えたいかがでしたか記事が量産された。コンテンツファームはそのようにしてできた。そして体裁こそまさに、AIが得意なことだった。
AIができたから質が悪くなったのではなく、AIにできるところまで記事の質を落とし続けてきたので、AIが席巻し、その劣化を言い訳できなくなった、というほうが正しい。
品質とは本質的に定性的なものであり、ユーザの滞在時間やクリック数、インプレッションでは測定できないものだ。それ故に誰も品質の劣化は証明できなかった。しかしAIスロップに埋め尽くされた状態になると、さすがに誰の目にも品質の劣化は明らかとなる。1+1=2であることの厳密な証明を求めるのは多くの人にとって馬鹿らしい。だからこの時点で「検索は悪くなった」は共通見解となる。しかし、もっと前からそうだったのだ。
クックパッドの件にしても、AIが目立っているからAIの利用の文脈で語られるが、問題はもっと根本的なんじゃないか。クックパッドはAI以前から、既にもうだいぶ、ウンザリされていたんじゃないかね。AIはそれを、もういい加減にしてくれ、と爆発させただけなのではないかね。そして引っ込めざるを得なかった。クックパッドは確かにかつて栄光を築いた企業の一つだが、Googleほどではない。もう、切り売りするものがなくなっていたんだろうと、そう思う。
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