下記の記事が出ていた。
首相、非核三原則の見直し検討 米抑止力低下と主張、反発必至 - ライブドアニュース
引用する。
高市早苗首相が国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に伴い、非核三原則の見直しを検討していることが分かった。核兵器を「持ち込ませず」の概念が、米国の核抑止力の実効性を低下させかねないとの理由からだ。複数の政府関係者が14日、明らかにした。実現すれば、戦後の安保政策の転換となる。唯一の戦争被爆国として進めてきた「核兵器のない世界」への取り組みに逆行しかねず、国内外で反発を招くのは必至だ。
非核三原則は、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とした日本の基本的な核政策。
首相は日本が核拡散防止条約(NPT)を批准していることを重視し、非核三原則のうち「持たず」「つくらず」は堅持する意向。ただ「持ち込ませず」を順守すれば、米軍の核搭載艦船の日本寄港などが認められず、有事の際に米国の核抑止力が弱まると懸念している。
高市政権は、2010年に当時の岡田克也外相が「核の一時的寄港を認めないと日本の安全が守れない事態が発生したとすれば、その時の政権が命運を懸けて決断し、国民に説明する」とした国会答弁を引き継いでいる。
https://news.livedoor.com/article/detail/29988441/
そういやそんなんあったなぁ、と思うなどした。そういえばちゃんと調べたことなかったので、調べた。
そもそも非核三原則に法的拘束力はあるのか?
ふと思ったのは、この非核三原則は、そもそも法的拘束力があるのか?言い換えれば、これが守られることは、何を根拠にして言えるのか?となる。
まず、非核三原則は1971年の国会で決議された国の基本方針であって、これ自体は法的拘束力を持たない。法的拘束力を持たないので手取りは増えない(違)。
しかしながら、この決議は国是とされており、法的拘束力こそないものの、蔑ろにもできない、という位置づけのようだ。
この国是という言葉は、この議論でしばしば出てくるのだが、そのニュアンスは思ったよりも難しかった。何か手続きで決まるようなものではなくて、そのように全体として認められるもの、という感じ。本質的には、伝統のお祭りが伝統であると決めるのは町の実行委員会ではない、ということだろう。
で、非核三原則については、歴史的経緯を踏まえると国是というのが一般的な見解であるらしい。実際提唱者の佐藤栄作はそのつもりであったようだし、ノーベル平和賞を受賞していることからも、対外的にも認められた格好、と言える。実際非核三原則自体がニュースバリューになっているのだし、これはそうなのだろう。
ただし、伝統のお祭りを「私は伝統だと認めない」と言えるように、「私は国是と認めない」は意見として成立する。それが広く認められるかは別の話で、個人の信条とその発露は表現の自由であって、これは別の原理(っていうか憲法)で守られる、というわけだ。なので、たまに見る「そもそも国是ではない」論も、これはこれで成立する。多分、これができるからこそ「重み」なんだと思う。形式じゃあないんだよ。
まー学者じゃあるまいし、ここらへんあまり突っ込んでも甲斐がないと思われ、容易に変えられない内外から認められたその国の基本方針、という程度に捉えておけば市民として十分であろうと思われた。
非核三原則は方針であって、その具体的な制約は方針に基づいて決められるもの、なわけだな。
法的な裏付けとその実態
そんでは、非核三原則は方針として、その方針に基づいた具体的な制約は何があるのか?
具体的な法的制約として、国際条約としてはNPT(拡散防止条約)、国内法としては原子力基本法があるようだ。これらによって「持たず」と「つくらず」は明確な制約がある。
一方、今回の記事で振れられた「持ち込ませず」については、直接的な法的制約は、実はないらしい。間接的な制約として、1960年の新日米安全保障条約による事前協議制度の中で、核兵器の持ち込みについて協議できる、という建付らしい。
俺たちのジャイアンとホントにそんな話できるの?というのは甚だ疑問であり、実際「核兵器を搭載した船が寄港するときに協議する必要はない」なる密約があった、などと2010年には報道されていて騒ぎになっている(「日米間の核の「密約」を確認 有識者委報告(2010年3月9日掲載)|日テレNEWS NNN」:イオン岡田さんチッスチッス)。
こういう次第なので、賢明なる日本国民としては「あっ(察し)」という状況である。
また、国際条約などで縛られているわけでもないので、なんかあったとて、別に国際的にどうこう、という話ではないのだね。国際社会も「あっ(察し)」だろう。ぶっちゃけ習近平も察しているだろう。なんなら具体的なことを知っているかもしれない。
状況のまとめ
以上より、非核三原則についての経緯と現状をまとめると下記。
- 非核三原則は1971年に国会決議された国の基本方針で、それ自体は法的制約ではないが、国是としての重みがある
- 法的な制約は、国際条約のNPTと原子力基本法で「持たず」「つくらず」は明確に制約される
- 「持ち込ませず」は日米間の事前協議制度で協議するとされているが、実際は協議しない密約の存在が報道され、実態として形骸化しているという批判がある
という感じです!調べてみたのでわかりました!いかがでしたか?
さてそのうえで、次の記事では国民の意識がどうなっているかの変化を調べて、そのうえで僕自身の考えについてまとめていきたい。

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