特に何の気なしに以下のようなツイートをしました。ふと、このツイートにあるジョークはAIに通じないのではないか、と思ったのですが、やはり通じなかったですね。なお、今回のお相手はGemini3のPro、思考モードとされるやつです。金払ってます。
まずツイートを引用します。
AIは多分方向性が大きく分けて3段階くらいあり、自分の能力を拡張するサポーター、決められた権限と仕様でタスクについて委譲できる自分用デジタルタイミー、なんでもできるAGI
AGIを前提とした資本投下になっているが当然無理で回収できず全然足りねえじゃん!いや申し訳ございません!!になる運命
Xの文字数制限があるため詰め込まれていますが、どうでしょうか、わかりますでしょうか。まず元ネタを知っている人ならば一発ですが、たとえ知らなくても、「この部分はパロディだろう」とわかるのではないでしょうか。
はい、「全然足りねえじゃん!」「いや申し訳ございません!」の部分ですね。倒産した武富士の迷シーンです。
全然足りねえじゃんとは (ゼンゼンタリネエジャンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
知っていればもちろん、知らなくても以下の観点から違和感を覚え、何かしらのパロディだったのではないか、と察せられるかと思います。
- 言葉の強度が急に跳ね上がる
- 突然の小芝居じみたセリフ回し
- 一連のセリフを一塊とした名詞扱いになっている
もちろん一定の国語力は必要ですが、私ならば知らなくても「何かそういうネタがあるんだろう」程度の察しは当然ついたと確信をもっていえます。
しかし一方、これがAIにはわかりませんでした。AIはセリフについて投資家と開発の「滑稽な失敗談」として解釈しました。まぁこれはそうかもなと思っていました。この手の元ネタありジョークは、AIには難しいだろうなぁ、と。
そこで、「その部分はパロディですよ」と伝えたところ、AIはなぜか「失敗の定型文を意識したパロディ的な表現」として扱いました。これは少し意外でした。元ネタを調べるかと思いましたが、調べるのをさぼってなんだか奇妙に勝手な想像を繰り広げられましたね。まぁこれもそうなる可能性を考えていて、元ネタがあります、まで明示的に言えば調べてたと思いますがが、それは次の段階の質問にしようと思っていました。
実際、最後に「武富士で調べてください」と言ったところ、これはしっかりと理解して、ツイート全体の意図についてそれなりの解説をするようになりました。
ここからわかることは、AIの根本的な国語力のなさです。これは学校の国語ではない生きた国語です。なるほど、AIは文法問題を解けるかもしれません。整然とした文字の並びからもっとも適切な推察が可能かもしれません。しかし現実の入力はテストのように問題文があるわけではなく、自分自身で問題文からつくるような作業を求められます。書かれていないことは何かを察する力が必要です。これは国語のみならず、技術的な問題でもあらゆることで言えます。
現実世界に問題文はないこと、これは学業の秀才がテストを超えて研究や社会の仕事に出たときに躓く関門の一つですが、AIはどうも問題文の壁を越えられないのではないでしょうか。人間の場合、「タスク」と呼ばれるものでも、案外多くの不定の入力をこまごまと適切な問題文に変換して処理しているものです(ドアマンの誤謬とも言うそうです「AIの不用意な導入が裏目に出る理由を説明する「ドアマンの誤謬」とは? - GIGAZINE)。
この調子なので、最初に引用した3段階で言うと、最初のサポーターとしては、自分が問題文を作る前提でそれなりに機能しそうです。一方委託になると、ドアマンの誤謬について考える必要があります。これをクリアできれば可能性があります。これはできるかどうか微妙なところです。ものによっては可能性があると思います。
一方でAGI、これはちょっと望み薄だろうと思われます。これについては、問題文の設定は論理というより責任の問題だからというのが持論ですが、その話は関連記事にて。ま、少なくとも現状AGIでないことは明らかですので。
しかしそれでは投資した資本を回収できません。武富士の上には政府がいたので倒産しましたが、今AIに熱を上げているのは政府しかもアメリカです。そこにビッグテックが絡みます。彼らは「いや申し訳ございません!!」というよりは、ジョークもわからないAIを「これがAGIだ!」と言い張るかもしれません。
もちろん我々はそれがAGIでないことを知っているわけですが、そうなった時、どんな態度をとるでしょうね。夢から覚めればバブル崩壊の痛みが走る、しかし続けたところでそれは夢。笑って誤魔化すしかないのでしょうか。
AGIはなんでもできる、ジョーク以外ならね。
<関連>

今回と同じテーマ。技術的だけど

Geminiは一番愚直なのかもしれない。
コメント