AIバブルだと言われる昨今だが、考えてみるとこのバブルはずっと続いているように思える。AIのバブルというより、AIがトリガとなるバブルの崩壊と思われる。ではそのバブルの発端はどこまで遡るのか?いろいろなことが考えられる。僕は1971年の金本位体制の終焉までいくのでは?とも思うのだが、ここではいったん置いとこう。
今考えているのは、バブル崩壊とは、とりもなおさず負のフィードバックだということだ。自己参照的な循環でオーバーヒートを続けてぶっ壊れそうなシステムに対する強制的な冷却装置とも考えられる。
で、その負のフィードバックが起きるとしたら、それは具体的にどんな要因があるのだろうか、なんてことを例によってAIに愚痴って考えていたのだが、次の4つの問題が顕在化したとき、は考えられそう、という風にまとめられた。
- 労働力の再生産
- 物理的な供給網
- 信用収縮から実体経済への影響
- 統治の安定
で、バブル崩壊に先立つ指標になりそうなものはないだろうか、と考えていた。
労働力の再生産
労働力の再生産ができない、つまり少子高齢化がヤバいっていうのは今さら論を俟たないわけだが、今すぐに変わるものでもない。思想的なところは置いといて、移民に肯定的な人の積極的な理由はほとんどこれだろうね。しかし世界的にも急速な移民受け入れによる問題が顕在化する中で、これからそれができるかどうかは謎である。また、移民二世以降が社会と同化するからなのか、子供を産まなくなるという話もあるし、本当に時間稼ぎだ。
未来はロボットだ!という話もあるのだが、AGIよりは現実的かもしれないものの、ロボットにできる作業はかなり限られるだろう。物流関係だとロボット活躍の余地はかなりありそうに思うが、逆に言うとまだSFとして考えたほうがよいだろう。
ロボットもAIと同じで、不測の事態に対する弱さと、そして責任の所在の問題と隣り合わせだ。ルンバなら自分の管理する部屋で、家具を再配置することにより導入できるが、空間と関係人物が増えるにしたがって問題は指数関数的に爆発する。
いずれにせよ、これは見えている破滅なのだが、カウントダウンの先がけっこう長い。直近の問題ではないかな。
物理的な供給網
物理的な供給網というのは、つまり生産、輸送、店頭が繋がって稼働していることになる。
これも今すぐ起きるようなものではなく、段階的に起きていくことだ。ショックの原因というよりは結果というべきものになるだろう。ただ何かあれば、真っ先に変異が起きるのは店だろうなぁ。次に輸送が止まる。輸送が止まるとエネルギーも供給されないので、生産も止まる。これは末期だなぁ。
信用収縮
AIがバブルだというのは当事者含めて織り込み済みだ。で、バブルは当然崩壊するのだが、その帰結として多かれ少なかれ信用収縮はそりゃ起きる。問題はそれがどこまでいくか、となる。

信用収縮の結果は、あれこれ言われるだろうが、結局のところ取引の縮小に繋がる。交換されない。交換されないので作られない。みんな身動きが取れない。何もないのに、何も作れない。
僕は酷いと、50年前、金本位体制の終焉までツケを払うことになるのではないか……という恐れを抱いている。しかしもっと酷いことも考えられる。100年前の世界恐慌の時は、いったいどんなであっただろうか。
さて、ではこの信用収縮はバブルに先立って起きるか、というと、これは起きるのではないか。クソデカデータセンターでやることなんやねんとか、AIで倫理的にヤバい問題やらかして世界的にどうにもならないほどの規制の機運が高まるとか、いやこれ循環取引してるだけやんとはたと気づくとか、そもそも電力確保できなくねとか、なんでもいいが、なにかAIの期待に対する不信感が一定以上大きくなった時点で、それが崩壊のトリガになる、というのはまぁ考えられる。ってか本命シナリオかな。
統治の安定
統治の安定というのは、つまり国内外の秩序。これが一定以上乱れるとAIどころではなくなる。原因としては、災害、人災、戦争などがある。
そしてこれは、案外トリガになりうるもの、かもしれない。
現在日本はクマで大騒ぎしているわけだが、多分これは大げさなのではなく、みんな薄々、このクマ一匹に何もできないのが今の日本の現状そのままだと、感じているのではないだろうか。つまりクマは象徴なんだな。
日本自体は、今なお平和な国だと思う。フランスのような暴動めいたものも起きないし。しかしすべてには代償があるのだろうか。まさか自衛隊を出動させる最初の存在がクマとは思わなかったな。国民のおとなしさとクマの騒ぎは、きっと地続きなのだろう。結局最後は自然という忖度しない相手がすべてをぶち破る。秩序の壁がぶち破られる時は、案外脆いのかもしれない。
ずっと噂されている首都直下地震の話もあるし、天災が引き金になるパターンもあるだろうな。そしてその時、既に国家が機能しなくなっていることを突きつけられるだろう。そうなれば投資も何もない。
日本だけではなく、各国大きな治安の問題を抱えつつあるので、どっかで吹きあがれば、微妙なバランスで辛うじてたっている世界は、一気に色めき立って、ディープフェイク作ってる場合じゃねぇ!となるかもしれない。
AI革命は情報革命の一部なのでは?
基本的にはなんかのきっかけでAIへの不信感が無視できないほど高まる、というシナリオが一番考えやすくはある。ただ現実はいつも斜め上なので、災害やら地政学上の問題の噴出やら、なんでも起きうる。
そして、なんでこう悲観的なことばかり思い浮かぶのかといえば、現行のAIに商業の実需を見出せていないことにある。個人的なAIの有用性は確かに強く感じるものの、個人的には情報革命の中の一部のように見える。ビル・ゲイツなどがインターネットと同じように興奮しているのは理解できて、実際僕もそうなのだが、それはとりもなおさずインターネットと実は同じタイプの革命だからではないか。
つまりAIは知を生成しているのではなく、整理・統合という形で知を繋げている。インターネットは直接的に繋げたが、それと本質は同じだ。インターネットでは繋ぎきれなかったところや、また特にこの15年の商業化で、膨大なゴミばかりになりプラットフォームに囲い込まれたという問題が生じたが、それを解決できるかもしれないもの、でもある。
しかしそれは現在のビジネスの否定でもある。だから結局、バブル崩壊というシナリオの見立ては変わらないし、その先の道筋というのも、今はまだよく見えない。僕としては、再び個人が責任をもって、自分のことは自分で管理する、というのが合理的かつ、直感的にもそうありたい帰結なのだが。

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