今がAIバブルだ、というのはよく言われることです。恐らくこれは同意する人は多いのではないでしょうか。一方で、その影響についての予測はかなり人によります。
私は非常に悲観的な見方をしております。私は経済については人並みの市民として知る程度でありますので、大した理論があるわけではないのですけれど、一応いくつかの根拠はあります。
まず思うことは、AIバブルの投資の参加メンバが広がりすぎていることです。日本など明確に国債からAI投資しますし、米国も政府から巨大民間ファンドまで投資が過熱しています。これはよく類似性を言われるドットコム・バブルよりも、リーマン・ショックを思わせます。とはいえ絶対的な負債額自体はリーマンショックほどにはならないかもしれません。リーマンショックのとき、Wikipediaによれば金融機関の損失は以下のように推計されているようです。
2009年時点の銀行の損失推計はアメリカ1兆ドル、ユーロ圏8000億ドル、イギリスは6000億ドルだった。
世界金融危機 (2007年-2010年) - Wikipedia
いくらAI投資が過熱しているとはいえ、この規模になるわけがない、というのはよく聞きますし、まぁそれはそうかも、と思います。
一方で、アメリカの財務状況はリーマン・ショックの時よりも悪いです。たとえば債務残高のGDP比は、2008年60%程度だったのが、今は120%で高止まりしています。

2008年から、QE(量的緩和)をして100%まで上がりました。さらに2020年に130%までジャンプしているのはコロナ禍の現金ばら撒きですね。
また、アメリカの10年債の金利を見ると、以下のようになっています。

4%を超えて定着しています。この数値はリーマン・ショック前と同じだ、といえばそれはそうなのですが、前述したとおり債務比率が2008年のときの倍になっているのですから、金利は同じでも利払い費の負担感は単純に倍になっている感じです。
そんでCPIは以下のようになっています。だいたい3%くらいで、インフレ懸念がくすぶっている、というところでしょうか。

なんだかあまり利下げしたくない感じですが、いざとなればしそうです。というか既にずっと利下げ基調ですしね。今のFF金利は以下の感じです。

リーマンショックのときには0%までべた付けしてますね。
で、バブルの規模がどうであろうと、起きることは結局のところ市場からの資金の引き上げです。で、今回はその資金の出どころに国家だのクソデカ企業だのが絡んでいるため、その影響が未知数だなと思います。
バブル崩壊の入り口が何になるかはわかりませんが、想像しやすいところとして、ドットコム・バブルで考えるならば株価崩壊の影響を見ることになるでしょうか。これがNVIDIAなどが暴落するだけの調整で済むのかどうか。今回はプレイヤーもでかいですからねぇ。
そして個人投資家ははほぼ死ぬことになります。株価をけん引するビッグテックが崩壊すれば、みんな大好きS&P500やオルカンも崩壊します。理屈のうえでは持ち続ける、むしろ買いますべきくらいになりますが、それができるほど人間は強くありません。多分その時になったら、「損切りの大切さ」を問うインフルエンサが出ますよ。あるいは「世界恐慌から回復に25年かかった」という事実を述べるだけでも、五十代以上を絶望させるには十分でしょう(実際恐慌リスクは常にあるので、インデックス投信積み立ては出口戦略が難しいです)。
そして彼らの狼狽売りは市場全体の下落を意味します。人間心理なので読めないところはありますが、売りが売りを呼ぶクラッシュの入り口になる可能性はあるだろうなぁと思います。
まぁいずれにせよ株だった資本がどこにいくかなんですが、ここでキャッシュではなく金属やコモディティに逃げる可能性があるなぁと思います。というのも、先に述べたとおり通貨の信用の源泉たる国家財務が脆弱すぎるので。そしてその国家はAIに全力なので。
で、そうなると信用収縮というか、なんかもう崩壊すんじゃないの、くらいのことを、なんとなく思ってしまうわけです。それはドル基軸通貨体制の崩壊で、かといってほかに代わるものもない中で、世界の多極化という歴史の転換が想像されます。そして日本もドルがクソになったアメリカも、すさまじいインフレとモノ不足、エネルギー不足に見舞われ、AIに電気食わせている場合ではなくなります。
実際どうなるかはそりゃわかりませんし、私の考えるところは悲観的過ぎるのかもしれませんが、それにしても、ドットコム・バブルの調整程度しか想定しないのも、楽観的過ぎるように思います。それにまぁ、個人的には、なんだかむしろ一度崩壊しないといけないのではないか、とすら思えるのですよねぇ…実際に起きたら多くの人が最悪の事態を迎えることになると思うので、あまり強くは言えませんが…。
参考
このへんの数値は押さえておきたいと思った。
- アメリカ政策金利: Federal Funds Effective Rate (FF) | FRED | St. Louis Fed
- 債務残高GDP比率: Federal Debt: Total Public Debt as Percent of Gross Domestic Product (GFDEGDQ188S) | FRED | St. Louis Fed
- 米国債10年利率: US10Y: 4.017% +0.019 (+0.4752%)
- アメリカCPI: Consumer Price Index for All Urban Consumers: All Items in U.S. City Average | FRED | St. Louis Fed
- アメリカ利払い費対歳入比率: Interest payments (% of revenue) - United States | Data
- 日本国債利回り: 日本国債利回り(日本国債金利)の推移とチャート・速報
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