ちょっとおもしろいニュースがあった。
東大、60代教授を懲戒処分 サイトに中国から閲覧しにくい細工 | 毎日新聞
はえー、そんなことあったの。
東大では2024年、大学院の入試関連サイト内に「六四天安門」という文字列が埋め込まれた問題が表面化。政府関係者によると、処分理由となったのはこの問題という。文字列により、中国人留学生が入試情報を見られなかった可能性がある。
天安門ww毎日新聞の記事だが、実際スクープしたのも毎日だった模様。
しかし2年前か。随分時間かかったな。そしてその結果が
26年7月29日付で出勤停止3日の懲戒処分にした
ただの三連休w
技術的な話として
この事件の背景として、まず技術的には中国のグレートファイアウォールの問題がある。国家によるインターネット検閲だ。中国共産党的には天安門事件はなかったことになっているので、この文字列は国家レベルで粛清の対象となっている。
それを逆手に取って、ネットだと天安門は書いておけば中華スパムが消える魔除けの言葉として信じられている。もはや政治的イシューを超えて独り歩きしている感もあるが、平文の通信でグレートファイアウォールを通じたリアルタイムフィルタリングしているわけではない以上、悪霊退散のごとく言えば即座に中華スパムが消え去るものでもない。しかしWebサイトの場合、せこせこと中華クローラが頑張って登録して、かつ中国国内から真正直にアクセスすることを考えると、一定の効果はある、かもしれない。
とはいえそもそも留学予定の人はフツーにVPN使ってそうなので、実態としての効果があるかは疑わしい。
現場は困っていたか
まぁ実態として効果があったのかは疑問としたうえで、たとえ効果があったとしても、正直留学生は困っていなかった、なんなら助かっていたと思われる。
これは日本国内の日本人の就活でも同じ事が言える。性別や年齢など属性によるフィルタが本当はあるが、それを言ってはいけないことになっているので、書類選考や面接はするものの、謎の理由で落とされる、というのは現実にある。経営者はもちろん応募者も誰も得しない。差別だから言ってはいけないと決めた人は正義執行で気持ちいいかもしれないが、現場はなにも変わらない。(まぁそれで次に形式的に数を合わせろと言い始めるのだが…)
留学生としても、数多ある研究室の中でもわざわざ歓迎していない研究室を選ぶ理由はなく、正直嫌ならそう書いておいてくれたほうが助かるだろう。
つまり技術的には実効性から怪しいが、効果があったとしても困らない。平たく言えば現場は誰も困っていない。
形式論として
そんなことが問題なのではなく、排外的な意図のある行為を東京大学の教授がしたことが問題なのだ、という向きもある。これは確かに理念・形式の観点から問題といえるかもしれない。
しかし一方で、それを言うならば、大元である中国共産党が検閲をしていることについて不問に付すのは問題ないのか、という疑問も生じる。形式的には、「そもそも中国は検閲をしていない。この教授は単におまじないを信じて実行しただけだが、それ自体が失態だ」という体裁は取れるかもしれないが、さすがに苦しい。
なので、処分する以上、大学は中国共産党による検閲の実態を認めたうえで処分となるわけだ。その結果が懲戒免職という名の三連休なのだが、なんだか関係者全員の煮詰まった気持ちが感じられる。
まず検閲の主体たる中国共産党にとっては「天安門と書いていた」と大騒ぎになること自体が一番嫌なのであって、手のこんだ嫌がらせを受けている気分と思われる。日本政府としても、中国も大学もできれば介入したくない面倒な相手だ。東京大学としても、明らかに学問の自由に反する大いなる存在を放置して末端の職員を処分するのかと言われると面倒臭い。
その結果が体裁だけの処分の手続きで、あとは風化を待つのみ、ということになったのだろうか、などと邪推する。
面倒である
面倒くさい世の中になった。
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