やらなくていいことばかりしている

色々と疲れてしまったのかなとも思うんだが、僕が社会に出てから15年ばかり、なんだか、自分も周りも、碌でもないことしかしてこなかった気がする。

とても狭い話だけれど、ブログの運営程度から見える世界の中でも、その無駄っぷりはある程度感じられる。

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httpsはいらなかった

無駄だったと思うことの一つは人類https補完計画だ。このサイトがhttps対応したのは2016年11月だったらしい。記事が残っている。

記事に出てくるAMPが懐かしい。今にして思うと、AMPのゴリ押しはGoogleが暴走しているわかりやすいサインだった。あの頃Googleは絶頂にあったが、実は衰退が始まっていたのだろう。Webにとってタメにならないところが強く出始めていた。

AMPは失敗したが、httpsの強制は成功してしまった。僕も「アドレスバーが緑色になってなんかカッコいい以外にメリットが見えない」と思いつつも、Google様の言うことだからと対応していた。ただサイトの記事を追いかけると、僕の心情に微妙な変化が見て取れた。

  • 2016年8月:Amazonのアフィリエイトリンクのhttps対応を受けて、「そろそろ変えどき?」
  • 2016年10月:モチベがわかない。httpsの重要性を説くページがhttp
  • 2016年11月:結局対応した。技術面よりむしろ運用面で色々トラブった
  • 2018年2月:所持サイトで全部対応した。7月のChromeで警告扱いになるため。「Google様には逆らいませんとも」

2018年、「Google様には逆らいませんとも」は記事に実際に書いた言葉で、少し辟易としている感じが窺える。実際、それまでに実際にやってトラブったことをトラウマと言っており、気乗りしていなかったが、仕方なくやった、という感じのようだ。そしてそれによって得られるメリットはないことも知っていた。

それでも当時はGoogleがevilなことをしているという発想はなく、疑問を持ちつつも、まぁでもきっとこれが正しいんだろうと自分に言い聞かせてやっていたように思われる。

あれから7年、あるいは9年。httpsは別にいらなかったなと改めて思う。今ならハッキリと不要と言える。少なくともこのサイトをhttps化させた意義はまったくないと断言する。実際httpsのおかげで助かったブログ運営者なんて皆無だろう。そんなことに労力を割くなら、パスワードマネージャを使って自サイトのパスワードを管理するほうがよほど実質的だ。

httpsの面倒さはLAN内のローカルサーバで顕著だ。たとえばCalibreという電子本棚アプリで本棚サーバをたてて、LAN内の別PCから本をダウンロードしようとすると、「安全ではない可能性うんたらかんたら」と怒られて破棄を迫られる。これはまぁブラウザの設定で警告を無視できるのだが、設定しなければ毎度怒られる。httpsにすれば怒られない。いったいなにがどう安全ではないのか意味不明であるし、もし本当に安全ではないファイルならば、通信プロトコルをhttpsにしても安全にはならない。

実際のところ、httpをhttpsにすることで防げることは多くない。同一ネットワーク内での通信傍受、中間者攻撃、通信経路における改竄といったところだが、どれも大がかりなハッキングが前提で、そのレベルのことが起きている場合httpをhttpsにとかそんなレベルの話ではないだろう。まぁ強いて言えば公共Wi-fiに繋げて平文で銀行口座のパスワード送信はまずいと思うが、そういうことはVPNなど個人レベルで対策すればよいことであって、全人類が全ページで対応することではないように思う。いずれにせよこのブログにはいらない。そのページにhttpsが必要かは、そのページの管理者とユーザが決めることであって、Googleがブラウザの覇権を利用して強制することではない。

クッキーの同意ポップアップで得をした人類は誰なのか

もう一つ思い浮かぶのはクッキーの同意ポップアップで、これはEUのせいだが、サイトを開く度にポップアップが出てきて謎の同意を求められるのはイライラする。最近はクッキーの種類まで選ばせてもらえるようだが、ユーザの自由と透明性を高めているというよりも、選択の責任を押し付けられていると思う。クッキーがそのサイトでどう使われているかもわからないのに何をどう判断すればいいのかわからないし、そもそもそんなに信用できないWebサイトを閲覧するべきではない

この制御は開発者側にたつとさらに面倒だが、どういうわけかこの手のことを喜んで取り組む人種は一定程度いるらしい。まぁエンジニアとはそういう生き物なのかもしれないし、好き好きだから個人の勝手ではある。しかし僕は好きではないし、意味がないことはやりたくない。好きでやりたい人だけがやっていれば良いと思う。昔から右クリック禁止とかマウスポインタをキラキラさせるトレンドはあった。それと似たようなもんだ。

まぁサードパーティクッキーを使った追跡がどうのこうのとゴチャゴチャ言えるんだが、その結果が誰も読まない同意ポップアップなのだから、現実は現実である。結局httpsと同じで「そもそも信頼できないサイトは見るべきではない」としか言えない。

無意味だった

今となっては自分のバカさ加減もわかってきた。である以上バカにされたら仕方ないと思うので、もうハッキリ言ってしまうわけだが、本当に無意味なことをやってきたなぁと思う。やりたいことをやるためというより、誰かの作り上げたトレンドを追いかけるために使われた労力のほうが遙かに大きい実感がある。15年前に学んだことで、今でも使えているのはbashのスクリプトくらいだ。

結局、21世紀はindex.htmlを表示するのをいかにややこしくするかに費やされた時代だった。だがこういうことを迂闊にぼやけば、「不勉強だ」とか「本質的なことを学んでいないからだ」とか、マウンティングの材料にされるだけである。しまいに「エンジニア向いてない(笑)」と鼻で笑われるだろう。まぁ周りを巻き込んだぼやきをすれば仕方ないのかもしれないのだが、しかしこれは二十代くらいだとかなり恐ろしいことだし、三十代後半になっても気分の良いことではない。

まぁ何を言っても詮無いことで、結局のところ僕には大した才もなければ力もない。だから何も考えずにただただ天才っぽい人たちの言うことを盲信していたのだろう。だが阿呆なりに経験を積み現実を見て、残りの時間でできることを思えば、自分のバカさ加減にも多少は気づける。できることは多くないので、せめて残りの時間は、誰に言われようと自分自身が納得できることをできるだけやりたいと思う。

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