『光学機器が一番わかる』書評、レンズと光学素子周辺の平易な入門書

技術評論社のしくみ図解シリーズ、『光学機器が一番わかる』。著・福田京平。2010年初版発行。

内容としては、レンズやパッシブな光学素子周辺の話を中心とした入門書。説明の仕方はわかりやすいと思う。マクスウェル方程式の説明がうまい本はわかりやすい本だと思うんだよ。

レンズが主なので、カメラや望遠鏡など好きな人が、光学の基礎を知るのに良いのではないか。レーザーや光ファイバーの話もあるけれど、そのへんは内容が少なすぎるので別書を読んだほうが良い。また、望遠鏡などの応用例も雑多に書かれているものの、あくまで参考程度といったところ。

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『アップル、グーグルが神になる日』BLEの本だった

アップル、グーグルが神になる日 ハードウェアはなぜゴミなのか?, 上原昭宏、山路達也著, 光文社新書, 2015

いろんな意味で光文社新書らしい、非常に刺激的なタイトルとサブタイトルであるが、内容的にはBLE(Bluetooeh Low Energy)の本であった。Raspberry Pi 3に内蔵された印象しかなかったが、聞くと確かに使えそうに思える……思えるが、どう使ってよいかはやはり思い浮かばない……。

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[書評] 人工知能は人間を超えるか:一般向けとして硬派な入門書

本書は人工知能の研究者・松尾豊氏による2015年の入門書で、一般向けだと思いますが、非常に硬派なつくりとなっています。今の人工知能の研究者は、長い冬の時代を耐え忍んできた人たちなので、これがまた一過性のブームではないんだ、という想いが強いのでしょう。世間一般の強い期待、逆に分野の近い研究者たちからの冷めた目に答えるべく、本書では、既にできていること、できそうなこと、できそうにないことを、意識して明確にしようと努めているようです。

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[書評] 2時間でわかる図解IoTビジネス入門:IoTという言葉が気になる人向け。本当に2時間かかりません

IoTってよく聞けど何?という人向け

著者:小泉耕二氏(「当社代表 小泉耕二の拙書「2時間でわかる 図解IoTビジネス入門」重版出来 | 株式会社アールジーン|IoTの専門家集団株式会社アールジーン|IoTの専門家集団」)。2016年4月発行と、比較的新しいIoTの解説本です。ターゲットはなんとなくIoTってよく聞くけどなんだろう?という人たちと思います。本当に2時間かかりません。実際にRaspberry Piや小型シングルボードコンピュータにセンサをつけて、これを使ってなんかできんもんだろうかと考えている人だと、各論についてあまり得るところはないかもしれません。本書のモノを作って終わりではいけない、という提言は確かにその通りです。その通りなんです、が、それ、難しいですよね…。実装も難しいし、どういうニーズがあって、何を作るのか、という企画から、なかなか…。

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[書評] デジタルは人間を奪うのか:トイレでスマホをいじっている時にふと感じる違和感をまとめた本

恐らく皆が感じているだろう、デジタル的なものに対する違和感を、あれこれとまとめた本です。本書は2014年の本ですけれど、まぁそれから今に至るまで、取り立てて大きなことは起きていませんので、まぁ問題ないと思います。

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[書評] 初めてのディープラーニング:初学者がとりあえずサンプルを動かすまで

話題のディープラーニングを一通り

冬の時代を経て、人工知能が今度こそ実用として定着する日が来たのでしょうか。。。本書は流行りのディープラーニングの入門本です。本書を読んでわかること、できることはだいたい以下。

  • ニューラルネットワークからディープラーニングに至るまでの歴史
  • 画像処理で用いられる特徴点を用いた従来の手法Bag-of-featuresの概要
  • ディープラーニングで行われる処理の概要
  • フレームワークCaffeをとりあえず動かす

話題が絞られている印象で、かつ数式を使わず、あくまで定性的な解説に終始します。したがって、初学者にはわかりよい反面、その実際のところまで踏み込むことはできません。また、Caffeをとりあえず動かすことはできるのですが、それを使って自分のやりたい解析をするところまでは、到底できないでしょう。したがって、本書はディープラーニングの始めの一歩に適しているといえます。

なお、本書でCaffeを動かす環境はLinuxを想定されていますが、Macでもできます。やり方は「Mac OSX 10.11でDeepLearningフレームワークCaffeのサンプルを動かすまで : 或る阿呆の記」に書きました。

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